表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世説新語 on なろう  作者: ヘツポツ斎
三国志前編 英雄立志伝

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/846

司馬懿4 西晋の覇権   

時代が下り、東晋のはじめのころ。

王導おうどう温嶠おんきょうが明帝に謁見した。


「温嶠、なぜ西晋は天下を取れたのか?」


明帝からの質問に、温嶠は答えない。

そこに王導がしゃしゃる。


「彼は年若く、

 歴史に通じておりません。

 そこで彼に替わり、

 不肖王導めがお話し致しましょう」


そして王導は滔々と語る。

司馬懿しばいがライバルを蹴落とし、

仲間を次々に引き立てたこと。

それから司馬昭しばしょうが、

皇帝の曹髦そうぼうを排除したこと。


「こうして権力を安定させたことが、

 天下の安寧に繋がったのです!」


ドヤる王導。

しかし明帝は泣いた。

顔を覆い、床にぶっ倒れる勢いで泣いた。


「王導の言う事が正しければ、

 東晋の命数は長からぬではないか!

 そもそも王導、この国でいま、

 司馬懿レベルの権勢を握っているのが

 誰なのか、卿は理解しておるのか!」




王導、溫嶠俱見明帝,帝問溫前世所以得天下之由。溫未答。頃,王曰:「溫嶠年少未諳,臣為陛下陳之。」王迺具敘宣王創業之始,誅夷名族,寵樹同己,及文王之末,高貴鄉公事。明帝聞之,覆面著床曰:「若如公言,祚安得長!」


王導、溫嶠の俱に明帝に見えたるに、帝は溫に前の世にて以て天下を得たる所の由を問う。溫は答えず。頃にして、王は曰く:「溫嶠は年少く諳ざれば、臣が之を陛下に陳するを為さん」と。王は迺ち具に宣王の創業の始め、名族を誅夷し、己と同じうせるの寵を樹つること、及び文王の末、高貴鄉公の事をも叙す。明帝は之を聞き、面を覆いて床に著して曰く:「若し公の言の如るれば、祚は安んぞ長きを得んや!」と。


(尤悔7)




王導(「崔浩先生」より)

クソ南朝貴族の諸悪の根源である。先祖を辿ると戦国秦の大将軍王翦(おうせん)がいる。超一級の血統の生まれで、晋朝にあっては権謀術数を操り旧呉土着の豪族層を骨抜きし、東晋帝国の基盤を築いた。結果として江南の地は五胡勢力の手に落ちずにすんだわけであるが、滅ぼされたほうの旧呉系豪族にとってはあまり関係のない話でもあろう。この王導以降、王導の家門である琅邪ろうや王氏はずっと腐れ南朝貴族社会のトップであり続ける。故にこの男こそ我ら北魏から見ればクソ南朝の親玉、と言うしかないのである。


温嶠(「崔浩先生」より)

官僚としての印象が強い人物であるが、西晋の劉琨りゅうこんに従い、五胡の石勒せきろくと戦ったりもしている。劉琨は敗色濃厚を悟ると温嶠を使者として司馬睿しばえい(東晋初代皇帝・元帝)の元へ派遣。劉琨の敗死や西晋の滅亡を受け、溫嶠はそのまま司馬睿に仕えることとなった。そして司馬睿を帝位に推戴。しかし東晋は琅耶王氏の権勢が非常に強く、王敦おうとんの乱に代表されるように、司馬氏と王氏の対立が生じていた。ここで温嶠は折衝役として振る舞っている。その後の蘇峻そしゅん祖約そやくの乱でも陶侃とうかんと結び平定の道筋を作るなど、東晋百年の真の功労者と呼ぶべきであろう。


明帝 司馬紹しばしょう(「崔浩先生」より)

東晋の二代目皇帝。権勢を広げる琅邪王氏のうち武力を握った王敦の叛乱を食い止めた。早世した名君と言う扱いにはなっているが、エピソードを読んでいる感じだとこの人が長生きしてたら割とヤバい方向に突っ走って行ったような気もする。


司馬昭(「崔浩先生」より)

司馬懿しばいの息子、司馬師しばしの弟。毌丘倹かんきゅうけんの叛乱以後、魏内の司馬氏アンチが一気に賑やかになってきたので、アンチ潰しに奔走する。そして 260 年には一通りのアンチを潰し終えた成果として、魏のラストエンペラー曹奐そうかん(元帝)を即位させた。またこの人の時代にしょくを滅ぼす。実質上、晋帝国の基盤を築いた人である。


曹髦そうぼう

衰運著しい魏の王朝にあって、何とか盛り返そうと頑張った人。けど結局司馬師(しばし)に殺された。



※このエピソードは、明帝と王導と溫嶠の微妙な関係を戯画化しているように思う。特に、黙り込む溫嶠のくだりが上手い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