聞こえない声
夢の中でオレはあの子のことを思い出してた。
変な話、昨日よりはっきり顔が見える。
髪がふわふわで目がぱっちりしてる。
スゲー可愛い。
泣いてる・・・何で?
あの子の唇が動いて何か言ってるんだけど聞こえない。
何?
聞こえないよ・・・
気がついたら保健室に居て、ミオウが横に座ってた。
「あ、良かった。レオ君大丈夫?」
ミオウがそれまで読んでたらしいパズルの本をパタンと閉じた。
「サッカーボールが顔に当たってね。倒れちゃうからみんな心配したんだよ。」
「うん。ゴメン。」
「珍しいね。レオ君が体育の時にぼーっとしてるなんて。」
くすくすとミオウが笑う。
「うん。」
「・・・もしかして、昨日のこと、考えてる?」
ミオウがずばっと言い当てた。
オレがびっくりしてミオウを見ると
「ホントはみんな、同じこと考えてるよ。」
ミオウの後ろからユズコが顔を出した。
その後ろにはツバキがいる。
「あの時、びっくりして逃げちゃったけど、アタシはホントのことが知りたいんだ。」
ツバキらしい強気なセリフ。
ホントはユーレイとか苦手なくせに。
「あの時の声、ちっとも怖くなかったよね。」
「助けを求めてるみたいだった。」
「でもユーレイってそうやってとりついたり、自分の世界に引っ張り込もうとするって話、聞いたことあるよ?」
「危険、だよね・・・」
その場にいる全員が腕組みをして考え込んでしまった。
「そういう気持ちがあるなら、大丈夫じゃないかなぁ」
「そういう気持ちって?」
「警戒心ってヤツでしょ?」
またツバキは難しい言葉を・・・。
「お守りとか、お札とか持って?」
みんなはだんだん笑いたくなってきた。
怖いって気持ちが自分を弱くするのかもしれないなってオレは思った。
負けないぞって気持ちがあったら、きっと大丈夫。
オレたちはもう一度あの川に行ってみようと思ったんだ。




