表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Free City  作者: 七賀ごふん
Start

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/55

#5



由々しき事態だ。


稔の影どころか浮気症の尻尾すら掴めないと、今自分が何の為に司と付き合ってるのか分からなくなる。本当に無関係だとしたら騙して巻き込んでいるだけだし、罪悪感が募る一方。一刻も早く真実を手に入れ、手を切った方がいい。


……というのが昨日までの話。ややこしいものの、それらの不安を上回る大事件が起きた。涙ぐましい努力や復讐がどうでもなるぐらいの事件が。


昨夜突如司から呼び出され、良い雰囲気で飲んでいたさなかに別れ話を切り出された。


雷に打たれたような衝撃を受けた。嫌われるようなことをした覚えはない。

夜の失敗、という可能性もない。二ヶ月も付き合っているが、彼とはまだ一度もセックスしたことがなかった。

気休め程度の愛撫なら何度かしている。ところがいざ本番に誘うと、彼は風邪だ何だと、適当な理由をつけてやんわり逃げていた。あれは全てこの前兆だったんだろうか……。


そもそも遊び人として名が知れ渡ってるのに、全然手を出してこないことがおかしかったんだ。何でそれに気付かない? 俺はアホなのか? と自問自答しても始まらない。既に事態は暗転している。


何一つ真実を突き止めていないのに、二度の失恋なんて情けないにもほどがある。ていうかまだ恋してない……司にフラれ社宅に帰ってから、浴びるように酒を飲んだ。


俺の何がいけなかったんだ……!?(多分色々あると思うけど!)


一から十まで自業自得に違いないが、現実を認められない由貴は翌日の夜も司を呼び出した。

街中の行きつけのバーが彼と一番過ごした場所。初めて連れられた時は緊張した。何を頼めばいいか分からなかった自分にモスコミュールを頼んでくれたことを思い出す。やはり年の功というか、大人の男性にしか出せない色気があるのだと知った。

稔は歳のわりにやんちゃな青年で、ロマンチックな雰囲気をつくりだせるタイプではなかった。そこが決定的に司と違う。

誘いの断り方、振る舞い方、司から教わったことは数えきれない。大人として身に付けるべき力を、彼は自分にくれた。それが少し心苦しい……。


習慣のように頼んだモスコミュールを飲み終え、二杯目にバイオレット・フィズを作ってもらった。鮮やかな紫を眺めていると、隣に誰かが腰を下ろした。

「悪いね。待った?」

昨日と何ら変わらない。その眩さに目を細めたくなる美青年、守門司。

「いえ、全然。……むしろ来てくれてありがとうございます」

「はは、別れたからっていきなり音信不通になったりしないよ」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