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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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恋する乙女

 安井も勇気があるよな、あの西宮さんにアプローチするなんて、実を言うと西宮さんは男子の中でかなり人気がある。顔もかわいく胸がボインボインで、でも体は小さいんだよな。それもチャームポイントとなっている。給食の時間、何か安井は西宮さんをかっさらってしまうんじゃ無いかと僕は不安に思ってしまった。


 それに西宮さんは公園の公衆便所で発見されて、僕が西宮さんの立場だったら、自分の事を呪っていたかもしれない。本当に気丈な女性で西宮さんは自分の境遇を呪ったりしていない様子だった。本当に明るく誰にでも優しい西宮さん。僕は奈々子さんという女性がいると知っても西宮さんに好意を抱いている自分が存在している。


 授業も終わって、僕達四人は集まり、まだ新聞配達の時間まで一時間はあるので、四人で今日の勉強の予習をした。勉強は小説と違ってやればやるほど成績が上がる。でも小説は才能なのかもしれないけれど、面白い物を見て、学ぶことがあると光さんに教わったんだっけ。

 そして新聞配達の時間になり、僕達四人は新聞配達所に自転車で向かった。


 そこで奈々子さんは「ねえ、涼子、あんた安井の奴に何て言葉を送ったの?」と僕は知っているがあえて黙って置いた。


「本当の勇気を見せてくれたらロマンティックあげるよって言って置いた」


「何よそれ、ドラゴンボール?」


 ケラケラと笑いながら、奈々子さんは言う。


「そうよ。ドラゴンボールよ、何か文句ある!?」


「でも、うける!」


「あんた喧嘩売っているんじゃ無いでしょうね!?」


 そこで僕は「ちょっと喧嘩は止めてよ。奈々子さんも笑いすぎだよ」


「何よ安井はあたし達にあんなひどい目に遭わされて来たんだから」


 その後西宮さんは黙っていた。その西宮さんの姿は、恋する乙女と言う感じで大変魅力的に思えたのは僕だけだろうか?


 そして新聞配達所に到着して、今日は斎藤さんと僕で、西宮さんと奈々子さんが組むことになってしまった。


 斎藤さんと組むのか、ちょっと緊張するな。新聞を配りに団地に向かおうとしていると斎藤さんは何か複雑そうな顔をしていた。そう言えば、斎藤さん、西宮さんの事が好きだったんだよな。女同士で結婚なんて考えていたんだからね。


 団地に向かう途中、斎藤さんは言っていた。


「涼子ちゃん、安井君に本当の勇気を見せてくれたら、ロマンティックをあげるなんて言っていたけれど、長谷川君はどう思う?」


「どう思うなんて、それは西宮さんが決めることだから何とも言えないよ」


「本当にわたしが男の子だったら涼子ちゃんの事を守ることが出来るのに・・・」


 斎藤さんは悔しそうに僕に言っていた。


 僕は斎藤さんの事が不憫に思えてきた。そんな斎藤さんに僕は何て答えたら良いのか分からなくなってしまう。


 すると斎藤さんは「わたし、長谷川君なら認めてあげられる!」ときっぱりと僕にその思いをうち明かした。


「ちょっと、僕には奈々子さんと言う人と付き合っているんだから、それは無理だよ」


 でも僕は内心嬉しかったりしている。僕には奈々子さんという女性がいるけれど、西宮さんの事が少し好意を持っている自分が存在している。奈々子さんにこの思いを知られたら殺されるかもしれないけれど。


 そして団地に辿り着いていつもの恒例の新聞配達に僕達は没頭した。そして今日は悩み事を抱えている斎藤さんの動きがぎこちなかった。


 新聞配達は終わって、配達所に戻ると、もうすでに西宮さんと奈々子さんは戻っていた。


「どうしたのよ翔子、何か悩み事でもあるの?いつものあなたらしくないじゃない」


 と西宮さんは言う。


 斎藤さんに悩み事かあ、僕は女じゃないし、同性愛に興味なんて無いが、斎藤さんは西宮さんの事が好きであるんだ。いや斎藤さんは西宮さんの幸せを願っている健気な女の子だ。


