夢の世界にまた…
朝、目が覚めると、ある事ににきずいた。「何だ…これ」手を顔の頬に当てると、絞りの甘いタオルを触った時みたいに手が濡れている。少し舐めてみると少ししょっぱかった。涙だった。その涙は頬を通って顎にたどり着きベッドへ沈んでいった。少し経ったら涙は止まっていた。そして同時に、頭の中に詰まっていたものをがスーっと無くなっていった。そんな気がした。「起きるか。」自分でそう呟き、頬や目の周りに残っていた涙を拭いて視界をクリアにした。そしてまたある事にきずく。「ここ…どこだ。」それは、全く知らない真っ白な部屋ですぐ横に点滴が吊るされていた。すると、この白い部屋のドアが横にスライドしながら開いていく。そして誰かが部屋に入った。「え…お兄ちゃん」そう言った瞬間ポツンと突っ立ってしまっている。それは妹の彩奈だった。でも何か違う。声のトーンが低くて、大人びた雰囲気をしていた。次の瞬間、彩奈が自分の胸元に抱きついて来た。「うぇ〜んお兄ちゃん。」いつもおとなしい彩奈が号泣しながら胸元に抱きついてくる。そんな事初めてだった。戸惑いを隠しきれない自分は周りをキョロキョロとしたあと、彩奈に質問していた。「え〜と、どうしたの?」すると、「え、覚えてないの?」と泣きながら、答えた。「え、どうゆう事?」少し考えたあと、また質問していた。すると彩奈は「お兄ちゃん、トラックに引かれて、ずっと目を覚まさなかったんだよ。」と涙ぐんだ声で答えた。「そうだったの⁉︎」と、彩奈をじっと見つめながら言った。「そうだったんだ…ごめん、迷惑かけて。」申しわけなさなさそうに自分が言うと彩奈は「全然そんな事ない。」止まりかけていた彩奈の涙がまた溢れて始めた。そして自分はそっと彩奈を抱き返した。