表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Free City  作者: 七賀ごふん
Signs

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/44

#5



司は可笑しそうに吹き出した。


「続かないんだよ。マイペースに加えて自由至上主義だからね。旅行先で行動を制限されたり、長電話で時間をとられたり、自分の観たい映画を我慢して、相手の好みを優先したり。何より大切な、選択の自由を失うことが嫌だった。でも恋人にそんなこと言っちゃいけない。自分をセーブしないといけない時が絶対ある……。それも最初のひと月は我慢できるんだけど、だんだん嫌気が差しちゃってね」


片手をひらひらと振りながら話を続ける。もうだいぶ、彼の血色は良く見えた。


「昔は大嫌いだった、セフレなんて存在を持つようになった。カラダだけの関係が定番になってたんだ。由貴君と付き合う前までは」

「じゃあ、俺と付き合ってからやめたんですか? 綺麗さっぱり?」

「うん」

内容のわりにとても軽い返事だった。もう少し重みを持たせても良い気がする。

そこには、彼の強い決意があるはずなんだ。

「……どうして」

「由貴君に会った時、何かビビッときたんだ。この街の神様が舞い降りたみたいで、……俺はこの子に会う為にここへ来たんだって思った」

本気なのか冗談なのか、とりあえず笑って誤魔化した。酔っていれば冗談も言えるかもしれないけど、本気だとしたら……いや、有り得ない。絶対冗談だ。そう頭に叩き込んだ。


「君と一緒にいられるなら、今持ってるものは捨てても良い気がした。縛られることを一番嫌って生きてきた俺の、初めての経験だったよ。これが人を好きになるってことか……って、ロマンチックに考えた」

「ロマンチック?」

「そう。本当に好きな人となら、不自由すら愛しいんだ。自由じゃなくても、こんなに幸せな気持ちになれる」


手を重ねた。司の手は、自分の手よりも暖かくなっていた。

「好きだよ、由貴君」

はっ。

「じゃっ……何で別れようって言うんですか。矛盾してますよ。俺は司さんと別れたくないって何度も言ってんのに」

「うん……」

とても静かな会話だった。互いに抑揚がないせいで、台本かなにかを朗読してるように聞こえる。

しかし次の台詞は中々返ってこない。

「司さん?」

手をさすると、軽く握られた。

「好きだから……自分が不幸になりたいっていうより、君を不幸にさせることの方が怖い」

彼らしかぬ弱音だ。それには正直驚いていた。

彼は本当に変わってしまったみたいだ。出逢った当初の完璧な青年から一変、今は憔悴しきっている。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