第五話
『どんな時も、常に前を向くことこそが上に立つもののつとめである。』
そう言って魔物の群れに突っ込んでいったラーサのスチルが私を励ましてくれる。
そう、私は前を向くべき時なのである……が……
村の入り口には、立ち尽くす私と兵士が2人。
「嬢ちゃん、その格好でどうしたんだ?」
「…………」
「持っているのは薬草か?売りに来たのか?」
「…………」
日本でぬくぬく過ごしてきた私には剣を腰に引っ提げた強面に何かの大きな傷がついている男の人を見た瞬間、顔面が下向きに固定されてしまったのである。
物語の村の兵士は、優しい顔立ちでどんな人も受け入れてくれるのではなかったのぉぉぉぉぉぉぉ….
ちなみにシグは私の服の中で震えている。
一旦森まで帰るか…..!?
そんなことを考えていたら、村の方からもう1人兵士っぽい人が駆けてきた。
「おーい、また女の子なかせてるのかぁ」
「なぬっ。そんなことは、、ない!」
走ってきた人を盗み見る。
優しそうな人だ。この人だと….こわくないかも?
「こ、こんにちは」
「こんにちは。今日はどうしてこの村に?」
「薬草を……売ろうと思って!」
「そうか、薬草以外の持ち物はどうしたんだい?」
「えっと…物取りに取られてしまったようで、なくなってしまって….」
「そうだったのか、この村は初めてだよな?」
「はい」
「薬草を売れるギルドまで案内しようかい?」
「ぜ、是非お願いします!」
兵士のお兄さんが薬草を売れるところまで連れていってくれるらしい。私がお兄さんとお話ししていることに愕然とした顔をしていた強面の兵士さんも一緒に来てくれることになった。
「こいつ、顔が怖いから初めて会う人にビビられるんだよ。」
「す、すみません。」
「いや、大丈夫だ。」
お優しそうなお兄さんはビートさん、強面のお兄さんはボンザさんと言うらしい。ボンザさんの顔を見てお話しはできないが、ビートさんを挟んでお話しすることができた。
「チアキ、ここがギルドだ。あそこにあるカウンターで話しかければ買取をしてくれる。」
「はい、お二人ともありがとうございました。」
ぺこりとお辞儀をしてお二人を見送り、カウンターを目指す。
ギルドと呼ばれていた建物の中は広くて、何人かの人が立ち話をしていた。人々の間を通り過ぎてカウンターの人に話しかけた。
「買い取りをお願いしたいのですが。」
「はい、薬草の買取ですね。」
今までずっと握りしめていた薬草をカウンターに置く。
カウンターには綺麗なお姉さんが座っていて、私が置いた薬草を検分してくれた。
「ギルドのご利用は初めてですか?」
「はい」
「ギルド会員登録をしてからの買取でもいいですし、登録なしでも買取ができます。登録をしているとお金をギルド口座に入れることができます。どうされますか?」
「では、登録もお願いしてもいいですか?」
「はい。ではこちらの紙に名前を書いて、水晶に手を触れてください。名前は偽名でもいいですが、1人の登録は一回しかできませんのでお気をつけください。」
なるほど、1人が複数口座や複数登録ができないようになっているらしい。名前はチアキでいいか。
紙に名前を書いて手を触れる。
ピカッ
水晶が一瞬光ったあと水晶の下からカードが出てきた。
「こちらがギルドカードになります。このカードは色々なお店でかざしていただくと口座からの引き落としができたりしますので、落とさないようにご注意ください。」
「ありがとうございます。」
「薬草の買い取りのお金はどうされますか?」
「ええと、どうしようかな」
この世界のお金のことについて私はあまりわからない。どうしてもらうのがいいか悩んでいる私に、シグがアドバイスをしてくれた。
「アキ、半分こがいいよ」
「半分で分けてもらっていいですか?」
「はい、わかりました。ではカードをお預かりしますね。」
先ほどもらったカードを渡すと、機械にカードを通して渡してくれた。
半分は現金でくれるようで、銀色の硬貨が5枚と銅色の硬貨を8枚くれた。
お財布を持っていなかったけど、シグがどこからか取り出した皮袋に入れることができた。
「ありがとうございました。」
礼を言ってギルドから離れる。
このお金で自分に何ができるのか一旦シグと話し合いだ。
シグは周りから見えないから、話しをするとしたら人から見えないところに行かないと私が空に向かって話す変な人だと思われかねない。
どこか空いている場所はないだろうか。
グイグイグイッ
そんなことを考えていると、シグが私の袖を一生懸命引っ張っている。
ついてこいってこと?
袖を引っ張ったと思ったら向こうのほうへ飛んでいった。
追いかけなきゃ!
今、何時なんだ!?と思う人へ
第五話終わりあたりの時間は地球時間で16:00です。




