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分かち合う事

次の日、オレたちは学校が終わるとすぐに集まった。

できるだけ人がいない、校舎の裏。

明るいとサヤカが出てきづらいかもしれないからとあまり日光の当たらないところ。

これはユズコの案。

オレは何も言わなかったけどいつもバカなオレが今日は大人しいからきっと深刻な話なんだろうってツバキが言ってた。

失礼だなぁと思ったけど、ホントだ。

今日はどうしても何かしようって気にはなれなかったんだ。

大きな楠の木(これはミオウから聞いた)の下で4人、何も喋らないで待ってた。

どれくらい待ったんだろう。

ざわざわって楠の葉が鳴って小さな光が僕たちの真ん中に生まれた。

まるで生まれたての赤ちゃんみたいにふわふわっとした笑顔でサヤカが出てきた。

ミオウが照れてる。

ユズコは目を輝かせてる。

ツバキはまだちょっと怖がってるみたいだ。

でも頑張って後ずさりしないようにしてるみたい。

(ハジメマシテ サヤカ デス)

その後はなんだか普通にクラス替えした時みたいに自己紹介の時間だった。

でも少しの間のあと、サヤカが僕に見せたのと同じものを皆に見せたらやっぱり皆、黙ってしまった。

ミオウは泣きそうになってた。

ツバキは怒っているようにも見えた。

そしてユズコは

「どうして・・・逃げたの?」

涙目だけどしっかり先に進もうとしてた。

(あの子供たちは、いつも私たちをいじめてたから・・・)

ツバキの手にぐっと力が入った音がしたみたいだった。

「ひどい・・・」

(仕方ないの。私達は人間じゃないから・・・)

その言葉にほぼ全員がびっくりした。

サヤカの姿からてっきり人間だと思ってた。

(人間じゃなかったら、罪にならない。人間じゃなかったらいじめても、殺しても平気。皆も・・・そう、思う?)

サヤカが哀しそうに笑ってる。

そうだ、サヤカとアヤネを殺した相手はそう思ってるんだろう。

だからいじめて、追い詰めて、殺した。

オレは泣きそうになった。

「違うよ。人間じゃなくたって、命だ。」

オレは泣くのをガマンしながら何とかそれだけ言った。

でも少し声が震えちゃった。

気付かれたかな。

周りを見たらミオウとユズコは泣いてた。

ツバキはオレを見てた。

泣いてはいなかったけど、多分、オレと同じ顔をしてる。

同じタイミングで頷いた。

「そうよ。サヤカもアヤネも同じ命。同じ心。だからこうして私たちのところへ来たんでしょ?」

サヤカの哀しそうな顔が少し明るくなった。

でもそれは今度は悩んでるみたいな顔になった。

(遊ぼうって、誘われたの。母さんと離されて寂しかったから、私たち、行ってしまった。そしたら・・・)

「あっ」

オレはアヤネに会った時を思い出した。

それから最初に聞いた噂。

(アヤネは人間を憎んでる。)

だから同じ言葉で誘って、同じように怖い目に合わせればって思ったのかな。

アヤネ、怖かったけど、アヤネも怖い思い、たくさんしたんだ。

「それで?」

ツバキが少し息をしてから続けた。

「私たちはどうすればいい?」

(アヤネから、人間を憎む気持ちをなくしてほしいの。)

「ちょっと待って。簡単に言うけど・・・」

(お願い)

皆は考え込んでしまった。

そんなすぐには答えなんか出ない。

だって、誰も体験したことなんかないことだ。

どうしていいかなんて分からない。

どうしたらアヤネに伝わるだろう。

でも、やるしかない。

もうオレたちが引き受けたんだから。

「サ・・・」

「少し、時間をもらっていいかな。」

あっ、オレが言おうとしたのに!

でもツバキが初めてっていうくらいにしっかりとサヤカを見てる。

譲ろう。

仕方ない。

サヤカは頷いた。

(待ってる)

ツバキが笑顔で返すとサヤカはすっと消えた。

「で、何か良い手があるのかよ。」

仕切った以上は何か出してくれよな、という気分だった。

「あるわけないでしょ。これから考えるのよ。」

「サヤカは実体がないのだからあまりあのままでいても大変かなって」

ユズコが笑顔で付け足した。

っていうかどこで覚えたんだよそんなこと。

「とりあえずここではなんですからレオ君の家にでも行きましょうか。」

「ちょっと待てなんでオレん家?」

「近いから」

全員にそう言われオレは逆らうことが出来なかった。


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