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【♯61】ボスキャラなのに、微妙なタイミングで戦場に来た。

 ――A.I.M.S『スクランブル』モードの緊急ミッション。ヘビーメタル・レイダーズの襲撃から強制退場させる巨大電波塔『システムオーバーZZ』の起動パーツを広いフィールドから15個集めなければならない。


 果てしない戦闘からの開放、それが戦場と化した摩天楼の住民と、投入されたプレイヤー達全員の願い。

 機械軍によって撃破された者も数知れず。そんな修羅を乗り越えて生き残ったプレイヤーが、この常夜の悪夢を終わらせてくれるだろう。


 ……だが、その希望を当然奴らが許すわけが無かった!


 〘◇Now Lording◇〙


「何ぃ!? メガロポリスの連中が反機械パルス装置の準備を進行してるだとぉぉぉ!?」

「はっ、中央エリアに設置との事ですが、起動する為のパーツが散乱してる故発動までに時間が掛かる模様」


 司令室のモニターで確認された状況を、スチール大将軍に報告する女性型アンドロイド。


「こんな時にゴーストライダー部隊は何をしとるのだ!」

「おそらくはゲーム戦士の仕業かと。特にEエリア周辺が制圧率34%の所を見ると、形勢は逆転しつつあります」


 序盤こそは順調だったゲリラ襲撃も、あのエレメント◇トリガーズを代表とするゲーム戦士の活躍によって、ゴーストライダー部隊も全滅寸前まで追い込んだ。

 こうも残念な結果が続いたのだから、短気な大将軍の頭も熱が入って制御が付かなくなる。


「えぇいもう我慢ならん!! こうなれば我輩が戦場に赴く! 直ぐに支度しろ!!」

「ふぇ!? 将軍が出陣するでがすか!?」

「止めてくれるなナマリ、率先垂範(そっせんすいはん)だ! 我輩が危険の淵に身を投ずれば、我が機械兵の士気も上がるというもの。御大将が模範になって戦うのも戦の基礎なのだ」


 等と百戦錬磨の将軍らしき金言を口にしたは良いが、


「あーわしゃ垂範だか炊飯器だかは気にしてないから。取り敢えず土産は買っといてくれや。鳩サブレで構わんから」

「鎌倉観光してくわけじゃねぇぞ!!?」


 何とまぁ、気の抜けた軍団ですなぁ。


 だけれどもこれは大変だ。ヘビーメタル・レイダーズの御大将が自ら出陣するとあらば用心せねばなるまい。そこらの機械兵とは強さの比較にはならない。『スクランブル』モード初戦から大波乱の予感。



 ……いやちょっとお待ちよ。もう既にフルムーン・メガロポリスでは波乱が巻き起こってるようですよ。というのも―――



「………ルシファー、お前もスクランブルモードに出てたのか」

「どうも最近はお前に出くわす事が増えたようだ。妙な縁でも出来たのか」

「腐れ縁じゃねーの? 俺ら似た者同士、物好きが同調しただけだろ」


 起動パーツを探していたトリガーズのキッドと、地底空間のアンドロイド・ルシファーが邂逅。

 前回の修羅場からさほど月日は経っていない中での出会いは、確かに何らかの縁で繋がったのだろうか。どっちにしても第三者にとっては新鮮な絵面であった。


 〘黒い稲妻!?〙〘やっぱ来ると思ってた〙〘ルシファーもクールでかっこいい〙〘これ戦り合っちゃうんじゃない?〙


 ライブ配信の視聴者も、チャット欄で見る限りでは興奮や納得の意見バラバラ。中には初めてトリガーズとルシファーとの初戦を切り抜き動画から知った者も居て、二人が因縁の仲である事を知ったようなコメントもあった。


「それで……念願の地上はどうだったのだ。この俺を差し置いて、浴びた太陽はどうだ……!?」

「………!!」


 何故ルシファーが、キッドの地上進出を知っていたのか。好敵手故にマークされていたからか、いやもっと単純な理由があった。


「お前、俺達のチャンネル観てたのかよ?」

「無論だ。貴様ら宿敵の動向を確認せずして討つことは出来ん。サービス開始時からスクランブルモードに投入される事も、同法共と地上のおでかけ動画なんぞ上げて浮かれてる事も全てな……!!」


(……これ見方変えたらトリガーズの熱烈なファンじゃね?)


