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世説新語 on なろう  作者: ヘツポツ斎
名士編 東晋末の困った奴ら

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783/846

王国宝1 獄吏の貴たるを 

司馬道子《しばどうし》の下でぶいぶい言わせていた

二人の佞臣、王緒《おうしょ》と王国宝《おうこくほう》。

なお、共に太原《たいげん》王氏である。


彼らはツーカーの関係として

宮中の人事を好きに取り仕切っていた。


同じく太原王氏の王忱《おうしん》は、

ついでに言えば王国宝の

腹違いの兄なのだが、

そんな二人の様子を見て、

ヤバい、と思う。


ある時、王緒に言っている。


「おまえね、

 そんなケーソツに振る舞って。


 前漢《ぜんかん》の丞相、

 周勃《しゅうぼつ》ですら言っているぞ。

 獄吏があんなにも恐ろしいものとは

 思わなかった、とな。


 お前も獄吏の貴さ(・・)を学びたいのか?」





 王緒、王國寶相為脣齒,並上下權要。王大不平其如此,乃謂緒曰:「汝為此欻欻,曾不慮獄吏之為貴乎?」


 王緒、王國寶は相い脣齒と為り、並べて權要を上下す。王大は其の此くの如きに平らかならず、乃ち緒に謂いて曰く:「汝の此の欻欻を為すに、曾て獄吏の貴為るを慮らざらんか?」と。


(規箴26)




周勃

前漢の時代に丞相まで務めたすごい人。しかし讒言があり謀叛の疑いを掛けられ、しばし獄に繋がれた。牢獄からなんとか解放された周勃が洩らしたコメントが、「いやぁ、わしは百万の兵も率いたことがあったというのに、獄吏があそこまで偉いものだとは思いもよらなんだ!」であったという。周勃さん、職務に徹する、プロの鑑みたいなお人にぶち当たってしまったらしい。


なお王国宝と王緒は、その後まもなく王恭《おうきょう》の挙兵を恐れた司馬道子によって殺されている。無事獄吏の貴さは学べたようである。

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