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【♯75】頭隠して◯◯隠さず? ステルスに不向きなヤツが来た。

 ――――引き続き、A.I.M.Sレポート『フィールドリサーチ』のプレイを報告しよう。


 A.I.M.Sの武器や兵器が眠る海浜倉庫『ウェポンズ・ベイ』の潜入捜査を実況中のキッドとハリアー。キッドのパシリ……もとい、分担捜査として単独行動をする事になったハリアーは、キッドが居る『AI−03』から南南西の『AI−08』へ潜入することに。……ところが。


(……間違いねぇ、他に誰か居るな。キッドの足音とはまた違う、ゲーミングロイドに警戒してないような不用心な感じ――!)


 ハリアーのPAS・風の精霊『シルフ』の能力は、常人の2〜3倍の聴力・視力を得られるという。

 特にスニークの最中で五感を研ぎ澄ますハリアーの耳には、ゲーミングロイドでも、同胞の動きでもない違う音を察知していた。


 その距離は、更に彼に近づくかのように迫ってくる。約50メートルから更に接近している! ……かと思いきや。


(…………ん? 足音が急に消えた?)


 ゲーミングロイドに警戒しながら、辺りを見渡すハリアー。そして彼から隣の倉庫の角、不可解だった音の正体が明らかになった!



(…………え。何だ、アイツ??)


 その姿、砂のような黄色がかった薄い灰色と、茶色にコーデされたウエスタンスタイル。ブーツにテンガロンハットと、まるでテキサスにでも出没したかのようなカウボーイのような男。

 特殊戦闘服『スニークスーツSTS』のカモフラージュにより、男はハリアーの事を気付いてはいないが、彼の()()に奴は姿を現していた。というか……


(海浜倉庫にカウボーイとか、場違いにも程があるだろ!?)


 そんな勘違い野郎……失礼。カウボーイアバターの男もハリアーと同じく、ゲーミングロイドの監視を警戒し、倉庫内にて何かを探している様子だった。

 ……あ。A.I.M.Sレポートのデータから、カウボーイの正体が分かりました。彼の名は――


「俺の名は、砂田淳(すなだじゅん)。アバター名『砂塵のジューン』。とある地底空間のゲーミングチーム所属のエリートゲーム戦士だ。

 依頼内容は、オンラインFPSゲーム『A.I.M.S』の極秘リークの鍵を握るこの海浜倉庫の情報を収得すること。ふっ、まったくチョロい仕事だぜ」



 ……あのー、勝手に自己紹介しないでくれます?


(しかも自分の口から、独り言のようにベラベラ喋ってたぞ!?)


 ハリアーと同じく、スニークを用いた諜報のフィールド探索を行っていた『ジューン』と自ら明かした男。エリートと名乗るには余りにも不用心な気が、


「え? アバター名の由来? それは俺が無類の西部劇好きなのと、“淳”って名前を何気に伸ばしてたらカウボーイっぽかったのと、あとジューンって英語で6月って意味じゃん? 俺誕生日6月だから、ピッタリだなーと思って」


 全然話の流れに付いてってくれない。てか独り言でよくここまで喋れますねアンタ。


「……だが俺にも、チームの誇り(プライド)を背負う義務がある」


 あら、頼んでも無いのにいきなりシリアスになっちゃった。


「俺等チームは、地底空間のウエスト地区、つまり地上でいう西日本じゃ有名なチームなんだが……。同じ地底空間のイースト地区、つまり東日本側じゃ『エレメント◇トリガーズ』ってチームが有名になっている。そいつらに対抗する為に、いよいよこの俺の初出動する時が来たという訳だ。

 ――魅せてやるぜ、このジューン様の伝説の序章(プロローグ)を!!」


 ……結局、語り部の私Mr.Eの解説の隙もなく、全部己の独り言で、ジューンの正体を知ってしまったハリアー。


 ジューンが地底空間のゲーミングチームにいる事、そしてトリガーズに対抗意識を持っていることと様々な印象を受けたハリアーだったが、


(音はしねぇけど、動きがうるせぇ……)


 サイドステップに前転、反復横跳びやらと、無音だが無駄な動きが気になって仕方が無いハリアー。

 同じ目的でフィールド探索をしている以上、ジューンが下手な動きをするものならば、ハリアー達の探索にも支障が出るだろう……と言ってる側から、


(あっ、バカ! そこはゲーミングロイドが……!)

 ゲーミングロイド達の捜査網地域に、堂々と突入するジューン。だが直前にその気配にいち早く気付き、即座に倉庫の死角に隠れた


「ヤバいッッ、警備ロボ! 監視してるなんて聞いてないぞ!?」


(いや、事前に調べられるだろ。何で手ブラでいけると思った。何でギリギリでも独り言を止めないんだ?)


