悪役プロレス令嬢
「エレオノーラ・フォン・シュヴァルツ!君との婚約は、ここに破棄する!」
アルフレッド第1王子の宣言が周囲に響き渡り、舞踏会にいた貴族たちはざわめき始めた。「悪役令嬢」エレオノーラに向けられる視線のほとんどが嘲笑と失望に溢れていた。誰もが彼女の敗北を期待していたのだ。
しかし、エレオノーラはその全てを一蹴するかのように冷たい笑みを浮かべ、堂々と王子を見撮えた。
「婚約破棄ですって?まあ、面白いことですわね。よろしいですわ、ここで決着をつけましょう。あなたが私にふさわしくなかったということを、今ここではっきりと教えて差し上げますわ。」
そう言いながら、彼女は、ドレスを力強く引き裂き、豪華なプロレス用コスチュームを露わにした。周囲の貴族たちは驚きの声を上げ、その光景に息を呑む。
舞踏会は一瞬にして武闘会へ変わり、誰もがその場を離れることはできなかった。
――カァーン!
どこからか試合開始のゴングが鳴る。
エレオノーラは獲物を狩る獣のように王子に突進した。彼女の強烈なラリアットがアルフレッド王子の首元に炸裂する。
「ぐはぁっ!」
「どうなさりましたの、アルフレッド様? あれほど偉そうに婚約破棄を宣言した割には、随分と弱々しいのではございませんこと。あなたにはもっと期待していたのに、これでは失望ですわ。」
アルフレッド王子は膝をつき、苦しげに首元を抑える。だが、その顔には挑発的な笑みが浮かんでいた。
「エレオノーラ、実は…俺が婚約を破棄したのは、真実の愛を見つけたからなんだ。お前との婚約は最初から政治的な結びつきで、愛はなかった。だが、ある日、本当に心から愛せる女性に出会ったんだ。彼女と過ごすことで、初めて自分が本当に幸せになれると感じた。だからこそ、偽りの関係を続けることなく、自分の心に正直でいたいと思ったんだ。それが、どうしてもお前に伝えたかった理由だ。」
「あら、そうですか。それでしたら、こちらからも一つ言わせてもらいますわ!」
エレオノーラは大きく息を吸い込み、
――ブワァッ!!
毒霧を王子の顔に吹きかけた!
「ぎゃああああ! 目が、目がぁぁぁ!」
王子は目を押さえてジタバタと暴れまわる。その光景に、周囲の貴族たちはドン引きしつつも、誰一人として止めに入る者はいなかった。
「あなたの真実の愛のために、私の父に根も葉もない罪を着せ、我が家を孤立させるなんて、よくもそんな非道をお働きになりましたわね?」
エレオノーラの怒りは止まらない。彼女はアルフレッドの髪の毛を掴み、彼を豪華な大理石の柱に押し付けた。
「これで終わりではございませんわ。私はまだ、この状況を十分に楽しんでおりますのよ!」
エレオノーラは笑いながら、王子を無理やり引き倒し、絨毯の上に転がした。彼女は燭台を手に取り、無慈悲に振り下ろしながら笑う。
「この燭台も、私を称えているようですわ。やはり、王子よりも私に忠誠を誓う方が賢明でございますものね。」
燭台が彼の肩に直撃し、アルフレッドは痛みに顔をしかめる。
「卑怯だぞ…!」
アルフレッドは苦しそうに呟くが、エレオノーラは全く意に介さない。
「まあ、卑怯ですって?どちらが本当に卑怯なのか、ご自身によく問いただしていただきたいものですわね。」
彼女は王子を再び引きずり起こし、フィッシュフック(口の端を指で引っ張る技)を繰り出した。王子の端正な顔が歪む。
その時!
