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世話焼き召喚士の便利屋生活  作者: 巴 雪夜
第四章:そんなこと言われたら気になるだろ!

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第14話:子守りも便利屋の仕事の内、らしい

「わーい!」


「わー!」



 昼を過ぎた晴天の日、すっかり綺麗になった店舗内できゃっきゃと少年少女が騒ぐ。


 大きな犬の姿をしたチャーチグリムに乗っている二人は楽しそうにしていた。そんな様子をヨハンは眺めながら思う、便利屋の仕事とはと。


 今回の依頼は子守りだ。預けられているのは少し前に迷子探しをしたアリィーとその姉のミリア、ラッシュの三人である。


 どうやらラッシュの両親とアリィーの両親があの迷子の一件から親しくなったらしいく、子供たちも遊ぶ仲になったのだという。


 両者の両親が今日はどうしても外せない用ができてしまったとのことで、子守りの依頼をしにやってきたのだ。


 託児所を利用すべきではと思うのだが、一日だけというのはなかなか無いようだ。


 ジークフリートが「別にいいぞ」と了承したのでこうして預かっている。子守りなどしたことがなかったヨハンだが、チャーチグリムが彼らと遊んでくれているのでなんとかなっていた。


 ミリアは小型になっているリューリアを抱きながらもふもふを楽しんでいた。


 子供は動物が好きだと聞くが、ここまで効果があるものなのかとヨハンは少し驚く。とはいえ、託児は果たして便利屋の仕事なのかという疑問もあるわけで。



「これ、便利屋の仕事ですか」


「なんでもするのが便利屋だぞ」


「いや、違う気がする」


「そんなことない、そんなことない」



 特に気にしている様子もないジークフリートの様子に便利屋とは、とヨハンは思う。


 思うけれど、これ以上の何があるというわけでもないので受け入れるしかない。目を離さないようにしっかりと見ていればいいのだと言い聞かせる。


 アリィーとラッシュはチャーチグリムをえらく気に入ったらしく、「わんちゃんかわいい!」とじゃれついている。


 チャーチグリムもいやがっている様子がなく、二人と楽しそうに遊んでいた。


 リューリアももふもふと撫でられるのは嫌じゃないようでミリアにされるがままだ。兎のような、犬のようなリューリアが珍しいのかミリアは目を輝かせている。



「お兄ちゃん、この子って何なの?」


「あぁ、リューリアは妖精犬なんですよ」



 ミリアに質問されてヨハンは答えた。リューリアは妖精犬で、主に妖精に飼われている種類の魔物だ。人に懐くことは滅多になく、警戒心が強いため守護獣として契約するのは難しい。


 そこまで聞いてミリアは「お兄ちゃんはどうして契約できたの?」と首を傾げたので、ヨハンは「まぁ、運が良かったんですよ」と返す。


 ヨハンがリューリアと契約できたのは運と言われればその通りだ。たまたま、森で怪我をしていた妖精犬の子供を拾って看病してやったことで、彼の信頼を得たのだから。



「お兄ちゃんが優しかったから、この子は懐いてくれたんだね」


「どうですかねぇ。単に宿主として丁度いい相手だったかもしれません」


「それはねぇだろ」



 ヨハンの返しにジークフリートが断言するように言う、それはないと。何故と言いたげに見遣れば、ジークフリートは「妖精種っていうのは警戒心が強い」と話した。


 妖精種は警戒心が強い。心を許すというのがなかなかに難しく、守護獣にする難易度は上級種のドラゴンと張るほどだ。


 そんな彼らがただ丁度いいからという理由で契約することはない。


 相手のことをしっかりと観察し、心を感じて、信頼と安心を抱いてやっと契約できるのだ。ジークフリートは「お前はリューリアから選ばれたんだよ」とはっきりと告げる。



「信頼し、安心できると認められたから契約できたんだ」


「そういうものですかね?」


「そういうものだよ。そこは誇れ、自慢していいぞ」



 並みの召喚士でも妖精種と契約するのは難しいからと言われて、ヨハンはそうだろうかとリューリアは見る。


 リューリアは何を言うでもなくヨハンに目を向けると、欠伸をしてからミリアの膝の上に丸まった。


 リューリアがミリアに対して警戒しないのも、ヨハンが「彼女たちは大丈夫だから」と伝えているからだ。


 信頼している相手からの言葉だから落ち着いている。その様子にジークフリートは「此処まで信頼を勝ち取ってる召喚士は早々いないな」と言われた。



「俺の契約している妖精種は主人にも容赦ないからな」


「それは貴方がだらしないからだと」


「それを言われると否定ができない」



 自覚があるなら直してほしい。とは言っても反省はしないのは目に見えているので、ヨハンは言葉を飲み込んだ。



「おじちゃん! 散歩に行きたい!」



 そうやって話しているとアリィーとラッシュがチャーチグリムを連れてやってきた。散歩に連れていきたいと言う彼らにジークフリートは「散歩はしなくてもいいんだがなぁ」と頭を掻く。


 チャーチグリムに散歩は必要ない。普通の犬とは違うので必要がないのだが、アリィとラッシュは行きたいと駄々をこねる。


 こうなった子供というのはなかなかにしつこいのでジークフリートは仕方ないと奥のほうから首輪とリードを持ってきた。



「犬飼ってたんですか?」


「いや、迷子犬を捕獲する時に使う用だ」



 外に出す以上、何があるか分からないのでチャーチグリムにもちゃんと首輪とリードをつけるのだという。


 傍から見れば大きな犬なので野放しでの散歩は、周囲の人を怖がらせてしまうだろうことは想像できる。


 なるほどと納得していると、リードを誰が持つかでアリィとラッシュが争い始めてしまったので、彼らを止めるためにヨハンは間に入ることになった。


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