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Free City  作者: 七賀ごふん
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10/44

#10



守門司は。潔癖、几帳面。冷静沈着、素早い判断力を評価されプロジェクトリーダーとして前線にいるそうだ。社内外問わず誰から見ても完全無欠。異性だけでなく同性も惹き付ける魅力がある。


しかし一方では遊び人という噂もある。由貴個人としては、とてもそのようには見えなかった。二ヶ月以上付き合ったものの軽々しい言動や行動も感じない。下ネタもない。それで心が振り子のように揺れてしまう。だが火のないところに煙はたたないと言うし、まだ諦めず監視した方がいいだろう。


翌日も、その翌日も由貴は司に会いに行った。もはや意地になっている。稔のことなど置き去りで、どうにか司を根負けさせたかった。


「司さん」


待ち伏せした先で名前を呼ぶと必ず振り返ってくれる。振り返った時は、一応笑顔を浮かべている。それは条件反射のようで、彼は誰に声を掛けられても笑っていることに気付いた。何もしてない時は瞼を伏せてることが多くて、珈琲は毎日会社前のカフェでテイクアウトしている。昼休みは近くの森林公園で本を読んでることがある。パソコンは手放さないけど、休み時間はあまり開かない。徹底して仕事とプライベートを切り離している。


付き合っていた時は気付かなかったことが山ほどあって驚いた。こんなこと、いくらでも知る機会があったはず。気付かなかったのは興味がなかったからだ。

稔に関すること、彼の交際関係を把握する以外興味がなかったから。手作り弁当なんてものも渡していたけど、実際のところ彼の好みなんて何も知らなかった。卵焼きには砂糖を入れても良いのか、おにぎりの具は鮭で良いのか。一度だって訊ねたことがない。いつも自分の胸三寸で用意して、押し付けていた。


稔にも同じことをしていたんだろうか。自分が良かれと思ってしたことは全部はた迷惑な押し売りで、自己満足に過ぎなかったのか。

今となっては何も分からない。自分のしてきたことが正しいなんて思えないし、不快にさせてしまったこともたくさんあるだろう。当然、司にも。

全て大人とは思えない未熟さ。仕事中にこそっとやった精神年齢テストも侮れない。同年齢の全国平均を見るとかなり若い結果だった。


大人になる過程がガタガタだったから、こんなみっともないことになってるんだろうか。毎日遊びたいだけ遊んで、好きなだけ金を使って、身体を明け渡していたから……。


思い出したくない、できれば消し去りたい記憶の針が突き刺さった。





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