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ある日突然、市民の行動を制限する条例が発表された。深夜(一時から四時)の外出規制だ。但し就業内容によって可。
犯罪を減らす為とはいえ、夜間に機能しない機関が増えれば社会が破綻する。これは実のところ規制なんて不可能だろう。
それともうひとつ。公にされてないが、一般市民がアクセスできるサーバが大幅に制限された。由貴自身はシステムに携わる機会がない為、何をどこまで制限されたのか分からない。ただこれによってクラッカーの数が減るなら、自分達の様な人間の助けになるだろう。
しかし余計な詮索をしないよう圧力をかけてることは明白だ。監視する側の人間すら、何者かに監視されている。
プライベートのパソコンもセキュリティ強化した方が良さそうだ。
新しい条例が施行されて早一週間。昼休憩に入り、サンドイッチ片手に情報収集に勤しんだ。しかし目立った変化や報告は見当たらなかった。原因が明記されてない死傷者の数も、以前と比べて変わりはなさそうだ。
ふと廃人のことを思い出して、ブラウザに「FREE CITY」「神様の家」と入力した。すると一件ヒットした。実際はもっとあるはずだが、恐らく全て削除されている。それか非公開に設定されている。仕方なく唯一表示されてるURLをアクセスしようとすると、見慣れない警告が出た。
「あ」
真っ赤に染まる画面。中央にはアラートの文字。それはエラーメッセージが出ると強制的にシャットダウンされるもので、職場のパソコンだというのに落ちてしまった。
久しぶりに戦慄する。注意の文字も何か嫌だ。注意しろ、というより、自分が要注意人物だと言われたようで。
周りを確認する。幸い皆昼食に出ていていなかった。再び起動してシステムに異変が無いかチェックする。回線は切れてない、検索する前に保存したデータは無事だった。さっきのエラーはウイルスではなく、公式の自動設定だったようだ。
だから余計に引っかかる。なぜ神様の家検索を禁じているのか。街では誰もが知ってる噂なのだから、これに気付いた人間は既にわんさかいるだろう。そう考えるとピンポイントに露呈されていて笑ってしまう。
職場のパソコンを使ってしまったのは軽率だったけど……。
たった今、バックグラウンドに非表示のソフトが追加された。確認しようとするとさっきと同じデザインのエラーメッセージが出る。恐らく危険因子としてマークされた。




