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第一話

(1/4)


「よっ、健ちゃん」


 学校の下校中。

 透き通った女性の声が聞こえると、不意にバックハグをされた。腰の部分を細い腕が優しく覆う。同時に、優しいバラの香りが鼻を刺激する。


「えっ、はっ?」


 驚きの余り、声を上げる。

 この女性は誰だ? それが一番に浮かんだ。

 第一、女性とバックハグされる関係を持ったことが無い。

 ってかそもそも、俺は健ちゃんじゃない。俺は君野明飛きみのあすと。一文字も掠って無い。ってか誰だよ、健ちゃん。

 じゃあなんだ? 何が起きている?

 

「すみません、どなたですか?」


「あ……」

 

 質問をすると、気の抜けた声と共に腕の力が少しずつ緩くなった。

 良かった。本当に勘違いだったようだ。俺は健ちゃんじゃなくて良かった。マジで。


「ごめん」

 

 彼女は俺から離れたので「平気です」と言いながらそちらの方向を向く。

 そこには、俺と同じ制服の白髪の少女が居た。

 身長は160cm位とやや高く、妖艶だ。

 どこかのハーフなのだろうか。鼻筋は高く、どこか西洋を連想させる。

 そんな彼女のサファイアブルーの瞳はまるで全てを見透かすように綺麗だった。


本当ほんとごめん」


 彼女は再度謝る。


「だから平気だって。そっちこそ、変な男に抱きつかないように気をつけなよ。……じゃ、俺はここで」


 そう言い、俺は彼女に背中を見せると——


「まって」


 腕を掴まれた。


「ん、どうした?」


 俺は再度振り返ると、彼女は明るい表情を俺に見せ——


「君、今から家来てよ」


 突如言われた彼女の言葉に俺は思わず固まり、数秒考えた後やっと出た言葉が


「……は?」


 だった。


(2/4)


「ついたよ」


 そう言って彼女が指差した先には、大きめのアパートがあった。色は薄い赤。

 アパートは新築なのか、壁に黒ずみがない。


「……ここ?」


「? そうだけど」


 俺が少女に聞き、少女が答える。

 すると「っあ、そうだった」そう言い、少女は俺の5、6歩先に立ってこちらを向く。


「自己紹介が遅れたね。私はシスター。シスター・ホワイトローズ。宜しくね、明飛くん《・・・・》」


「えっ……?」


 何故、俺の名前を知っているのだろうか。俺はシスターに会った事がない。今日初めて出会い、バックハグされた。ただそれだけ。


「何故——」


 ——俺の名前を知っているんだ。

 そんな言葉を言おうとすると、彼女に遮られる。


「これから分かるよ」


 そう言うと、シスターは俺に優しく微笑む。


「入るよ、おいで」


 それはまるで白いバラの様に綺麗な髪を靡かせながら、アパートへ向かって行った。

 『これから分かるよ』か。犯罪組織に個人情報でも盗まれているのだろうか。

 ここでアパートに入ると、急に誘拐に遭う。新手のハニートラップすぎるだろそれ。

 だったら逃げ……ても遅いか。個人情報知られてる訳だし。


「ほら、こっち」


 俺が立ち止まっていると、シスターがこちらに向かって手を振って居た。

 ま、いっか。何もない事を願って。

 そもそも、俺は考えすぎなんだよ。

 ……犯罪組織? そんなもん身近にあって堪るか。

 そう思いながら、俺はシスターの方へと向かったのだった。


(3/4)


 シスターがドアノブを捻ると、鍵が空いて居たのだろうか。造作もなく扉が開き、中からは「ひぃ」と言った女性の高い怯えた声が聞こえる。

 やはりここは犯罪組織で、ここで人の監禁を——


「帰ったよキウイちゃん」


 シスターが名前を呼ぶと、直ぐに正面の扉が開く。

 中から出できたのは、一人の少女だった。

 中学生だろうか。容姿ではかなり幼く見える。だが、これまた俺と同じ学校の制服を着ている。

 身長は大体150位で、やや小さい。シスターの髪とは真逆で黒くて長い髪を持った太眉の女の子だった。


「し、シスターさん……お帰りなさ……いっ!?」


 語尾で声が裏返る。俺を見たのだろうか。彼女と目が合った。彼女から見て俺は『同居者(?)が連れてきた、得体の知れない男』と言った感じだろう。この反応は当然だ。彼女の眉が寄る。