 西宮さんは気がついていないのか、斎藤さんが西宮さんに好意を抱いていることに。


 斎藤さんも胸は西宮さんほどないが、背は高くてスタイルが良い。男子もそんな斎藤さんをほおっては置かないんじゃ無いかと僕は思っている。


 そして毎日恒例の勉強タイムに入った。三人の熱を感じながら僕は勉強に没頭している。さらに小説に絵の勉強もしている。


 少し時間が経つと、いつものように光さんと桃子が晩ご飯を作りにやってくる。


「みんな頑張っているね。今日はカツが安かったからカツ丼を作ってあげるよ」


「そんな高価な物を作ってくれるなんて、悪いですよ」


「何を言っているのよ、あなた達は今年受験でしょ、少しでも頑張って貰わないといけないと思ってね」


「桃子も応援しているよ」


 桃子、本当に良い子に育ったな。桃子は褒められると伸びるタイプで、両親は僕の扱いとは違って本当に愛育されたんだな。


 うちの両親は帰って来たければいつでも帰って来ても良いと言っていたが、僕は帰る気はない。帰ってしまったら奈々子さんは独りぼっちになってしまう。


 さて勉強の続きをしないとね、僕達は今年は受験生だ。でも僕と奈々子さんは絵の関係の通信制学校に行くのだから、こんな勉強必要は無いのだが、それでも三人とこうして勉強していると熱を感じて楽しくなってしまう。


 今日の小説のアクセス回数を見てみると、僕が千ちょっとで、奈々子さんも千ちょっとで、わずかながら僕の方が上をいっている。それに西宮さんは千二百ちょっと、で斎藤さんは二千を超えている。本当に斎藤さんには恐れ入るよ。


 それと今日の西宮さんと斎藤さんが様子がおかしいのはきっと安井からのラブレターだったからだ。こんな受験シーズンにラブレターを送るなんて相変わらずに嫌らしい人間だ。西宮さんは困っても斎藤さんまでも困ってしまうのだからな。


 そこで奈々子さんは「ちょっと、涼子、ラブレターの件で何か悩んでいない?」


「あんたに心配されるほどの事じゃ無いわよ」


「相手はあの危ない安井だから気をつけた方が良いと思うんだけどね」


 そこで光さんが「何々、涼子ちゃんラブレターを貰ったの?」瞳を輝かせて光さんが言う。

 そこで奈々子さんが「そうなんですよ。しかも相手はあの安井ですよ」


「ええっ、あの安井君にラブレターを貰ったの?」


 光さんも複雑そうな顔をしている。それもそうだよな。光さんも安井にひどい目にあったのだから。でも光さんはそんな事をされても、みな平等に接するのが光さんの流儀だ。その事を学んでおきたいが、相手はあの安井だ。光さんが許しても僕は許せない。


「で!?どうするつもりなの、涼子ちゃん。安井君と付き合うつもりなの?」


「私はそんなつもりはありません!」


 と言っているけれど、結構動揺している。


 安井の奴はいったい何を考えているんだ。西宮さんに優しくされたからと言って、ラブレターを送るなんて。でも何か心がチクリと来るが、それは西宮さんが決めることなんだよな。僕は正直言って、そんなラブレターはバラバラにしてゴミ箱に捨ててしまえば良いんだ。


 でも西宮さんの方を見てみると恋する乙女と言う感じで、どこか遠くを見つめている。


 そしてカツ丼は出来上がり、僕達は食べて凄くおいしかった。


「どうお兄ちゃん桃子と光特製のカツ丼は」


「さすがは光さんと桃子の料理だね、いつもながらにおいしいよ」


 それよりも西宮さんと斎藤さんの箸が止まっていた。


 そこで奈々子さんが「涼子、そんなに気になるならいっそ付き合ってしまえば良いじゃない」と嫌みったらしく奈々子さんは言う。


「私の好きな人はあっ君だから。奈々子、あなたがいつまでもあっ君の側にいられるのは時間の問題なんだから」


 ここで西宮さんの爆弾発言。僕達皆は驚いていた。

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