災害につき
『18:16、全国各地にて地震が発生しました。
震源地につきましては、現在調査中です。
また、この地震による二次被害の可能性は低いと見られています』
テレビから、女性アナウンサーの淡々とした注意喚起が流れる。
『最近、世界各地にて地震や火災といった災害が多く発生しています。
これについて、自然現象研究の第一人者である――』
そこまで聞いて、テレビを消した。
「……まだ、見つからないのか」
低い声が背後から飛んでくる。
ふてぶてしく椅子に腰掛けた髭坊主が、こちらを見もせずに言った。
「見つからないって。
相手は三大妖怪の一角っすよ?
隠れるのも一級品に決まってるじゃないですか」
肩をすくめて続ける。
「ま、そろそろ当たりは付いてますけどね」
「分かっている」
髭坊主は短く言い捨てた。
「だからこそだ。
確実に仕留められる機会は、今しかない。
そのことを忘れるな」
そう言い残して、男は部屋を出ていった。
……相変わらず理不尽な物言いだ。
「うるせぇな。
そろそろだっつってんのに……」
独り言を吐きながら、スマホを取り出す。
画面に表示された地図。
そこには×印が無数に打たれていた。
その中で、ただ一つだけ残された◯。
「あとは……ここだけか」
画面を睨みながら、そう呟いた。