「だだだ、誰ですかシスターサン……」


 少女が早口でそう告げる。正味、最後の方は聞き取れなかった。


「ああ、彼? 彼は君野明飛きみのあすと君。『弱点無し』の新メンバーだよ」


 俺の右肩をポンと叩く。


「新メンバーって、俺何も聞かされて無いんだけど」


 肩に乗ったシスターの小さな手を退かしながら批判をする。

 てか弱点無しってなんだ? 頭は普通で、運動神経もそこそこ。アレルギーも特には無い。……確かに、弱点無しなのかも知れない。


「そこは大丈夫、君は絶対入るから」


 そう言い、シスターは()()()()()()()()()()()()()をこちらに向け、綺麗な笑顔を見せた。


「は、はぁ。……ってか、弱点無しって、結局何?」


 そんなシスターに俺は眉を寄せ、思って居た疑問をシスターにぶつける。すると彼女は手を顎に乗せた。


「んー、強いて言うなら『これから分かるよ』かな」


「うわ、また出た」


 「まだ2回目だけど」。そう言いシスターはスポーツシューズを脱ぐ。


「ほら、上がって。キウイちゃん、紅茶お願い」


「は、はいっ!」


 そう言うと、キウイと言った少女が張り切った様子で部屋の奥へと入っていった。


「んじゃ、お邪魔します」


 俺も靴を脱ぎ、正面の扉を開けた。

 そこに広がって居たのは普通の部屋だった。犯罪組織とはかけ離れたような感じだ。

 キッチンにはキウイが立っており、紅茶を作っている。そしてリビングにはテレビとソファが置いてあり、二人で生活するには十分そうだった。


「あ、いいよ。座って」


「あっはい」


 シスターに促され、俺は木でできたモダンな椅子に座る。椅子の上にはクッションが置いてあり、柔らかい。


「ど、どうぞ……」


 キウイがトレイの上に乗った紅茶を持ってきて、机の上にコースターを置いた後に紅茶を置き、続いてポットを机に置く。元々温めてたのだろうか。紅茶の出が早い。


「ありがと」


「あ、ありがとうございます」


 シスターがお礼を言い、続いて俺もお礼を言う。

 シスターが紅茶を啜る。

 じゃあ俺も飲もうかな。

 そう思いながら俺も紅茶を飲む。


「ありがとうなんて……褒めても何も出ませんよ、えへへ、えへへへ」


 浮かれポンチな声が聞こえたのでそちらの方向を向くと、キウイが手を後頭部に回して薄気味悪い笑みを浮かべて居た。褒めたつもりなんて微塵も無いのに。


「……彼女、どうしたの?」


 小声でシスターに聞く。すると「ん」とだけ言い、空のカップをコースターの上に置く。


「よくある事だよ。キウイちゃんは感情の起伏が激しいんだ」


 そう言うと、シスターはカップにポットに入った紅茶を注ぐ。


「は、はぁ」


 俺が半分呆れながら頷く。

 シスターがまた紅茶を啜る。


「……」


「……」


「えへへ、えへ、え……」


 シスター、続いて俺が黙り込み、同時にキウイの笑いも少しづつ小さくなり彼女の顔色が徐々に悪くなる。


「あれ、この空気って私が作った訳ですよね、よってこうなったのは私が悪いのでは、いや、実はそのアストと言う人は私の事邪魔だと思ってて私初対面の人の前で変な喜び方しちゃったし……うう、お腹痛くなって来ました。トイレ行ってきます」


 急に早口で話し出したかと思うと、キウイはトイレへ向かって行った。

 キウイがトイレに行ってから数十秒、沈黙が続く。


「ほら、言ったでしょ?」


 沈黙を破ったのは、シスターだ。


「確かに、騒がしいね」


「そう、彼女はここのムードメーカーなんだ」


「へぇ」


 「でも」シスターが続ける。


「彼女、君が仲間だからってすごく頑張ってたよ、多分」


「頑張ってたって?」


 勝手にテンパってただけじゃ……?


