仲間
次の日、朝の教室で約束して放課後に4人集まった。
場所は近くの公園。
川にも近い。
でも川には行きたくなかった。
まだその勇気は出ない。
ユズコはあの時のことを全く覚えていなくて説明してもケロッとしてた。
そういうとことは強いんだなとオレたちはびっくりしながらどこかで納得してた。
「サヤカ、って言うんだって。」
「それで?」
「アヤネを助けて欲しいんだって。」
「アヤネって誰よ。」
ツバキが突っ込んで来た。
正直説明しづらい・・・
「要するに。」
ミオウがまた探偵モードに入ってる・・・
「昨日僕たちを助けてくれたのが『サヤカ』、僕たちを襲ったのが『アヤネ』ということですね?」
だからその探偵モードはなんだ。
そしてそのメガネはどこから出した・・・
よっぽど突っ込もうかと思ったけど面白いから放っておいた。
「そうなんだけど・・・・」
「助けて欲しいって何かしらね。」
「オレにもよく分からないんだよ。昨日はむしろオレたちがサヤカに助けられてるし、何かできるとも思えないんだけどさ。」
「思えなくても助けを求めてきたってことは何かできるってことでしょ。」
さすがツバキ。
オレが考えて考えて出した答えがお前にとっては一瞬かよ・・・とちょっと悔しくなった。
「直接話が聞きたいんだけど、サヤカってアンタ以外の人の前には出られないの?」
「確かにまた聞きだと誤解も生じやすいですしねぇ。」
ミオウ・・・人格変わってるぞお前。
メガネの端が光ったように見えたのは気のせいだろうか。
「オレにもまだ分からないことだらけだし、サヤカが次にいつ出てくれるかも分からないんだ。」
「約束くらいしておきなさいよ・・・」
ツバキの目が冷たい。
「しょーがねーだろ、オレだっていっぱいいっぱいなんだからさ。」
そういうと何だかみんな、シーンとなった。
「そうよね・・・結構これって大事なんじゃない?」
ユズコが急に真剣な声になった。
「だよね。遊んでる場合じゃないよね。」
ミオウがメガネを外した。
遊んでるつもりだったのかお前・・・
ツバキは何も言わずに俯いてたオレの頭をぽんっと叩いた。
「何すんだよ。」
「激励と労い。」
「はあ?」
またこいつはわけの分からん単語を
「あんた、頑張ってるよ。助けてくれたのはサヤカでもさ、最初にユズコ庇ったのはあんたじゃん。あんなおっかないの相手に。」
そっか、あの時アヤネがつかんだのはオレの腕なんだよな。
アレ?
ってことはオレが一番あの時やばかったのか?
今になってオレは寒くなった。
「・・・おお?何か寒くなってきたぞ?」
「今かよ・・・」
ツバキに突っ込まれても何も返せなかった。
オレ、割とエライことになってるんじゃないか?
いやいやいや、弱気はいかん。弱気は。
「いやいやいや、コレはむしゃぶるいってやつさ!」
ぐーを作って大声を出してみる。
ところでむしゃぶるいって何?
「足、震えてるよ?」
また皆がシーンとなった。
それを破ったのはツバキの盛大なため息だった。
「今度は助けるよ。皆で。アンタをね。」
前髪を掻き揚げながら強気に笑ってる。
ちくしょう、かっこいいぞお前。
「それからアヤネさんも。」
ミオウがほわっと笑った。
あ、その笑顔、サヤカのに似てる。
「そうね。」
ユズコが頷いた。
お前だってやばかったのに強いな。やっぱ。
「っしゃ!そうこなくちゃな!」
オレの中の弱気がどこかへ行く思いだった。
仲間ってすげぇ。




