友達
そのあとのことは正直、よく覚えていなくて、とにかくみんな、何も言わないまま家に帰った。
オレはといえばあの子のことが気になって仕方なかった。
ご飯を食べてる時はなんとなくぼーっとしてたけどお風呂に入ってベッドに入ったら逆に頭がはっきりしてきた。
ふたり、いたんだ、と思った。
あの川にはふたり、女の子がいる。
ふたりは関係あるのかな?
友達?きょうだい?どうなんだろう。
結局、あの子が何をして欲しいのかきけないままだったなと思った。
あの時助けてくれたのは絶対、始めに会った子だと思ってる。
名前は何だろう。
何がしたいんだろう。
助けてって、何を?
誰を?
?マークが頭の中でぐるぐるして眠れない。
ベッドから起きてカーテンを開けた。
そしたら
「・・・・・・っ」
危なく大声を出しそうになったのを一生懸命ガマンした。
窓の外に光る玉が浮いてる。
それが女の子の形になる。
初めて会った時と同じだ。
(助けて)
それもあの時と同じ。
「今日は、ありがとう。」
そう言ってみた。
まずお礼を言わなくちゃ。
助けてもらったんだから。
女の子はびっくりしたように目を丸くしてた。
夢で見たのと同じ、くりくりとした大きな目。
てっきり黒いのかと思ったけど少し青っぽい。
外国の子なのかな?
そんなことを思えるくらい、オレには余裕が出てきた。
だってもう会うのも3回目だ。
この子が悪い子じゃないってことくらい分かる。
女の子はにこっと笑った。
花みたいな笑顔。
なんだオレ、そんなこと初めて思った。
こっちまでつられて笑っちゃう。
女の子は話始めた。
(あの子を助けて欲しいの)
「あの子って?」
(今日会ったでしょう?)
彼女のセリフがオレにはすぐには分からなかった。
今日?
会った?
助けて欲しい「誰か」
オレは考えた。
今日会ったのはいつもの学校の皆と・・・
「あっ」
まさか、と思った。
あのおっかない影の子のこと?
「君が追い払った?」
そういうと彼女は少し俯いて黙っちゃった。
「あの時助けてくれたのは君じゃないか。」
(お願い・・・)
あの子のことであることは間違いないみたいだ。
オレは返事ができなかった。
だって怖かった。
すごくすごく怖かった。
ユズコが引きずり込まれると思ったときも、自分の腕を掴まれた時も。
掴まれた時?
オレはふとあの手の感じを思い出してた。
真っ赤な口も。
でも。
助けてもらったんだ。
この子に。
その子が助けて欲しいって言ってるんだ。
オレにも何か、できるのかもしれない。
「名前、聞いてもいい?君の。」
オレはやっとそう言った。
「オレに何が出来るのか分からないけど、できること、あるんだよね?」
女の子はこくこくっと頷いた。
「あいつらにも?」
また頷いた。
「分かった。どこまで出来るか分からないけど、あいつらもきっと聞いてくれる。だから、」
オレは精一杯の強気な笑顔で笑った。
弱い心はダメだから。
いつだって強気じゃなくちゃ。
それこそが俺たちの武器だ。
「名前、教えて。オレはレオ、オレたち、友達だ。」