「彼女、人と話すのが苦手でね。勝手にテンパってた訳じゃ無いよ。初対面の人だと一言も話さない事もあるし」


 シスターは俺に指差す。


「君。君と仲良くなりたいんだよ。彼女は——キウイちゃんはもう、君を仲間だと認めてるよ」


 ニヤリと笑う。「来た」と言った。


「すみません、仲間が増えたと思って少し浮かれてました……」


 キウイが俯きながら部屋に戻ってくる。シスターが「ほらね」と言う。

 ……仲間、か。


「ってか、入るなんて一言も言って無いって」


 「仲間なんて言って無い」と小さく続けると、


「「確かに」」


 そう言い、二人は声を揃えて笑った。


(4/4)


 あれからキウイは、冷蔵庫を漁ったかと思うと大量に盛ってあるピーマンの千切りを机に持って来て、食べ始めた。


「いや、何故ピーマン?」


 思わず聞いてしまう。


「っあ、これですか? ピーマン、大好きなので。……明飛さんも食べます?」 

 

 そこはキウイじゃ無いのかよ。……まぁ、名前で決めつけるのは良くないか。


「いや、平気」


「そういえば明飛さんの『弱点無し』って結局なんなんですかね」


 俺が断ると、キウイがふと思い出したかのように言う。そしてピーマンを一口。


「確かに。明飛君の『弱点無し』は不可解な点が多いね。どう言う事なのだろうね」


「「ん〜」」


 二人が共に悩む。そもそも、俺の『弱点無し』ってそんなに考える事なのだろうか。突出した能力がないだけなのに。


「そんな考える事じゃ無……」


「そうだ! 明飛さんが引く程強かったりしませんか?」


 俺の発言なんてお構い無しに、キウイが元気よく言う。


「あの、聞きたいんd……」


「いや、それはない。ならSAが既に彼を見つけている筈だよ。……ならば、なぜ『弱点無し』なんだろうね」


「あの! 無視しないでくれ!」


 またしても。次はシスターに話を遮られたので、大きな声で言う。二人がこちらを見る。


「ん? どうしたの?」


 シスターがとぼけたように言う。


「どうしたのじゃ無いです! キウイさんはともかく、シスターに至ってはふざけてるでしょ!」


 俺が声を上げると。

 「ごめんごめん」シスターが笑いながら謝る。「君の反応がおもしろくて、ついからかっちゃった」


「からかうって、ここまで来るといじめでしょ」


「それは失敬。……で、何のよう? 私達忙しいんだけど」


「勝手に連れてきてなんだよそれ」


 「冗談冗談」。笑いすぎたのか、シスターは涙を拭く。「面白いね、君」

 話が進まない……俺のいる意味はあるのだろうか。


「サイドアップNo.8『アンノウン』」


「は?」


 またからかってきたのだろか。

 ここまでくると呆れて来る。


「言い方が悪かった。……じゃあ私が一度触れた人の心が読める超能力者って言われて。キウイちゃんが魔法使いと言って信じる?」


 いつまでおちょくるのだろうか。流石にもうつまらないぞ。


「ほら、今「おちょくるな、もうつまんない」って思ったでしょ」


 シスターは見事に心を読む。……が、そんなの信じない。何が超能力だ。誰が信じるんだよ、そんなの。


「ハッタリだろ」


「その心は?」


「いくらなんでも、おちょくり過ぎなんだよ。何が超能力だ。俺は子供じゃ無いんだぞ、そんな子供騙し誰が信じるんだ」


 そう言うとシスターは「確かに」と言う。


「じゃあ()()したら信じる?」


