表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Free City  作者: 七賀ごふん
Home

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/44

#1



恋人と証明できるものは何もない。しかし「知り合い」よりは格上げされたのかもしれない。この関係に相応しい名称は思い付かないが、初心な発想をするなら“友達から始めましょう”……。

ところが、ここにきて不安なことがある。司の顔色がまた悪くなっていた。


「長居してごめんね、由貴君」


司は独りで呟き、自分のジャケットを羽織った。

「司さん、帰るんですか? 無理しないで泊まってくださいよ……! まだ具合悪そうだし」

「ありがとう。でも家に帰らないと、弟が心配するんだ。最近俺がぼけっとしてるから、いつか外で野垂れ死ぬんじゃないかって言ってさ。ただでさえ帰りが遅いから、今日は家に帰ってやりたいと思って」

事情は分かったものの、やはり司の声は覇気がない。無理して笑っているようにも感じ取れて、考えるより先に上着を取った。

「じゃあ俺が司さんの家まで運転します。だから助手席で休んでください。大丈夫です、絶対安全運転でいきますから」

「でもそれだと由貴君の帰る足がないじゃない」

「大丈夫ですよっ。いざとなったらタクシー呼びますし」

今の司はとにかく見ていて不安だ。

出過ぎた真似かもしれないが、できることはなるべく率先してやりたい。司と一緒に家を出て、運転席に座った。助手席に司が乗り、ナビに住所を入力する。

普段と違うポジションに少し緊張したが、ミラーを調節してギアを握った。

「司さん、着くまで寝ててください」

「本当に大丈夫? 由貴君だって腰痛いでしょ」

「……大丈夫です。逆に具合が良いです」

ということにして、アクセルを踏む。久しぶりの運転は不安だったが、トルクによる圧力で高揚を覚えた。低速から瞬時に加速、走行性の良さは抜群だ。これならずっとドライブしていたい。

案内ルートに従って黒い道を走る。隣が静かなので少しミラーで盗み見ると、彼は瞼を伏せていた。寝ているのかどうか微妙だが、声は掛けないでおいた。


しかし、弟が心配してるのに俺を家まで送ろうとしていたのか。本当に……怖いくらい、お人好しなひとだ。



市街を抜けて真っ暗な坂を登る。暗がりの中だとどれだけ高いのか分からないが、感覚的には軽く山だ。司の家はこんな場所にあるのか。

コーナリングが多いためハンドルを握る手に力が入る。開けた道に出たとき、ちょうど音声案内が終わった。

わざわざ画面を見なくても分かる、大きな家のシルエット。ブレーキを踏んで司に声を掛けた。

「司さん、ここですか?」

「ん……あぁ、そう。わざわざありがとう」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