【♯57】ゲーム戦士は助け合い!※ただしゲームによっては例外あり。
――我らのエレメント◇トリガーズを筆頭とする正義のゲーム戦士達によって、ヘビーメタル・レイダーズが投入したバイク軍『ゴーストライダー部隊』の攻略を導いた事などいざ知らず。
電脳の別次元、無機質な機械で構築された黒鉄の城『ヘビーメタルパレス』では、鳴る機械も静寂と化す鬼将軍・スチール大将軍と、その側近である科学者・Dr.ナマリが襲撃中の摩天楼『フルムーン・メガロポリス』の襲撃情報を待ちかねていた。
『メガロポリス・A-3地区、襲撃達成80%突破! 続いてB-2地区、75%襲撃完了。C-1地点は――――』
パレスの司令塔にて、流れ作業の如くに襲撃状況を報告する非戦闘員の女性形アンドロイド達。
報告を聞くに、トリガーズが位置するF-4地区とは別のエリアにて、同じくゴーストライダー部隊の攻撃による占領が著しく完了しているとのこと。それを上機嫌で傾聴するはスチール大将軍。
「フハハハハ! 良いぞ良いぞ、我が軍の部隊は非の打ち所が見当たらんわ! 満月の摩天楼も我々レイダーズの植民地となるのだ!!」
“破壊活動こそが最大の悦び”と主張する程の独裁性質を持つスチール大将軍。モニター越しから襲撃による炎上、瓦礫と化す都会の街を観ては目頭が熱くなる。
根っからの軍人気質とは聞こえがいいが、血も涙も無い無差別攻撃は常人には理解できない域がある。
「いや〜盛り上がってる所も悪いんだがね、そんな高層ビルやら橋やら破壊しちゃって、ちょいと勿体無く無いかぇ?」
ナマリさんにも良心は設置されていたようで。過剰な破壊活動には苦笑い、良しとは思わないようだが。
「何を言うか!! ワシら鋼鉄の機械兵団が、人間共の科学技術に劣るなどあってはならんのだ! 我々に歯向かうものは、抗う闘志も諸共粉々に破壊し尽くしてやる!!」
「やれやれ、血の気の多いオッサンを持つのは気ぃ使うわい」
「何か言ったか?」
傲慢かつ高圧な大将軍相手じゃ、科学者老人も同調せざるを得ない。逆らうと何されるか分かったもんじゃない。そんな中で皮肉にも彼の機嫌を損ねる報告が。
『あの、ご機嫌な所お言葉ですが大将軍様、実は襲撃目標が著しく遅れているエリアが一つ御座いまして……』
「何ぃ!? そんな役立たずを送り込んだ覚えはないぞ、どこの地区だ?」
『―――はい、南南東のF-4地区です。先程6分前から隊長の応答が全くありません』
「何というザマだ!! ……いや待てよ、もしやゲーム戦士共が反撃を仕掛けたという事では」
「いやいや、それは先ず無いでしょう。あのバイクはそんじょそこらの弾じゃ損傷しない仕様でがしょに」
「いや、その逆境を軽々と超えるのもゲーム戦士の本質だ。―――襲撃率80%以上の部隊を支給F-4地区エリアへ移動せよ。撃破した戦士を即刻排除だ!」
『了解しました』
スチール大将軍が、機械兵達や側近に大きな信頼を置かれているのは、慢心と驕りを見せず、常に場に置かれた状況を冷静に指揮する監督力があるからでもある。傲慢と高圧的な態度だけでは上に立つ資格なし、とは言ったものか。
〘◇Now Lording◇〙
―――変わって舞台は『フルムーン・メガロポリス』F-4地区エリア。
高速道路がひび割れ、一部は崩壊しかけた橋に3台のマシンが爆走する。
「フゥゥゥウウウウッッ、風が気持ちいいいいいいいい!!!!」
奪ったバイクで走り出す〜♪なんて尾◯豊をパクったかのような絵面で戦場を駆け抜けるは、ゴーストライダー部隊のシルバーメタリック仕様のバイクを強奪・疾走するエレメント◇トリガーズの姿!
フルカウルバイクで、スムーズなコーナリングをかっ飛ばすキッド。
精装状態のまま、強固なボディとプロテクター型のヘッドライトで身を固めたサイドカーに乗るツッチー、サイドには運転は不慣れとみたかアリスが搭乗。
そして珍しや、トライクに乗ってもターボ状態で先頭を走り、自由奔放に運転するのはメンバー随一のバイク通・ハリアー。ロマンの夢も叶って気分上々か。
「やれやれ、撃破した敵軍から奪ったバイクで良くドライブ感覚になれるもんだ。ハリアーの奴」
ゴーストライダー部隊のバイクを強奪する策に出たのも、ハリアーの提案から。というより、彼が機械兵が撃破されて空になったトライクを見てどうしても乗りたくなった故の作戦とは、カッコつけたものじゃない。
『それよりもキッド。さっきの暴走族、やっぱりA.I.M.Sのミッションの要だったみたい。メール見た?』
アリスはアバターの無線ヘッドギアから、仲間内の通信を取ってバイク爆走中のキッドに話す。
「あぁ、ちゃんと見た。奴ら俺達プレイヤー・ゲーム戦士に相対する第三勢力みたいだ」
さっきまで戦闘していた為、中々提示出来なかったが、トリガーズの面々や『スクランブル』ルール参加者全員に課せられたミッションの内容が、携帯メールで送付されていた。その内容とは、
□――――――――――――――――――□
【A.I.M.S 『スクランブル』ミッション】
・フルムーン・メガロポリスにて
『ゴーストライダー部隊』を50機投入された。
・彼らはバイクと特殊武器を用いて
プレイヤーを攻撃する。
プレイヤー同士の連携、アイテム等
様々な手段を用いて全滅させよ。
・尚このフィールドの全エリアを
ゴーストライダー部隊によって占領された
場合は参加者全員ゲーム失格となる。
□――――――――――――――――――□
『つまり、ワテが今倒した連中だけやなく、この広い都市フィールドに投入された機械ライダーを全員倒せばえぇ話やな』
「そーゆー事、ツッチー。だがやるのは俺らだけじゃないぜ。参加してる他のゲーム戦士と一緒に戦うんだ」
『相手と組むのも利害の一致、って事ね』
『しかし、従来のルールで殺意満々に戦ってた奴とつるむのもなぁ。利用されるかもしれねぇぞ?』
「俺達が誰と組むかは、俺達が決めんだよ。――――自分勝手に、社会の輪を乱す奴から喰われるのがA.I.M.Sのルールだ。偽善だろうが、俺達がゲーム戦士なら助け合わなきゃ」
A.I.M.Sは、ミッションによっては互いの駆け引きと状況を見極めて、どう生き残るかが勝敗の鍵を握る。
果たして、トリガーズはメンバー単独でゴーストライダー部隊を殲滅するのか。それとも共同戦線に出るのか?
夜の帳に赤い火柱を上げる戦場と化した摩天楼。―――このエリアの何処かに、トリガーズ以外のゲーム実況者が居る!!!
〘◇To be continued...◇〙
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