本当の勇気を見せてくれたら、ロマンテックを上げるよ!
四人で学校に行き、僕達がそれぞれの学年で一番乗りだった。僕はホームルームが始まるまで、光さんに勧められた本を読んでいた。本当にこの本は凄いな、さすがは光さんだ、面白い本をよく知っている。そして本に没頭していると、誰かに声をかけられた。その人物は以前僕をいじめていた安井だった。そう言えば僕と安井は同じクラスであった。
「よう、長谷川」
「何!?」
「お前に頼みたい事があるんだけれども」
「頼みたいこと!?」
「こいつを西宮に渡してくれないかな!?」
と手紙を差し出してきた。ラブレターか?それで僕は、「自分で渡せよ!」と断った。
すると安井は「そうか」と言って僕の方から去って自分の席に座った。
あれは確かにラブレターだと思う。そう言えば安井はいじめられていた時、西宮さんに助けられていたっけ。それで安井の奴、西宮さんに好意を抱いたのかもしれない。何かそう思うと、西宮さんは僕の彼女じゃ無いのに何か許せなくなってしまった。安井が西宮さんにラブレター?友達である西宮さんが心配になってきた。
そうだよ。西宮さんは僕の友達だよ。友達の西宮さんが僕や奈々子さんや光さんの命をおびやかした安井は許せない相手だ。そんな奴に西宮さんをかっさらってしまうのは僕が許せない。
ってそれを決めるのは僕では無く西宮さんだ。でも西宮さんと安井が付き合ってしまったら、僕はなぜかショックを受けてしまうんじゃ無いかと恐れた。でも安井も僕が撃退して何も出来なくなり、安井は何もかもを無くしてしまった。噂ではちょくちょく西宮さんの見えない所でいじめている連中もいるらしい。
そうだ。あいつには天罰がくだっても仕方の無い奴だ。でもあいつにいじめられなければ、今こうして奈々子さんや西宮さんに斎藤さんともライバル関係を築く事は出来なかった。でもそれは感謝することじゃない。けれども安井も改心したのかもしれない。
西宮さんが安井にかっさられてしまうのはなぜか僕に取って衝撃的な感じだった。とにかく分からないが、安井の手紙を西宮はどう思うのか?僕には分からなかった。もしかして付き合ってラブラブな関係になってしまうんじゃ無いかと僕は切ない気持ちに陥った。何で僕が西宮さんを取られるのに切ない気持ちにならなくてはいけないのか?僕には奈々子さんという素敵な女性がいるのに。
そしてホームルームが始まり、僕の心はもやっとした。授業中ももやっとしたままで、何か授業には集中できなかった。今、こうしている間にも西宮さんや斎藤さん、それに奈々子さんも勉学に励んでいるのに、僕だけがこうして心がもやっとして集中できず何か悔しい気持ちになった。
休み時間になり、僕は思いきって安井の所に行く。
「安井、さっきの手紙の件だけど」
「それがどうした?」
「やっぱり渡してきてやるよ」
「本当か!?」
そう言って休み時間は十分だ。とにかくこれが安井のラブレターかどうかは分からないが、これを西宮さんに渡して、気持ちをリフレッシュさせたかった。僕は西宮さんのクラスに行き、西宮さんの所に行った。
「西宮さん!」
「あらあっ君、どうしたの?」
「これを」
と言って安井の手紙を渡した。何か西宮さんに僕自身がラブレターを渡しているみたいだ。
「はあ」
と言って西宮さんに安井からのラブレターを渡した。
「じゃあ」と言って僕は休み時間が終わる直前に教室に戻った。これで安井の気持ちが西宮さんに伝わっただろう。後は何か切ないが西宮さん自身の問題だ。安井のラブレターを受け取って、西宮さんはどう思うのだろう。そう言えば西宮さんは奈々子さんの隙を狙って僕のことを好意を抱いているみたいだ。
もし安井の気持ちを西宮さんが受け取ったら、それはそれで良いのかもしれない。でも西宮さんは安井の事を同情の目で見ていたっけ。とにかく後は西宮さんの気持ち次第だ。正直僕は安井の事を振って欲しいと思っている。
