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【♯05】初陣ランクマッチ・スタートランディングは計画的に。

――TIPS――

【A.I.M.S ランクマッチ基本ルール】

①参加条件:プレイヤーレベル30以上かつ18歳以上の年齢認証が適用される者。


②エイムズマネー:ランクマッチより導入される仮想通貨型の売買システム。マッチ戦では1000M以上を参加料及び賭け金、並びに武器の生成料として使う。


③ランク制度:初期は『ブロンズ5』から始まり、『シルバー』『ゴールド』『プラチナ』の順で構成され、最後の『プラチナ1』のノルマポイントが達成すると、ランクマッチより遥かにレベルの高い隠しモードに挑戦できる。


※モードによっては、二人編成『デュオ』・三人編成『トリオ』・四人編成『カルテット』で参加可能。

 ――A.I.M.Sに参加するプレイヤーは、オンラインに転送されると各マッチの準備に様々な機能を用意した『ロビールーム』に待機するようになっている。


 近未来SFならではの無機質なブルーライトと、機械回線が脈打つように流れる電波の光が、プレイヤー達の闘争心を制御されるかのような、もどかしくも不思議な感覚へと陥らせる。


 戦いたいという意思を抑えつつ、戦場で最高のコンディションを整えるプレイヤーは準備に怠りなし。

 キッドとハリアー、同じルームで共にスタンバイをする二人が特にそうだ。


「ハリアー、スキルはどんな感じで行く?」

「特に変わった事はしねぇよ。スプリント加速とかガードは固めとく」

「じゃ俺はいつも通り攻撃系スキル入れとくから、追加で緊急回避用の『エアロジャンパー』も入れといて」

「あいよ」


 今回から初挑戦となるA.I.M.Sランクマッチ。序盤から強敵とチートプログラム【プレデター】に警戒してか、レベルアップによって獲得した『ノーマルスキル』を三つまで登録していく。



「あ、それと。もう()()()してるからさ、視聴者の前では愛想良くしとけよハリアー」

「……え?」


 〘ハリアーさんこんちわー〙

 〘いよっ、怪盗ソルジャー!〙

 〘今日もぶっ放してやってください〙


 キッドもお人が悪い。いつの間にか彼のゲーム画面では例のごとく、右側には自動スクロールで展開される視聴者の皆様のチャット欄。いつの間にやら生配信実況がスタートしていたようだ。

 忍び頭巾を被った東洋の怪盗アバター姿のハリアーに画面が映れば、一斉に挨拶コメントの雨あられ。


「ほら、もう始まってるからさ。視聴者に挨拶しなさい!」

「……………どうも」


「“どうも”じゃねーよ! “ご機嫌ようですわー☆”とか言えねぇのかよ愛想悪いな」

「無茶言うな! それ流行りのお嬢様実況者じゃねーか!!」


 この掛け合い漫才にチャット欄も〘草〙やら〘www〙の連続。今からガチ勝負する二人には良いリラックスになったでしょうか。


「……よっしゃ、行こうか!」

「俺っちはいつでも行けるぜ」


 両者共にスタンバイ完了の意思で揃い、ロビーにて二人の眼前に並ぶ無数の扉。その中から正面の赤いライトが漂うゲートが『ランクマッチ』の入口になっている。


 二人はマッチ設定を二人編成の『デュオ』にし、出動要請のコマンドを打つ。

 ここでサーバーが100人分のマッチングを行い、準備が整い次第ランクマッチの扉が開いて、改めて戦場へと飛び込めるのだ。


 出動するフィールドは【エンペラー・キャニオン―EMPEROR CANYON―】。電脳空間に無数に存在するデータから生成された荒野の開拓地であり、A.I.M.Sの基本マップはここから出ていると―――


 ◇――――――――――――――――――――◇

 マッチング完了・ランクマッチ出動せよ!

 ◇――――――――――――――――――――◇


 おや、どうやら出場するプレイヤーが確定したようですね。ランクマッチへ誘うゲートも開かれました!