「まぁ、それは信じるけど」


 そう言うと、シスターは「キウイちゃん、このコップに水入れてよ」と言い、透明なグラスを机に乗せる。


「っあ、はい。分かりました」


 キウイが席を立ち、部屋を出て行く。


「観測したら信じるけど、何故『観測』なんだ?」


 そんなキウイを横目に、俺はシスターに聞く。


「シュレディンガーの猫って奴だよ」


「何それ」


「あれ、知らないの? 有名な思考実験だよ」


 シスターがジェスチャーで小さな箱を作る。


「この箱の中に猫と1時間に1回の確率で毒ガスを発生させる装置を入れて、30分放置します」


 「さてここで問題」と、シスターが続ける。


「この箱の中に入っている猫は生きてるでしょうか。それとも、死んでるでしょうか」


 シスターは両手の手のひらを机に乗せ、こちらに向ける。

 1時間——60分に一回毒ガスに、30分。普通に考えて半分。


「半分生きてて、半分死んでる……とか?」


 俺が答えると、シスターは頷く。


「そうだね、じゃあ質問を変える。結果はどうすれば分かるかな」


「箱を開ける」


「そう、つまり……?」


「観測するまで、猫が生きているのか、はたまた死んでいるのかが分からない」


「正解。つまり観測すれば魔法の存在が君に中で確定するよね」


 「もういいよ、キウイちゃん」。シスターがキウイを呼ぶと、キウイが小さな杖を持って部屋に入って来た。

 まさか、本当に魔法が? いや、でもそんな事ありえない。どうせ、透明な糸で吊るしている筈。

 だって、そんなの現実的じゃ……


「現実的じゃないよね」


 シスターが()()()()()()()()()()()()()続ける。同時に、グラスの真上に小さな水の玉が出来て空中に浮く。


「実は人間には一人一個ずつ、超能力があるんだ。私なら触れた人の心が読めて、能力の『弱点』が見える。キウイちゃんは魔法が使える。そんな奴」


 辻褄が合った。シスターが俺に抱きついたのも、俺の名前を知って居たのも。キウイの紅茶の出が早かったのも。全て彼女の言う『超能力』が本当なら、説明が付く。

 そう考えると、俺の『弱点無し』は確かに謎だ。俺tueeeee‼︎でも始まるのだろうか。

 と言うか、なぜ(一般人)にはその能力を使えないんだ?


「私達は、能力の覚醒を『発芽』と呼んでいるんだ、この理論で言うと君達は——」


 少し間が開く。

 『俺に答えろ』と。成程理解。

 発芽——それは植物の種子、枝にある芽などから芽が出ることや、胞子や花粉などが活動を始めること。

 その理論だと今俺は植物の種子。つまり——


「『種』って事?」


「これまた正解、そう言う事だよ。……どう? まだ信用出来ない?」


 「もういいよ、ありがとうキウイちゃん」シスターがキウイに伝える。「はい、分かりました」キウイが答える。

 水の玉が無から生まれた。空を浮いた。観測してしまった。

 魔法は、超能力は存在した。ここまで見て信用しない訳がない。

 するとら水の玉が自由落下に従い、ガラスのコップの中に入る。『チャポン』と音が鳴る。


「じゃあ聞く。この組織は、何をして居る?」


 まだここが良い団体と決まった訳じゃ無い。凶悪犯罪と関わっているかも知れない。俺は、まだそんな考えを捨てきれずに居た。


「簡単な話だよ。私達はただ、人助けをしてるだけだよ」


 人助け……? 超能力が使えるとなると、テロを未然に防いだりするのか……?


