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世説新語 on なろう  作者: ヘツポツ斎
曹操さま伝説
4/846

曹操1  曹操カマされる 

魏 武帝 曹操 全18編



三国志最大の英雄と目される、曹操そうそう

だがそんな彼も、割と苦い思いを

カマされていたようなのである。



たとえは、孔融こうゆうから。

かれは禰衡ねいこうと言う人と仲が良かった。


ところで曹操そうそうは禰衡が好きじゃない。

以前軽んじられたことがあったからだ。

だからちょっとしたミスを責めて、

禰衡を太鼓持ち役に降格、

正月の宴会でそれを披露させた。


太鼓持ちはこの当時、はっきり言って

「どうでもいい芸人」扱いだ。

士大夫のやる仕事じゃない。

けれど禰衡は、役目を全力で全うした。


漁陽摻撾ぎょようさんかと呼ばれる演目。

「淵淵たる金石の声あり。」

表現が、なんかものすごい。

みんな感動した。


そこに孔融がコメント。


「昔、殷の王さまが祭技に長けた者を

 夢で見出したそうではありませんか。

 かれは罪人でありながらも、

 その技によって許された、と聞きます。

 禰衡は、似たような罪を負いながらも、

 曹操様の夢には

 出られなかったのですね。」


このコメントに曹操は恥じ入った。

なので、禰衡がやらかしたミスを

許すしかなかった。



また、宗承そうしょうと言う人から。


かれは曹操と同世代だったのだが、

曹操のことを軽蔑し、

付き合おうとしなかった。


そんな曹操がやがて司空、

つまり漢の家臣として

ナンバーワンの座にまで上り詰める。


こうなったら、いくらあの宗承でも

おれにへりくだらざるを得ないだろう!

そう思い、曹操、宗承に聞く。


「どうだい、こんなおれとでも

 まだ交流は持てないってのか?」


すると宗承、答えた。


「松や柏の葉はいくら時を経ても

 青いままだろう?


 私もそれと同じだよ、

 あの時の思いは、今も変わっておらん」


そんな気骨の士だから、

結局ずっと疎まれ、

高位にはつけなかった。


ただそのことが、

かえって曹丕ら兄弟からの

リスペクトを得たようだ。


彼らは頻繁に宗承のもとを訪れては、

宗承にうやうやしく挨拶をしていた。

もっとも、宗承からのリアクションは

相変わらずだったようだが。




禰衡被魏武謫為鼓吏,正月半試鼓。衡揚枹為漁陽摻撾,淵淵有金石聲,四坐為之改容。孔融曰:「禰衡罪同胥靡,不能發明王之夢。」魏武慚而赦之。

禰衡は魏武に謫せられ鼓吏と為り、正月の半ばに鼓を試みらるを被る。衡の枹を揚げ、漁陽摻撾を為すに、淵淵として金石の聲有らば、之が為に四坐は容を改む。孔融は曰く:「禰衡の罪は胥靡と同じうすれど、明王の夢に發する能わざりき」と。魏武は慚じ、之を赦す。

(言語8)


南陽宗世林,魏武同時,而甚薄其為人,不與之交。及魏武作司空,總朝政,從容問宗曰:「可以交未?」答曰:「松柏之志猶存。」世林既以忤旨見疏,位不配德。文帝兄弟每造其門,皆獨拜床下,其見禮如此。

南陽の宗世林は魏武と時を同じうせど、甚だ其の為人を薄じ、之と交わらず。魏武の司空に作さるに及び、朝政を總ぜるに、從容として宗に問うて曰く:「以て交わりたるは未だべからざるや?」と。答えて曰く:「松柏の志は猶お存す」と。世林は既にして以て旨に忤り見るに疏にして、位に配德せず。文帝兄弟は每に其の門に造り、皆な床下に獨拜せど、其の禮を見たるは此くの如し。

(方正2)



曹操

言わずと知れた三国志の主役。「演義」では悪役になってますね。武芸に長け、指揮官としても一流、文学楽曲もたしなみ、人材たらしの女たらし。そんな訳の分かんない人が、更に「魏」の王として、当代最強の国を率いてるってんだから現実こわい。けれども世説新語に載る曹操さま、結構お茶目と言うか小者っぽい。


孔融

孔子の子孫。後々曹操に処刑されることを知ってると、またこのエピソードの見え方が違ってくる。


禰衡

いい人っぽく書かれてるけど、かなりのクソやろう。のちに亡命したが、亡命先でもえらそうだったから殺された。


宗承

へー、こんな人いるんだ。

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