 ハリアーのツッコミが止まらない。それを他所に窮地に至ったジューン。ゲーミングロイドとの距離は20メートルも満たない。見つかるのも時間の問題。

 彼の取った行動は……?


 …………サッ。


 大きな布で倉庫の壁と同化し、ジューンの身を隠した。


(隠れ身の術!!??)


 カウボーイ姿で忍術とはこれ如何に。ゲーミングロイドがジューンの隠れている壁に迫る!


「ドラクエスリーノエイチディーツーディー、ケッコウオモロイ?」

「アレケッコウタンサクリョクモトメラレルンダヨナー……」


 気付かれなかったようだ。


(何で!!? 独り言激しい奴が何で機械に察知しないんだよ!?)


 人の個性は十人十色。機械の目には感じ取れない不思議な気配もあるのかもしれない。


 そしてジューンがたどり着いた倉庫は『AI‐08』。折しもハリアーが狙っていた倉庫と同じであった。ジューンは先に倉庫シャッターの前に立つが、


「……ん、鍵かかってるな」


 鍵、というよりパスワード入力によるセキュリティキーによって、倉庫は管理されている。

 ハリアーは事前に、キッドからパスワードを教えられていた為、倉庫を開けることは容易ではあるが……


(先にあのバカに倉庫を見られるのは癪だが、邪魔になるなら始末する事も考えとくか……?)


 ハリアーは動かずジューンの動向を伺う。どうにか彼が派手な真似をせず、静かに依頼を果たして欲




 ――――ギュイイイイイイイイイッッッ


 ……しいと思ったのに、その期待は大きく裏切られた。



「オイイイイイ?!! セキュリティをチェーンソーで斬る奴があるかーーー!!!」


 遂にハリアーが大声でツッコむ始末。ジューンが使うチェーンソーの刃音に、当然ゲーミングロイド達も反応し、ジューンを標的にマシンガンの銃口を向ける。


「やべ、見つかったか!!」


 当 た り 前 や。


「キサマ、ソコデナニヲシテイル!?」

「テカチェーンソーデソウコアケルバカドコニイル!?」

 ゲーミングロイドにまでバカ扱いされちゃった。


(ええぃ、ままよ!)


 これに対しやむを得ないと思ったか、ジューンが不憫に思ったかさておき。ハリアーは痺れを切らして『スニークスーツSTS』のステルス効果を解除し、アルティマスキルを発動させた!


 ◇――――――――――――――――――――◇

 ・アルティマスキル【風妖精(シルフ)の旋風】発動

 ◇――――――――――――――――――――◇


 ご機嫌斜めの旋風。ハリアーのツッコミのしすぎでイライラしてたのか、荒れ狂う風がジューンの周りを囲うゲーミングロイドを舞い上がらせ、四方八方遠方へと飛ばされていった。


「何でこんな奴の為に……」


 敵との遭遇で窮地に立たされた際の、緊急脱出に使われるアルティマスキルをこんなアホの為に使うとは。そしてせっかく身を隠してたのに、そのアホの前で姿を現してしまった。ハリアーは心底不服であった。


「あ、ありがと。何か知らんけど、助かったぜ。アンタもあれか。同じゲーム戦士で倉庫探索してたんだろ?」

「……あぁ。てか、探索するならパスワードとか事前調べなかったのか?」


「いや? 行けば普通に入れると思った」


(やっぱアホだったか……)


 こーゆー奴ほどメタル◯アやっても無駄だろうとハリアーは思ったが、思うだけ無駄と悟った様子。

 だがそんなジューンを差し置いて、情報を得る事に何か可哀想と思ったか。パスワードを入力して彼と共に倉庫内に入る事にした。


「……そーいや、お前トリガーズに対抗意識持ってるつってたな。同じ地底空間のゲーミングチームで張り合う事ねーんじゃないか?」

「なんだ、俺の話聞いてたのか」

「バカ、嫌でも聞こえるわ。独り言にしちゃ説明口調だったぜ」


 パスワードを入力し終え、倉庫のシャッターが開いたその刹那――――


「ご苦労だったな。()()()()()()


 ――――ドカッッッッ


 ハリアーの頸髄に強烈な殴打音。ジューンの両拳による雑な当て身によって気絶。


 そして何よりもジューンが、名乗られても居ないのにハリアーの名前を既に知っていた……!



「悪いがお前なんかに、うちのキャプテンの邪魔はさせねーよ……!!」



 砂塵のジューン、彼の真意は如何に……?

 本日のA.I.M.Sゲームレポート、報告は次回に続きます!



 〘◇To be continued...◇〙


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