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第1話

所で外来人君、異世界に向かう列車はどこを走っていると思う?

線路だろって?

まぁ、間違いじゃないが、実は11次元空間に浮かぶ3次元空間のトンネルを走行してるんだ。

厳密に言うなら、その3次元空間のトンネルの中を空中軌道装置(エアレールシステム)を使って飛行してるんだが、詳細は社外秘なんで省略させてもらう。

ケチだって?

まぁ、話しても良いんだが、その場合はあんたを強制的に入社させんといかんのでな・・・

むしろ働き口が無いから歓迎だって?

おいおい、うちの会社は社員の扱い酷いんだぞ?

まぁいいや、そんで、俺達はこのトンネルを亜空間軌道とよんでる。

どっかで聞いたような名前だって?

気にするな、きっと気のせいだ。

そして、今から話すのは、俺がこの駅の駅長になる前、つまりこの駅がまだ存在していない時の話だ。

あの頃俺は、亜空間軌道の掘削作業を行う工事チームのリーダーをやっていたんだ。

あの日は確か・・・・・・




ゴゴゴゴゴゴ・・・


11次元空間をくり貫きシールドで守られた3次元空間のトンネルを作る巨大な作業機械「空間シールドマシーン」・・・

それが11次元空間をねじ曲げ強引に3次元空間を作る際に発生する地響きの様な轟音のせいで、まともに眠る事もできないかな。

そう、俺はここ数日、こいつのせいでまともに寝ていない。

本来なら、定期的に掘削作業を中断して作業員達の睡眠時間を確保するのだが、今回は事情が違っていた。


本社からの指示で、早急にこの辺りにある異世界を掘り当て、ターミナル駅を建設しなければならないのである。

原因は連京線入口で発生する大規模な列車渋滞・・・

一応、付近には浮遊式の信号所がありある程度までなら対応可能なのだが、残念ながらその信号所が収容できる容量は限界に近付きつつある。

そこで本社は、保線管理局にこの付近一帯を手当たり次第に掘って、異世界を発見し次第、ターミナル駅を建設せよとの指示を出した。

それにより、掘削部隊は連日連夜の全力配備という地獄をみている。


優人

「おーいヴィレン、空間に異世界っぽい層は?」


早くこの現状から抜け出したいと思う余り、俺は直ぐわきの席で重力波による空間探知を行っていた男に状況を尋ねた。


ヴィレン

「無いな・・・あったら真っ先に歓喜の声をあげる自信はあるんだが・・・」


この、ヘルメットに作業服を着た身長4メートルの大男の名前は、ヴィレン=ガレッジ。

額からは大きな角が一本生えているので彼が人間で無い事は直ぐに分かる。

彼はアイアンベルドという世界に住むオーガーと呼ばれる種族である。

彼等は元々力自慢の筋肉馬鹿種族だったが、長い年月をかけ文明に溶け込む過程で人間と同等の知能を得ている。

ちなみに、ヴィレンは俺と初任地からの腐れ縁の仲だ。

俺達みたいに、異種族同士が仲良く仕事をする光景は、暗黒武装鉄道結社シュバルツァークロイツの中では大して珍しいものでもない。

文化、宗教、習慣等の小さな違いを棄て、お互いの利点を活かし大局に当たる。

暗黒武装鉄道結社シュバルツァークロイツが長い戦いの歴史の中で培った基本理念のお陰かもしれないが、この組織の中ではかつてアメリカの目指した人種のサラダボールが実現しているのである。

まぁそれはおいといて、掘れども掘れども終わりの見えないこの現状をどう打開するか・・・


ガゴン、ガガガガガガ・・・・


俺が作業中断のため、お上をどうやって説得するか思案を始めた矢先、空間シールドマシーンのブレードが異質な空間の層を捕らえ、特大の大音響を響かせた。



優人

「ちょw何に引っ掛かった?」


ヴィレン

「空間探知には反応なし・・・結界か何か?ブレードのセンサーでは高密度のエネルギー反応を捕らえている。」


優人

「ってことは?」


ヴィレン

「当たりだな・・・」


優人

「ヒャハー♪これで代休タンマリだぜ!!」


寝不足のせいも相まって、俺はおかしなテンションで奇声をあげつつ、ガッツポーズをとった。

この俺の奇行に、ヴィレンは苦笑いを浮かべ呆れているが、今までの地獄を考えれば誰も俺を攻められんさ。


ヴィレン

「喜ぶのも良いが、一つ気になる。」


優人

「おいおい、こういう時は素直に喜んどこうぜ?」


ヴィレン

「良いから聞け。」


はしゃぐ俺を現実に引き戻すヴィレン・・・ホント嫌だわぁ、このインテリアオーガー君・・・

ヴィレンの話では、結界で世界を覆って隠していたのではないかとのこと。

そんで、もしそうなら、それをぶち抜いて侵入した俺達は敵として認識されることになり、駅の建設が困難になるかもしれないと・・・


んなこたぁどうでも良い!俺達は掘るの専門だしな。

後は建設担当になった奴が苦労すりゃ良いさ。

俺、この分厚い結界をぶち抜いたら代休をタンマリ申請するんだ♪


フラグ?建つわけ無いだろ?フラグはお話のなかだけ!OK?


まぁそれは置いといて、不安半分、期待半分の中で、空間シールドマシーンのブレードは結界の層を少しずつ削っていくのだった・・・




フラグが建ちました。


博霊大結界に大穴が空く、幻想境始まって以来の大異変のはじまりです。



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