 ルシファーの嫉妬にも似たライバルへの執念。そして投稿動画のマーキングは、エンタメ視線から見れば純粋に彼らの活躍をいつも観ているファンにしか見えなくなったキッド。コメント欄もこの通り。


 〘羨ましいのか?w〙〘キッドさん、仲間に入れてやったらw〙〘これでルシファーさんからの土産でも買ってください ¥2,000〙


「俺はお前に見せびらかすだけに地上に行ったんじゃねぇ。あ、◯◯さんスパチャ二千円、ありがとうございます」

「何?」


「お前が待ち望んでる地上は、地底とさほど変わらないって事だ。いつも太陽が俺達の側にある訳じゃないし、都会の街中歩けば皆が余所者だ。お前が地の底で感じた虚無感ってのは地上に居ても同じだと思うぜ」

「………………」


 世知辛い世の中は、例え住む場所が外でも地底でも見方次第では何処も地獄という場合もある。特に地上の者から格下扱いされ続けているトリガーズにとっては、地上は憧れでありつつも、息苦しさが強くなる。


 だがルシファーはその世相を全く知らないアンドロイド。キッドが動画を通じ、目で見たもの感じたものを説いても信じようとはしなかった。


「………下らん。ただでさえ日の下でいる人間同士が、そんな贅沢な悩みに現を抜かすとは」

「贅沢な悩みなんかじゃねぇ! その人間同士が立場に上下を付けた世の中で、平等に生きる事の俺達の苦しさがお前に分かるか!!」


 それはキッドが、いや地底空間に住む人々が思い連なる渾身の訴えであった。

 視聴者も聴き入って、コメント欄のスクロールが一時止まる程の世界観。……しかし。


 既にルシファーの片手には、エネルギーアモ型LMG『リベリオン』がキッドの顔面目掛けて構えられていた。


「やはり貴様は()()()だ。この世に万物が、平等で生きられる理想など……悪にも劣る!!!」

「んだと、このぉ……っ」


 そしてキッドの腰ホルスター内のマグナムリボルバー、『ファイアーバード』をクイックドローで先制する構え。

 そこから抜き、ルシファーに標的を絞り、発射するまでの消費時間。僅か―――――0.427秒!



 それをルシファーは紙一重に、マグナム弾の直弾道をコメカミに掠る距離で交わした!!


「―――――!!!」


 このショットミスから、『リベリオン』の内蔵ターボエンジンのスロースターターな着火から、徐々に連射速度を上げて最大30発/1秒のマシンガン攻撃がキッドを襲う!!


「舐めんなッッ!!!!」


 数発被弾したキッドは怯まず、2発目のマグナム弾をマシンガンを制御する右手に一点撃ち。

 LMGの中でも特に反動の強い『リベリオン』は、抑える手を負傷させる事で標準を狂わせる。ルシファーの連射も敢え無く途絶えた。


「くっ……!」


 右手を抑え込むルシファー。だがキッドは容赦無く彼の眼前に立ち塞がり、アバターの黒生地のスーツ越しに胸ぐらをむんずと掴む。


「この分からず屋が、いっぺんその頭に鉛ぶち込まなきゃ口悪いの治んないか!?」


 〘こわww〙〘偽善者なんて言うから……〙〘喧嘩すんな〙〘キッドを怒らせたら氏ぬ〙〘右手をヒットさせて戦力を根から削ぐとか強すぎる〙


 ルシファーの眉間にマグナムを突きつけてキレるキッドに視聴者もビビりながら見物中。

 しかしプレイヤー全員で協力するミッションの最中に仲間割れはご法度。何とか彼らと共同戦線を組んでほしいと願うばかり……おや?


『愚かなゲーム戦士共、控えええええい!!!』


 混沌の上空から巨大な戦闘母艦。灰色の軍艦が宙を飛ぶSFチックな情景に、威厳高き一声が木霊した。



『吾輩こそは、ヘビーメタル・レイダーズの総司令官にして頂点! スチール大将軍なり!! 我々の襲撃計画を阻む俗物共に、死よりも残酷な裁きを―――――』




「「うるさいッッ!!! ボスキャラは引っ込んでろ!!!!」」



『………………………えぇ〜〜〜…………?』



 スチール大将軍様、来るタイミング悪すぎ。



 〘◇To be continued...◇〙



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A.I.M.Sで登場させたい実物の名銃も、感想欄で募集します! 次回も宜しく!!

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