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【♯65】ゲーム戦士の夢は、遠きにありて思ふもの。

 ――新モード・スクランブルモード、初陣にして激闘を繰り広げた戦いも遂にゲームエンドへ。


 クリアのウィンドウが表記され、弾丸火花散る戦場と化した満月の摩天楼『フルムーン・メガロポリス』に静寂と、ゼロから成る和平が訪れた。

 プレイヤー達全体の敵である『ヘビーメタル・レイダーズ』に破れた者も数知れず、激しい戦火と不意打ちによるノックダウンを乗り越えて生き抜いた全ての戦士に栄誉を称え、『GG(グッドゲーム)』の言葉を与えたい。


 〜〜♪♪


「おっと、メールだ」


 スクランブルモードクリアに酔いしれる、キッド達トリガーズと実況者チーム全員のスマホに流れる着信音。その音に夢見心地が醒めながらも、届いたメールの内容に驚かされた。


 □――――――――――――――――――□

【A.I.M.Sスクランブルモード・クリア者へ】

 ・生き残ったプレイヤー全員に30,000M(マネー)を獲得されました。

 ・更に本日のミッション、並びに敵討伐に貢献した者に追加報酬も用意しました。内容はプレゼント受取にて確認ください。

 □――――――――――――――――――□


「あんだけ苦労して3万マネーか、世知辛いねぇ」

「そうボヤくものではない。わたしも含めて皆が生き残ったのだ、限りある命を讃えようではないか!」

「今度は反戦劇かよ」


 等と白けたボケとツッコミをかます戸塚と穂希。彼らもレイダーズ討伐に大いに貢献した戦士の一人だが、一応この辺で、追加報酬の内容を説明すると。


 まず生き残ったプレイヤー全員には、ピストル系に使える武器専用アクセサリー。弾丸の造形をした『ガンチャーム』なるカスタムコーデのホルダーが贈呈。

 そこからぶっ飛んで、敵討伐数・ミッション貢献度・被ダメージ量等などの累計を合わせたベスト3のゲーム戦士には素晴らしい報酬が。


 先ず第三位は、エレメント◇トリガーズのツッチーさん!!

 中盤にて、レイダーズのゴーストライダー部隊を精装パワーで一網打尽にした事が貢献に繋がりました。報酬はアバターカスタマイズや、武器作成に使う材料『エイムエナジー』50,000エナジー!


「こりゃ儲かったでぇ! この量は普通のランクマッチの20倍の量になるさかい、収集の手間が省けたわ!」


 これでまた、あの『トリガーツール・システム』の開発にも取り掛かれますな!


 続いて第二位は、無所属・“黒い稲妻”ルシファー! こちらもレイダーズの機械兵討伐でかなり撃破した事と、殆どダメージを負わずに終えたのが上位に食い込んだ要因ですな。報酬は『アバターカスタマイズ・SSレア引換券』3枚。カスタマイズの装備の最上レアと引き換えてくれるチケット、それを3枚手に入れるなんて素晴らしい!


「……………」


 あれ、あんまり嬉しそうじゃないですね。二位だから仕方なしでしょうか。


 さて気になる一位なんですが、先に報酬の方だけ説明させて頂きます。

 単刀直入に申しますと、108個集めると願いが叶う太陽の欠片データ・【シャインピース】です!!


「何となく、分かってた」

「あれ俺達の初戦で出たっきりだったんもんな」

「危うく没要素になる所だったわね」

「50,000エナジーで何創ろかいな〜」


 トリガーズ諸君、少しはリアクションに協力しなさい! 確かに出さなかったのはこっちも悪かったけど!!

 さて、映えあるスクランブルモード貢献率第一位は……?



 ――――エレメント◇トリガーズ所属、アリスさんです!!


「ふぇっ、あたし!? 何で!!?」


『そこはキッドじゃないの!?』ってお思いでしょう、意外でしょうが実は違うんです。

 前回、キッドとルシファーがスチール大将軍に捕まった所は減点対象になっていて、アリスさんが順位が跳ね上がったのはその後。そのリプレイがこちら。



『ゴルァァァァァァッッ、キッドの仇じゃああああああああああ!!!!!』



 親友のキッドが、一時は本当にノックダウンにされかけた事に相当腹が立ったんでしょうね。近距離が圧倒的不利なスナイパーライフルを零距離で機械兵にぶっ放し、36体もの敵を撃破しちゃいました。

 しかも撃破時にヘッドショットで討った事で、撃破ポイントが1.5倍になる仕組みで、アリスさんはそれを28回も繰り出した。その相乗効果によってルシファーを抜いてのNo.1。お見事でした!