そしてお昼休み、西宮さんは目をランランと輝かせて僕の所に来た。
「あっ君手紙読んだよ。まさかあっ君が私にあんな好意を抱いていたなんて、私は嬉しいよ」
すると奈々子さんと斎藤さんは手紙を読んだのか?何か怒りのオーラを放っている。
「ちょっと待ってよ、手紙だけど、あれは安井からの手紙だから」
「安井君からの手紙?」
「そうそう。安井から頼まれて僕は西宮さんに渡してって頼まれたんだよ」
すると西宮さんは大変がっかりしたような感じになった。そう言えば僕は西宮さんに安井からの手紙だとは一事も言っていなかったっけ。それを知った奈々子さんと斎藤さんはにんまりとしている。特に奈々子さんは様を見ろと言いたげな笑みを浮かべていた。
「何だ、安井君からのラブレターって訳か?」
「ところで手紙には何て書いてあったの?」
「『好きです。付き合ってください』としか書いてないからさ。あっ君が私にアプローチしてきたのかと思ったのに」
「僕には奈々子さんという女性と付き合っています」
そこで奈々子さんは、「涼子、それどうするつもり」
「私は安井君の事はかわいそうだと思ったことはあるけれど、恋愛対象にはならないわ。だから丁重にお断りするわ。それに私の好きな人はあっ君だもん」
西宮さんは僕のことを諦めていなかったのか、すでに僕には奈々子さんという素敵な女性がいるのにそれでも僕のことをターゲットにしているみたいだ。でもとりあえずそれで良かったのかもしれない。実を言うと僕は西宮さんの事が好きな自分も存在している。この事を奈々子さんにばれたら殺されるかもしれないけれど。
安井が西宮さんの事を好きになる理由が分かる気がする。だって西宮さんは安井のことを助けたこともあるものな、西宮さんは安井への手紙に返事を送ることにした。
「あっ君、これ安井君に渡してきて」
「分かった」
何て書いてあるのか気になるが、これを見てはいけない物だろう。西宮さんにも失礼だし安井も、いやあんな奴どうでも良いんだけれども。そうだ、あんな奴どうでも良い。西宮さんは本当に何を書いたのか分からないが、とにかくこの手紙を安井に渡さなければならない。
お昼休みが終わって、僕は安井に西宮さんからの返事を差し出した。安井は即座に受け取って、中身を見ている。その中身は気になるが何て書いてあるのだろう。もしかしたら西宮さん安井の事が好きになり、ラブレターをラブレターで返したりはしないだろうか心配だった。
手紙を読んでいる安井の反応を見てみると、何か複雑そうな顔をして読んでいる。そしてニヤニヤと気持ち悪く笑っていた。その反応からすると、もしかしたら西宮さん、安井に好意を抱いているのかもしれない。
そんな事僕が許さないと思い込んでしまった。西宮さんは僕の大切な友達兼ライバル関係だ。そんな人に西宮さんを渡す訳にはいかないって、これは僕が決めるのでは無く西宮さんが決めることなんだよな。でも僕は西宮さんが安井に好意を抱いているなんて僕は認めたくない。
安井は最低な奴だ。僕がいじめられていた時のあの嫌らしい顔が思い浮かんできた。
そして下校時刻になったら僕は安井に呼びかけられた。
「何だよ、安井」
半分けんか腰で安井に返事をした。
「なあ、西宮は俺が本当の男になったらロマンティックをあげるよって言ってきたんだよ」
「何だよそれ、ドラゴンボールかよ」
「ドラゴンボールでも何でも良いから、西宮に男らしさをアピールするにはどうしたら良いと思う?」
「知らねえよそんなの!」
まさか西宮さんが安井に少しでも好意があるような言い方で言った物だから、僕も驚いている。つまり、安井は西宮さんに試されているわけであり、西宮さんはまんざら、安井の事を嫌っている訳では無いようだ。




