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Free City  作者: 七賀ごふん
Venom

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33/55

#10



『息子が帰ってこないんです』


リポーターに泣きながら訴えている女性がテレビ画面に映っていた。けっこうなお歳に見えるから、きっと息子もそれなりだろう。FREE CITYに移り住んでから連絡が途絶え、もう二年も行方が知れないと言う。

画面右上にも小さなタイトルで表示されているが、最近この街で問題になってるのは専ら行方不明者の増加だ。ところが道で転がっている浮浪者や廃人のことは、番組の中では全く触れていない。行方不明者の、お涙頂戴の過去ばかり暴いて時間を稼いでいる。都合の悪いことはもみ消そうとする見えない力が裏で働いてるんだろうか。


もしこの女性の息子が廃人になっていたとしたら、気の毒だけど故郷に帰ることはできないだろう。しかしこれだけ事件になっているにも関わらず何も対策を打たない、政府が一番信用ならない。

もしや裏で手を引いているのはこの街の実力者……とか、映画みたいな推測をしてみる。警察、消防、医療、全てが機能してないのだから。機能してるのは大雑把に言ってネットワークくらいか。

「IT業界は廃人が多い……」

司の言葉を思い出す。

この街は特に情報技術が進んでいるから、偶然というより当然だ。司も含め、そちらの畑の人間が派遣される。

その道のプロが集まる街で、脳を駄目にする流行病と関連している神様の家。とても気になる。けど、それこそ警察が頑張ってほしい。

憂鬱なニュースを変える。すると今度は由貴の故郷が紹介されていた。海の近くの為、全国から新鮮な海鮮物を食べに来る観光客が多い。自分も久しぶりに食べたくなった。

冷たくなった味噌汁はもう飲む気がしなかった。箸を置いてため息をつく。

これがホームシックか。

不覚にも、帰りたいと思ってしまった。

実家じゃなくていい。とりあえず住み慣れた土地に帰って安心したい。


心も体も思ったより疲れていたらしい。この前襲われかけた時はけろっとしていたのに。

あぁ、でもあの時は……司がいたからな。

食器を端にどけてテーブルに突っ伏した。

下心でも復讐心でもなくて、彼のことをもっと知りたい。今となってはこの街で唯一の理解者だ。彼に会いたくて頭がおかしくなりそうだった。






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