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200字小説・300字小説

【300字】朝霧に隠した想い

作者: 柿原 凛

 藤色の空にかかる電線までが、遠い。

 アスファルトの敷かれていない近道を全速力で駆け抜けていく。

 朝露に濡れた雑草がローファーに飛び散って汚れてるけど、あとでこっそり拭いておく。その時に前髪も化粧もしっかり直して、制汗スプレーを浴びて。同じ制服の、アイツだけが乗ってくる電車に間に合うように。


 屋根のない駅に、霧をまとった一両編成の電車が滑り込んできた。


「おう、おはよ」

「あ、おはよ」


 心の中で繰り返す。奇遇だね、今日もいるね、いつも一緒の電車だね。

 心の中だけで。そりゃ一緒だ。これに乗らないと次は昼。

 お互いにイヤホンをして、会話することもない。

 ふたりぼっちの静かな朝に、イヤホンから片思いの歌が聞こえてきた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分は1行目と3行目が好きです! 藤色の空、素敵なマーベリングの朝焼けが目に浮かびます。「飛び散って」の文からは、湿った雑草や靴や泥がぱっと目に入ってくる感じかして、女の子の躍動感が凄いな…
[良い点] 最後の一文、大好きです。 ショートショートを書く大秘訣がラストの一行にあるかも、と思います。 私は詩になりがちなので、練習してみたいと思いました。 柿原さまのおかげです。 ありがとうござい…
[良い点] とても綺麗に朝を描写している前半もいいですが、個人的には後半の設定が美味しかったです! こういう恋愛模様書いてみたい(^^) [一言] お題参加ありがとうございました。 また是非参加なさっ…
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