「エレオノーラ様、やめてください!」
王子と真実の愛を誓い合ったクラリッサが必死に止めに入る。
周囲からも、
「卑怯だぞ! こんな振る舞いが許されると思っているのか!」
「悪役令嬢なんて引っ込んでしまえ!」
「恥を知れ!アルフレッド王子に歯向かうとは身の程知らずめ!」
とブーイングと煽りの声が次々と上がる。
それに対し、エレオノーラは逆に煽り返すように笑みを浮かべた。そして、周りの貴族たちに向かって高らかに宣言した。
「皆さま、よくご覧になって。これが皆さまが期待していた『王子様』でございますわ。真実の愛に酔いしれ、このように情けない醜態をさらしている姿を!」
彼女は観客に嘲笑を浮かべ、
「このように貧弱な王子様で、この国をお守りになれるとお思いですの?本当に笑わせてくださいますわね。」
すると、先ほどまで猫をかぶっていたクラリッサは表情を一変させ、怒りに満ちた顔つきで、
「捨てられた女風情が、調子に乗るな!」
と、城の中の調度品である重厚な椅子をエレオノーラに向かって全力で投げつけた。
椅子はエレオノーラの頭に当たり、彼女は一瞬よろめく。その隙を逃さず、アルフレッド王子はスリーパーホールドで反撃に転じた。王子の腕がエレオノーラの首に巻き付き、彼女は苦しそうに息を詰まらせる。
「くっ……」
貴族たちはその反撃に勢いづく。
「やっちまえ、アルフレッド様!」
「ざまあみろ!」
「それでこそアルフレッド王子だ!見せつけてやれ!」
「エレオノーラなんて相手にならないぞ!」
歓声を上げ、興奮の声がホールに響き渡った。
「うぐぐぅ…」
エレオノーラの視界がぼやけ、意識が遠のきそうになった次の瞬間、
「エレオノーラ!! まだ終わったわけじゃないぞ!」
突然、ホールに力強い声が響き渡った。その声の主は、共にプロレス合宿を乗り越えた第2王子セドリックだった。彼はまるで実況者のようにマイクを手に取った。
「さあ、皆よく見ておけ!エレオノーラ嬢がここで終わるはずがない!彼女はまだ本当の力を見せていないぞ!」
その声にエレオノーラは顔を上げ、セドリックを見つめた。彼の激励の声が彼女の中に再び闘志を燃え上がらせた。
「セドリック様……」
エレオノーラの胸には、セドリックと共に過ごした厳しい合宿の日々がよみがえった。その時の自分を思い出し、彼女は再び闘志を燃やす。
「そう、私が…負けるはずがない!」
彼女は限界を超えて立ち上がり、闘志を取り戻した。
「そうだ、エレオノーラ!まだ戦える!これがプロレス!逆転はいつだって可能だ!」
エレオノーラはセドリックの実況を背に、王子のスリーパーホールドを振りほどく。そして、いったん離れると、再び王子に向かって突進した。強烈なドロップキックがアルフレッドに炸裂し、彼を絨毯の上に叩きつけた。
――ドスン!
「おおっ!見たか、この逆襲~~!これが悪役令嬢の本当の力だあああぁぁぁ!」
エレオノーラはさらにエルボーを繰り出し、優雅に王子を押し倒していく。倒れた王子は動けなくなり、その無力さが露わになる。
最後のチャンスを逃さず、エレオノーラはフィニッシュ技「シュヴァルツ・スープレックス」の体勢に入った。
「これで終わりですわ、アルフレッド様!」
彼女はアルフレッドを後ろから力強く持ち上げる。そして、ブリッジをしながら、勢いよく豪華な絨毯の上に叩きつけた。
「決まったーーーーー!!!!シュヴァルツ・スープレックスだ!エレオノーラ嬢の勝利は間違いなーーい!!!!」
レフェリーがカウントを開始する。
「ワン!、ツー!、スリーーーー!」
――カンカンカンカンッ!
試合終了後、エレオノーラは息を切らしながらも、勝利の笑みを浮かべた。最初は彼女を嘲笑っていた貴族たちも、その圧倒的な強さに恐れを抱き、沈黙していた。
セドリックがエレオノーラの元へ歩み寄り、彼女に微笑む。
「エレオノーラ、見事だ。強さも、誇りも、すべてが完璧だ。」
彼は優しく彼女に手を差し出した。
「強さに惚れたよ、エレオノーラ。」
彼の真剣な言葉に、エレオノーラは少し驚きながらも、その手をしっかりと握り返した。
「私を甘く見てはなりませんことよ、セドリック様。これからも私が最強であり続けるのですから。」
「その隣に立つのが俺であれば、さらに楽しいだろうな。」
セドリックは笑いながら、彼女の手を引き寄せ、その額に軽く口づけをした。
「これからは、二人で最強を目指そう。」
エレオノーラは頬を少し赤らめながらも微笑み、うなずいた。
「ええ、二人で最強を目指しましょう。」
セドリックと共に王宮を後にするエレオノーラ。その後、王子への暴行の罪に問われ追放された二人は、王国から新たな旅立ちを決意し、プロレス興行を通じて各地を巡り、その強さと絆を多くの人々に示していった。
「婚約破棄直後にプロレスをやる悪役令嬢」という題目と以下の設定で「ChatGPT 4o」が書いてくれたものを整理して書きました。
・毒霧、フィッシュフック、プロレス技を使う
・ヒロインが応援する、攻略対象が途中で実況に入る、攻略対象と結ばれるなど
イラストは「ドロップキックを王子にする悪役令嬢のプロレスラー」などで「DALL·E」が作成してくれました。