泥沼少年の恋
僕は泥沼の底のナマズのような
男子高校生だ。
同じ校舎に美しい少女がいる。
名前も知らない。
顔も見られない。
あの子の美しく眩しい笑顔は
まるで美しい向日葵のようで
僕には眩しくて直視できないのだ。
まるで僕は泥沼に
住んでいるナマズで
彼女は池のそばに咲き誇る向日葵で
僕は永遠に泥沼から出られない。
僕と彼女の間には
沼底よりも深く空よりも高い
遠い遠い距離があるのだ。
帰り道僕は見てしまった。
彼女と高校で一番優秀な
スポーツマンの男子と
一緒に帰っていたのだ。
僕はその時心臓に
激しい動悸が走った。
胸が異常に苦しい。
僕は街中の薄暗い
路地裏に駆け込んで
しゃがみ込んだ。
脚にも力が入らない。
立てなくなった。
僕は心に決めた。
この淡い恋心を
胸の奥に鍵をかけて
ずっとずっと閉じ込めよう。
逃げたい。
忘れたい。
消えたい。
死んでいなくなりたい。
頭の中が混乱し眩暈がする。
心の中で叫んだ。
嗚呼、神様!
どうか
どうか僕に、
恋した女の子を見ることも
話しかけることもできない
臆病な男の僕に、
この恋を忘れる勇気をください!