「そんじゃライブ配信観てくれている視聴者の皆さん、そしてこれを読んでる読者の君も、応援宜しくお願いします!!」


 〘がんばれー〙〘がんばれ!〙〘ファイトー〙〘初陣チャンピオン取ったれーー!!〙


 VRと現実、更には小説を読む貴方側の()()()()をも超えて、出陣の挨拶を交わすキッド。

 お待たせしました、いよいよA.I.M.S本番・ランクマッチ開幕です!!



 〘◇Now Lording◇〙


 ―――FPSでは、参加する全プレイヤーを載せたジェット機や空母に乗って、上から急降下しながら最初に着地する場所を決める。そしてこのA.I.M.Sも然り。


 100人の参加プレイヤーを載せた巨大空母『フォーリングスター』が、各マッチランダムで決められた直線空路でフィールドを突っ切る間に、プレイヤーはスカイダイビングの要領でジェットパックを背に空母から飛び込み、好きな地区へ着陸するのである。


 A.I.M.Sのフィールドは全て地区毎にギミックも設けられた施設や団地・地形が存在する。

 今回キッド達が降り立つ【エンペラー・キャニオン】でも、状況と立場によってはゲームの優劣を左右する場所があるが、そこは彼らの移動と同時に説明する。


 では改めて、キッドとハリアーが着陸する地区は……?


「マップ南西のサルベージ地区『ブルーインパルス』! そこで大量撃破を狙おう」

「マジか、じゃちゃんと武器が落ちてるとこに降りろよ。下手すりゃ武器取れないで即終了も有り得るからな」


 孤島であるエンペラー・キャニオンでは、VRMMOが創り上げたデータの海底に眠るプログラムを引き上げるためのサルベージ区域が存在する。

『ブルーインパルス』はサルベージに必要なクレーンや建物を多数設けている為、プレイヤーにとっては確実に武器を手に入れられる場所かつ多数撃破も狙えるとして有名な地区である。


 キッドとハリアーはそこを着陸地点とし、空母のダイビング口に向かって飛び込む準備に出る。その距離と標高は700m程度……!


「…………行くぞ!」

「おぅ!」


 ―――シュバッッ!!


 巨大空母から決死のダイブ、その直後に彼らのジェットパックからは赤と緑のデュアルカラーな煙を吐いて、エンペラー・キャニオンの空を彩る。

 しかし上空ではキッド達と同じタイミングで飛び込んだプレイヤー達が、虹色のアーチを描くかのように四方八方に急降下していく!


「キッド、ブルーインパルス上空に5パーティー確認!」

「こりゃ大乱戦になるな。足付いたら直ぐに武器取れよ!」


 報告を聞いたキッドは降下角度を直下にし、その速度を加速させる。狙う着陸地点はブルーインパルス内の小さな防弾シェルター、武器を獲得するに相応しい施設だ。


 ―――シュタッ


 両者共に着地成功。そして直様シェルターに入り中に散開している武器・アイテムを部屋内に闇雲に取っていく二人。


「ハリアー取れたか!?」

「完璧。俺っちの好きなSMGだ!」


 キッドとハリアー、同じ仲間同士は離れていても無線通信によって意思疎通が出来る。

 ハリアーの武器確保を確認するや否や、キッドも得意武器のマグナムリボルバーピストル『ファイアバード』を獲得した。


 〘勝ったな。〙

 〘風呂入ってくるわ〙

 〘チャンピオンなったら教えて〙


「気が早いわ皆」


 ゲームは始まったばかりなのに、得意銃を獲得しただけで勝利を確信する玄人な視聴者も存在していた。冗談か本気かはさておいて。


「……キッド」

「分かってる。存分に魅せプしてやろうぜ」


 シェルターの中から聞こえ来る無数の足音。同じく武器探索に足を踏み入れた敵が、そのドアを開けた瞬間に弾丸と火花が散らされることも知らずに……!




Ready(レディー)FIRE(ファイア)!!』

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