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Demon Linker  作者: えむえいCHI
第一章
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第一話 生きているのに死んでいる

いつも読んでいただきありがとうございます!

 「第七回、リンクテストを始める」


無線越しに聞こえてくる、聞きなれた司令官の声。その声に俺は憂鬱だった。どうせまた、‘‘壊して‘‘しまうんだから。


「第一次接続開始」


機械音が激しく鳴り響き、背中のポッドに管が接続される。管と言っても単なるケーブルの集まりだ。


コックピットに座る僕のすぐ右隣りには、もう一人の搭乗員がいる。冷や汗をびっしりかいて、顔色は決して良くない。


本当に申し訳ないと思う。しかし、司令官は容赦なく、二人とも第一次接続が完了したことを確認すると、


「第二次接続、開始」


さっきよりは重々しい声で命令を出した。


どうして『DEMON』が二人乗りなのかと、いつもこの時に思う。相手のこの記憶、思考が俺の頭に流れて来る。

同時に、俺の記憶も‘‘彼女‘‘に流れていく。


俺は思う。どうして俺には男性適性がなく女性適正だけだったのだろうか?どうして『DAEMON』を動かすのに、互いの心の傷を受け入れ同調することが必要なのか?


まぁ、これらの問いに対し、座学的な話は知っている。散々教え込まれたし……。


しかし、この瞬間は何回やってもきっと慣れない。今回も一応、願っておこう。


‘‘どうか彼女は壊れませんように……‘‘と。


「あ、、あ、あ、いや、、やめて!!いや!いや!あああああ!ギャァァァァ!!やめて!触らないで!!あああああ!!……、!!いやだ、いやだ……こわいよぉ……あああああ!!ダメ!!ダメダメダメ!!ああああ!」


俺は操縦桿(そうじゅうかん)から手を放し、彼女の手を握る。


「大丈夫!もう終わった話だから!それは現実じゃない!!」

「黙れ!……あああん!!あーん!」


遠くで聞こえる。司令官が半ば呆れた声で「接続切断……失敗だ」


俺はそれに耳を傾けることをせずただ茫然と、彼女を見ていた。


「ごめん……」


彼女の手を放し、俺は下りる準備を進めた。


「なんで……どうして一人にするの?」


彼女は俺に抱き着こうとしていたが、俺はそれを……


「ごめん……」


片手で制した。


ばちん!!


あ~あ。またぶたれた……これで44回目か……。


彼女は肩で息をしながら、目の下を真っ赤にしてこちらを睨みつけた。そしてこう言った。


「意気地なし!こんなの聞いてない!あんたのゴミみたいな人生なんて見せないでよ!バカ!二度と顔を見せないで!」


俺は無視する形で、彼女の言葉を受け流した。




・・・



 『DEMON』の訓練機から降りると、俺は大きなため息をついた。そこに司令官がやってきた。


「とりあえずお疲れ様。前と比べてどうだった?」


若い男性で、名前は確か……ロードだっけ?相変わらず、若いのに渋い声をしているなぁ。


「何も変わりませんでした。やっぱりあのタイプの傷じゃ、俺のとは釣り合えないのでは?」

「確かに、強姦という意味では、当たっていると思ったのだが……なにせ‘‘未遂‘‘だからな……」


どうしてこうなったのか……考えてみるとすぐに思いつく。あれは6年前のこと……



・・・



社会的不安によるストレスで、大人たちの心はすり減っていた。節約生活、残業、人間関係、子供にはまったくもって関係ない話だ。

しかし、大人はそれらのストレスを子供に向けた。俺もその子供の一人だったのだ。


父、少し前まで優しかったのに、俺が気に障ることをすると、すぐに殴るようになった。


母、毎日、毎日、嫌味を言って来た、口癖は「あんたなんか生まなきゃよかった」


長女(姉)、当時17歳だった彼女は、彼氏に振られた腹いせに、僕の男性としての尊厳を蹴りつぶそうとした。まぁ、俺がいるせいで、好きなものが買えなかったことも含まれているのだろう。


次女(姉)、当時16歳だった彼女は当時10歳だった俺の”初めて”を強奪した。そしてそのことを、当時俺が通っていた、初等教育所(小学校)に言いふらした。内容は「弟に襲われて、”初めて”を取られた」だ。


当時のクラスメイト、次女との件で俺を嫌悪するようになり、時に暴力も振るわれた。


と、いろいろあった結果、俺は心に深すぎる傷を負った。


そして、『DEMON』を通して相手の女性とリンクするとき、その記憶はそのままその人に流れ込む。正確には追体験するような感覚になる。


本来なら、双方の心の傷が丁度良い度合いで相殺し合い、おたがいのことを分かり合えるシステムなのだが、俺の場合は方一本の傷が深すぎるために、相手に負担を強いることになるのだ。


「ロードさんはどうして俺を『DEMON』から降ろさないんですか? まだ候補生の身だからですか?」


「いや、『DEMON』は心の傷の深さと、相手への理解度によって強さが異なる。その上で、君と分かり合える相手がいたら、君たちは大いに戦力になる。おそらく、現存する『DAEMON』の一般部隊の内では最強になるだろう」


それができたら苦労しないんだがな……。


「お前はどうなんだ?なぜ自分から、降りようとしない?」

「俺は……拾ってもらった恩があるから……あの地獄から連れ出してくれた’’マスター‘‘たちに」


しばし沈黙ののち、ロードは「そうか……」と一言残して立ち去ろうとした。


瞬間、彼の脚が止まる。


「一人、いるかもしれない。お前とリンクできる相手が」


「え?誰ですか⁉」


食い気味で聞いた。

しかし、次の瞬間俺は言葉を失った。


「彼女は、‘‘男潰し‘‘と呼ばれている。名は確か……シルダだ。シルダ ノルン。第一部隊所属のエリートデーモンリンカーだ」


続く

次回

第二話 契約【リンク】する二人


読んでくれている皆さんへ、


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