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魔法が使えない落ちこぼれ少女、人格持ちの魔杖を拾ったら最強になりました ~クーデレ杖と一緒に魔法学園の頂点を目指します~  作者: 岩柄イズカ


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12話 二人がイチャイチャするだけの回


「そんなぁ!? ちょっとくらいいいじゃん! 抱かせてよ撫でさせてよ愛でさせてよ~~!」


 ハルの予想では『仕方ありませんね』くらい言ってくれると思っていたのだが、返ってきた言葉は実に冷たいものだった。


『……何故?』

「なぜって、アリシアが可愛いからに決まってるじゃん! いやほんと、現実世界でも触れるなら毎日抱いて寝たいくらいなんだけどね」

『理解不能です』

「いやいや、可愛いものはぎゅーって抱きしめたり可愛がったりしたくなるものでしょ? せっかく夢の中ならお互い触れあえるんだしさ~」

『当機は別に可愛くありません』

「いやめちゃくちゃ可愛いよ!? アリシア鏡見よう!?」

『何にせよ却下します』

「え~……」


 そこまで言って、ハルはしょぼんと肩を落とす。


「私とくっついたりするの、そんなに嫌?」

『…………嫌、では……ないです』

「じゃあなんで頑なに拒否するの?」

『それは……』


 ふいっとアリシアが視線を逸らす。何かに気付いて、ハルはそんなアリシアの顔を覗き込んだ。


「…………もしかして、恥ずかしい?」


 ハルがそう言った瞬間、アリシアの顔が真っ赤になった。


『当機は別に……』

「や~~~んかわいい~~~~~~!!」


 もう我慢できなくて、ハルは勢いよくアリシアに抱きついた。


『ちょっ、マスター!?』

「わぁ~~!! ちっちゃい~かわいい~~!!」


 抱きしめた瞬間、ハルは感声をあげた。


「はぁ……アリシア、小さくてかわいくて抱き心地最高……! 頑張ってよかった……!」

『マ、マスター……! は、離れてください……!』


 アリシアは顔を真っ赤にして抵抗しようとするがあまり力が入っていない。それがまた可愛い。


「やだ~♪ だってアリシア、嫌じゃないって言ったよね? 私のこと嫌いじゃないんだよね?」

『そ、それは確かに言いましたが……こ、こんなに密着されるのは流石に……!』

「アリシアが可愛いから仕方ないの~♪」


 ハルはアリシアの銀髪に顔を埋める。サラサラで艶やかな髪からは、ほのかに甘い香りが漂ってくる。


(なにこれ、めっちゃ幸せなんだけど……)


 これまで散々な訓練を耐え抜いたご褒美だと思うといっそう幸せに感じられる。柔らかな髪をふわふわ撫でながら、ハルは幸せそうに息を吐いた。


『ま、満足したならそろそろ離れてください……』

「やだ~もっと愛でる~」

『あうぅ……』


 アリシアの髪に顔を埋めて大きく息を吸い込む。最初は撫でるだけで我慢してたけど、撫でてるうちにもう辛抱たまらなくなって心ゆくまでアリシアを吸う。

 撫でているうちにアリシアも次第に抵抗をやめて、ほんの少し目を細め始めた。


「ふふっ、気持ちいい? アリシアって撫でられるのが好きなのかな?」

『それは、その……』

「認めるなら、もっとい~~っぱい、撫で撫でしてあげるよ~?」

『…………嫌では、ない、かも……しれません……』


 頬を染めて恥ずかしそうに答えるアリシアに、ハルの目尻もだらしなく垂れていく。


「どうしよ……やばい……アリシアが可愛すぎて溶けちゃいそう……」


 ハルは猫のように頬ずりしながら、アリシアの頭をくしゅくしゅと撫でた。


「うんうん、いい子いい子~。アリシアは頑張り屋さんだねぇ~」

『……頑張ったのはマスターです。当機はマスターのサポートをしただけです』

「ううん、アリシアも頑張ってくれてたよ。アリシアが頑張ってくれたから、私も最後まで頑張れたんだよ」


 心からの感謝をこめた言葉。ハルはますます力を込めてぎゅーっとアリシアを抱きしめ……アリシアもそれをそっと抱き返してくれた。


 †


 アリシアの脳裏に、突如として別の映像がフラッシュバックした。


 ──ずっと昔の記憶。


 暖かな光の中で、自分は誰かの膝の上に座っている。

 自分の頭を優しく撫でる大きな手。


「アリシア。お前は俺が守るから」


 男の人の声。優しい、大好きだった声。


(これは……?)


 その映像が、ふっと消える。


「……え? わ、ちょ、どうしたのアリシア!?」


 ハルの慌てた声。どうしたのだろうと思っていると……自分の目からポロポロ大粒の涙がこぼれていることに気付いた。

 ハルが動揺してワタワタしている。


「まさか私がくっつくの泣くほど嫌だったの!?」

『い、いえ、これは……」


 アリシアは困惑したように、涙で濡れた自分の指先を見つめる。


 ──理解不能。なのに、どこか懐かしくて、温かい感覚がある。


『……マスター』

「な、なに!? ほんとごめんね!? もう撫でないから!!」

『いえ、それは誤解で……マスター、お願いがあります』

「お、お願い? どうしたの? 何でも言ってね?」

『はい。では……』


 そう言うと今度はぽふり、とアリシアの方からハルの胸に顔を埋めてきた。

 ハルが驚いて息を呑む。その間にアリシアはハルの背中に腕を回し、抱きつく力を強くする。


「ア、アリシア?」

『当機が涙を流した理由は不明です。原因究明のため、もう少し当機を愛でてください』

「へ? 愛で? う、うん?」


 いまいち状況が飲み込めなかったが、言われた通りアリシアの頭を撫でる。


『……もっと、いっぱい撫でて欲しいです』


 アリシアの抱きつく力が強くなって、甘えるようにおでこをぐりぐり擦りつけてくる。


(……なにこれ、かわいすぎるんだけど!?)


 これまでのクールな態度から一転しての甘えアリシア。

 急に涙を流したことは心配だったけど、そうやって甘えてくるアリシアが可愛すぎて何かもうどうでもよくなった。


「も~~! こうなったらとことん可愛がるから覚悟してね!!」

『……承認』


 それからハルは、飽きることなくアリシアを愛で続けるのであった。


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