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Free City  作者: 七賀ごふん
Thread

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20/44

#8



「ここは皆の理想そのもの。常に新品を揃えた保管庫。古くなった物は片っ端から淘汰する」


誰が考えたのか知らないが、面白い。何だか本当に大事なものまで捨てちゃって、見せかけだけ頑張ってる感じだ。有り金全部はたいて大豪邸を買ったけど、家具を買う金がないから中はすっからかん。そのうち家賃も払えなくなって追い出されそうな。


外の人はこんな場所を楽園だと本気で思い込んでる。

そして、そんなリスキーな街に自分達は住んでいる。法律で守ってもらえるなんて思わない方が良い。ここへ来る前は抑えきれなかった好奇心も、いつしか圧縮されて原形を留めていなかった。

「要約すると子どもとお年寄りがいなくて、同性愛者が多い。あと浮浪者だ。人口の十パーセント近くにのぼる」

「あぁ、俺の近所にもたくさん……行政は何で放っておいてるんでしょう。景観が大事だって言い張るなら仕事与えるとか家を貸してあげるとかすればいいのに。静かに暮らしてるお年寄りを追い出しておいて、何で彼らをそのままにしてるのかよく分かりません」

「俺も知らないけど、追い出しても追い出してもキリがないんだろ。浮浪者っていうか、あれはもう理性を失くした廃人だからな」

あれほど会話のネタに困っていたのに、話が終わらないまま店に着いた。蓮沼の行きつけらしく、静かで趣きのある和食屋だった。ビールが飲みたかったけど、蓮沼の真似をして冷酒を頼んだ。

あとは刺身と、好きに頼んでいいと言われたから天ぷらと串カツを注文した。揚げ物ばかりで何か言われるかと思ったけど、蓮沼はご機嫌で煙草に火をつける。これは奢ってもらえる予感がする。


そういえば、司はどうしてるだろう。自分がいつもの場所にいないから、今日はさっさと帰っただろうか。

待ち合わせしてるわけじゃないし、むしろ勝手に待ち伏せしてるだけだ。でもそのストーキングも潮時か。この前の夜から、稔への執念も、復讐したい気持ちも薄れてきてしまっている。


「廃人って何ですか?」

「んー」


きりきりに冷えた鮪の刺身を飲み込んだ。さっきの話に戻ろうと咳払いする。由貴は空腹もあり食べることに専念しているが、蓮沼は食事に手をつけない。代わりに煙草と、飲むペースは速かった。

「言葉のまんまだろ。新しいCPU搭載してやんなきゃダメな奴らだ」

あんまり真面目な回答は期待しない方がいいのかもしれない。

「多いだろ……いきなり発狂したり、物壊したりする奴。あれ皆、この街だけ流行ってる病気の患者だ」




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