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【♯59】実況者は、誹謗も偏見も屈しない!!

 ――エレメント◇トリガーズと癖強ゲーム三戦士。

 機械兵達の襲撃から救った縁と、A.I.M.Sのミッションに対する利害の一致から協力……というより、“コラボ配信”を企てようとしたのだが……?


「考えても見たまえ、我々にも指示してくれる視聴者の顔があるのだぞ? 君たちの視聴者が地底空間の事を肯定していようが、わたし達の視聴者がそれを認めるか分からん。この協定はリスクが相当高いと思う」

 その不安の声を主張したのは、地上のゲーム実況者・矢野穂希であった。


 ゲーム実況者は、時に世間体を気にしなければならない世知辛い特質。特にコンプライアンスに五月蝿い御時世は、配信に不適切な行動・行為は一瞬にして火種を呼び、大炎上に繫がる事はザラではない。

 それこそ実況者・Vtuberらを支援する事業所が、時にストップを掛ける事もある。


「そう言われてみれば、うちの事業所も地底空間の実況者との共演すら記録に無いし……」

「……………」


 穂希の一声で、言い出しっぺの戸塚晃司も戸惑う。それらとは裏腹に主張も反論もせず、黙りこくるのは中田淳志。


「何だよお前ら……! 人が親切にしてりゃ、地底空間だからってそっちから拒否か!? いい加減に――――」

「待った」

 トリガーズの中で血の気が多いハリアー。劣等なレッテルを貼られる地底空間出身の冷遇な対応に頭にきたか、喧嘩に取っ掛かろうとした所を、キッドが静止した。


「そりゃそうだよな。一度地上で“敗北者”の烙印を押される地底空間の人とプレイするのって、誰でも戸惑っちまうよな。……でも、三人はこの眼で俺達の活躍を目の当たりにした。そっち側の視聴者もどう感じた? 地底育ちの俺達を“弱者”と捉えるか?」


「そ、それは……」


 キッドのクールな言論に、さしもの『穂希劇場』も反論は出来ず。更には地上ゲーム実況者達の視聴者からも〘トリガーズは強い〙とか〘地底の批判は、古びたコンプレックスだ〙と意外にも冷静なコメントが届いた。



 地底空間の劣等的な価値観など、トリガーズの面々から見れば古びた飾り文句にしか聞こえない。

 これはキッドが三年もの年月を掛けて積み重ねた功績であり、ゲームの実力の差だけで支配できる時代から変遷されている事から成るものであった。


「俺達エレメント◇トリガーズは実況者として、第一にゲーム戦士として。理不尽な行為や誹謗中傷に屈しないチームで成り立ってる。炎上が怖くて時に気遣う事だってあるさ。だけど俺達は行き過ぎた正義や、悪意から生む誹謗中傷には断固として立ち向かうぜ。


 ―――ゲームで皆の元気を与える実況者が、エンターテイメントの可能性を潰しちゃ駄目でしょーーが!!」


 それはキッド自身が、エンターテイナーの矜持として固めていた頑固たる意志の表れであった。


 これにはトリガーズチャンネル側の視聴者も〘おおおおお!!〙の歓喜に埋まる一方、穂希や戸塚のチャンネルの視聴者にも〘カッケェw〙〘立派〙と好印象に見られた模様。

 特に今の御時世、第三者側の悪質な誹謗中傷により幾多の人気Vtuber達が引退する中、ようやくそれを撲滅する運動に向かう現在。


 近未来のこの作品でも、その問題は絶えることなく不安が残る時勢。それ故にキッドの意志は多くの人に感銘を受けていたのだった。


 ところが、その綺麗な雰囲気を壊そうとする愚か者が、この戦地に生き残っていた……!


『オノレェェェ、コウナレバ死ナバ諸共……!!』


 レイダーズの機械兵隊長が、なけなしの生命力で重い機械の身体を引きずり、隙を見せているキッド達の背後から火器銃を撃とうとした、その刹那。


 〔DEFEATED!!〕


「うおっ!!?」

「ふぇえッッ!!?」


 悪魔の咆哮にも似た狙撃音、不意撃つ前にそれに被弾して、威力のあまりに上半身が粉砕された機械兵。


 トリガーズ達と紙一重の距離で狙撃したのは………ブサイクな面の中田淳志―――!!


「……そいつは……『ハウリング』!?」

「レベル5の超遠距離型スナイパーライフルを、近距離で撃ち狙うなんて……!!」


 突然の射撃にビビっていたハリアーと、同じくスナイパーのアリスが、中田が突如見せた武器に驚愕する。


 武器最高レベルを誇る『ハウリング』。かつてプレデターも使っていた超威力のスナイパーライフルを零距離に近い位置でオーバーキルを果たした中田。アンバランスな長身と面に似合わず、狙撃した時の顔はまさに戦士の気迫を魅せていた。


「……驚いたよ。実力は噂に聞いていたが、実況者としての心構えも一流だ。危うく僕らの方が醜態を晒すところだった」

 先程までのブサイクに似合う腑抜けた声から一転し、真剣そのものの真に迫った声に変わった中田。


「“地底空間の奴らはグズばかりだ”、“地底とは関わり合うな”とか、大人から散々口にされるうちに、僕らの道徳心もそれに縛られていたらしい。


 そんな―――そんな偏見に囚われてるような地上の配信実況者が、誹謗中傷を根絶出来る訳がない。それを君たちエレメント◇トリガーズに教わったよ」


「中田さん……!」


 キッドの意志が、地上のゲーム実況者に通じた……!!


「誰かが批判しようと、僕はトリガーズと協力する事に決めたよ。血迷ったかと思われてもいい。だがこれで僕は、地上と地底のゲーム戦士と手を組んだ初めての実況者だって名乗れるからね〜☆」

「「……!!」」


 戦士からいきなり通常のタレントモードに戻った中田。しかも名声を匂わせる言動に戸塚と穂希も反応した。


「なっ……! 抜けがけは許さないぞナカター!!」

「えぇいままよ、こうなれば穂希劇場第二幕は、地底空間のゲーム戦士との共同戦に出てやる! 誰も文句は言わせぬぞーー!!」


 思わぬ形でトリガーズとのコラボ配信が、成り行きで成立した模様。事業所の方が何と言うかはさておいて、トリガーズ側も戦力増強に陰でガッツポーズ。


(キッド、最初から仲間に誘うつもりやったんか?)

(ったりめーだろツッチー。“ゲーム戦士は助け合い”だ)


 二人の陰の会話も速やかに終えて、晴れてキッドがカメラ目線で代表して挨拶を送る。


「それじゃ、各チャンネルをご覧になってる視聴者の皆さん! 期待に添えられるような魅せプレイをしていくので、応援宜しくお願いします!!


 ―――力になります、中田さん、穂希さん。えーと………………()()さん!」


「だから戸塚だっつーーーーの!!!」




 そして、ゲーム実況者同士の協定が結ばれたと同時期、A.I.M.Sでは新たなミッションが動こうとしていた―――!!



 〘◇To be continued...◇〙


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