「残念。そこは不正解。私達——サイドアップNo.8『アンノウン』は、旧世界に迷い込んだ人を助けると言った活動をしているよ」


 俺の心を読んだであろうシスターが、人差し指を交差させる。


「待て待て。まず旧世界ってなんだ?」


 旧……古い世界? 考えれば考える程謎は深まる。


「っあー、まだ旧世界について話してなかったね」


 「ごめんごめん」シスターが軽いノリで謝る。


「人の不可解な死や、行方不明の殆どが旧世界による者で、旧世界のゲートは急に現れる。街の中、山の中、森の中、火の中、水の中、草の中……あの子のスカートの中とか」


 シスターがキウイを指差す。


「うえっ? 私ですか!?」


 ピーマンを刺したフォークを口に持って行く途中。シスターに指差されたからか、キウイが分かりやすく驚く。

 そんなキウイにシスターは「冗談だよ」と微笑する。


「色んな所に現れては、()()()を連れていくんだ。そして旧世界に連れてかれたかと思うと、そこに待ち受けているのは人喰いモンスター。私達はそんな旧世界に行ってしまった人達を助ける。と言った仕事をしてるよ」


 キウイが口元をもごもごしながら小さく頷く。

 旧世界……これも信じ難いが本当なのだろう。


「もう一つ質問いい?」


 俺が問うと、シスターが「いいよ」と言う。


「その、シスター達の団体って何? 世界の闇組織だったりする?」


 「闇組織って」。シスターが吹く。

 彼女達が行っている事は正義だ。だが、場合によっては彼女達は命を賭けている事になる。そんな事がボランティアとは考えられない。収入はどこから? また、その金はどこから出ている? 闇金? 

 俺はそれらを聞いた。


「サイドアップ。組織名だよ。由来はよくわかって無いね。ヨーロッパに拠点を置いてる世界共通組織だよ。通称SA。実は日本も加盟していて、私達は日本ここで活動してる。だから、金は国から貰ってるんだよ。公表されてないだけで、怖い組織では無いよ。……で、ここはサイドアップNo.8、『アンノウン』。特に由来とかは無い」


「実はまだ決まって無いだけです」


 キウイがタイミングを見計らって言う。「こらっ」シスターが微笑む。


「そうなんだ、実は名前は決まって無いんだよね。でも、さっき決めた」


 「聞きたい?」シスターがそう言うと、キウイがコクコクと頷く。


「『アウター』。明飛君の『ア』と、キウイちゃんの『ウ』。そしてシスターの『ター』。安直過ぎるかな」


 シスターが照れたように頬を掻く。


「ってか勝手に俺を仲間に入れるな」


 自然過ぎて気づかなかった。俺じゃなかったら見逃してるぞ。多分。


「君の身元を調べた上で言ってるんだけどなぁ」


 シスターが紅茶を啜る。


君野きみの明飛あすと。AB型。175cm。電話番号と住所も知ってる。親は幼い頃に亡くして祖父母に引き取られたが、今は入院中。絶賛一人暮らしって所かな。バックに国がいるから、君のことは全部知ってるよ。制服《この服》だって、君の高校のと合わせたんだよ。にしても可愛いよね、これ」


 シスターが立ち上がって一回転し、スカートがひらりと舞う。


「こっちの事情は全て筒抜けって訳か。……はいはい、一人暮らしで部活もバイトもやってません。いつでも入れますよ」


俺が呆れながらそう言うと「じゃあきまりだね」と言い、笑顔を見せて椅子に座る。


「ようこそ、『アンノウン』改め『アウター』。『アウター・サイドアップ』へ」


 シスターが手をこちらに向ける。キウイが「ようこそー!」と、両手を上げる。


「ああ、こちらこそ宜しく」


 そう言いシスターの手を取ると、シスターのスマホがなる。電話がかかって来たのだろう。


「早速仕事だね」


 そう言うと、シスターは電話に出る。


「こちらシスター。……はい、はい。分かりました」


 電話が終わったのか、シスターがスマホをポケットに入れる。


「キウイちゃん、明飛君、岐阜でコードAが起きたらしい。行こう、『アウター・サイドアップ』。その初任務へ」



第一話 アウター・サイドアップ

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