(ヤダ、あたしってば! キッドを助けようと思ってムキになっちゃって、恥ずかしい……)


 暴言吐きまくった分、赤裸々な所を見せられてパーソナルカラーが水色のアリスが顔だけ真っ赤っか。溺愛してる琴ちゃんは別ルームで呆然と見守る中で、ようやく手にした2つ目のシャインピース。

 眩い光と暖かな熱に包まれたプログラムパーツが、激戦の疲れをも癒やした。


「やれやれ、今回はトリガーズが主役って訳か」

「良いでは無いか。脇役も偶には悪く無かろう」

「いやぁ~アリスちゅわんが手に入れたなら、僕全然悔いは無いよ〜!」

 戸塚、穂希、中田と実況者三人がトリガーズのシャインピース獲得に妬まず、称える所を見るに、彼らも善のゲーム戦士。そしてルシファーも……


「…………今日の所は完敗だ、キッド。なけなしの欠片をせいぜい大事に持っているが良い。次は必ず俺が、太陽を掴み取ってみせる……!!」


 敵ながら報酬を奪い取るといった卑劣な真似を好まず、正々堂々と戦場に赴く孤高のゲーム戦士・ルシファー。結託した者達との挨拶も握手も交わさず、ただ一人この場を立ち去った。


「……悪いな、アイツちょっとだけ()()()()なんだ。あんま気を悪くしないでな」

「別に気にしてないよキッド。それも実況スタイルの一種として見ておくから」



 ………孤独の硬派って、時代遅れですか??


「シャインピースか、俺も集めてはいるんだが……キッド達と同じだ。中々集まりそうで集まらない」

「それなら僕も一緒だ」

「わたしもだ」


 実況者三人も同じくして、シャインピースを持ってはいるが、中々集まらない様子。108個の欠片とて、集めることは決して容易じゃないようだ。


「それでも、俺達はそいつで叶えたい夢がある。長い歴史によって蔑まれてきた地底空間に住む人、その人達の自由を掴むこと。これが俺達の願いだ」


 エレメント◇トリガーズが共通して、叶えたい夢を告白するキッド。

 生まれ育った地底空間、その粗悪な環境でも育ててくれた人々の恩返しの為に本気でA.I.M.Sに挑む四人。だが同じく大きな願いを持つ戦士は大勢いる。ましてや結託した者達の中にも。


「わたしも、わたし自身がプロデュースする劇団を創る夢があるのだ。その為にもA.I.M.Sに挑み、シャインピースを手に入れる覚悟は出来ている」


 矢野穂希こと『ほまれ劇場』、元劇団員の誇りから彼自身が創造する劇団を創ることを夢見て、資金稼ぎにゲーム実況を始めたという。


「自分の願望が大きいとか小さいとか関係ない。己が目指す希望を、同じように掴もうとする君達とは何れ、わたしの敵になるであろう。もしその時になっても、君達はその夢を躊躇わずに進む覚悟は出来てるのかい?」


 そんな穂希の真剣な問いに、キッドは真摯に受け止めた。


「――――夢を追うことを躊躇う輩に、同じ戦地に立つ資格はありません」

「!!」


「俺達ゲーム戦士は、平等で純粋な願いを持ってゲームに挑んでます。ほんの些細な事でも、人生で重要な事も皆、何れは大事な夢に繋がるんです。

 たとえその夢が遠かろうと、壁が阻もうと、俺達は自由を掴むことを諦めません……!!!」


 滾る炎のサラマンダーの魂を持つキッド。その情熱にも似た熱気ある感情は、穂希にも周囲の者達にも、はたまたチャット欄の視聴者にも鋭く心を打たれた。

 言い返す言葉が見つからない沈黙の中で、先に口を動かしたのは意外にも、中田こと『ナカター』であった。



「……キッド、僕はアンタと一緒に戦って確信したよ。アンタなら、地底空間の偏見に捻れた歴史を覆す事が出来るかもしれない。僕のコネで、君達トリガーズに会わせたい人が居るんだ」

「――――何ですって?」


 今のナカターは、ヘラヘラとしたタレントモードから1点して真剣モード。キッドにも互角な本気の眼差しと共に、意外な真実が明らかにされた。



「僕と、その仲間も地底空間の出身だ。そして僕の仲間の中には、君のPASによく似た()()()()()()()の能力者。君には彼女と同じシンパシーを感じる!」


「……………ちょっと、頭ン中整理させてよ」



 ―――ゲームエンド、転じて急展開!! なんの事か視聴者どころか、キッド本人すら分からない状況に生配信内は大パニック。

 今はただ、その動揺を抑える為に時の流れに身を任せるしか無かった……!



 火・風・水・土、精霊四勇士エレメント◇トリガーズ。彼等の次に待ち受ける激闘は果たして何か!?


 本日のゲームレポート、これにて報告完了!!



 〘◇To be continued...◇〙


小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!


更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!


A.I.M.Sで登場させたい実物の名銃も、感想欄で募集します! 次回も宜しく!!

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