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【♯51】シーズン先駆け、アイツらがレイダーズだ!

――TIPS――

【地底空間・地上進出のルール②】

地上への進出を赦された地底出身の人々は、地上と地底を行き来する為に必要な『パスポート』を申請する必要がある。

表面もページも真っ黒なのが特徴だが、内蔵されているICチップが地面の出入口に反応して、扉を開く仕様となっている。

 ――トリガーズ・東京の旅。時刻は午後9時を回ったところ。

 夜の帳が下りると共に四人は地底空間に帰るべく、始点であった明治神宮野球場へと戻っていく。地面の穴から出たら、その穴から戻るのが定義だ。


「俺等モグラじゃないんだからさ」

「まぁいいじゃん。ゲーセンも寄ったし、カラオケも美味い飯も食えたんだし」

「天ちゃん琴ちゃんの分のお土産も買えたし!」

「いや~久々に有意義な時間を過ごせたで! ちゃんとワテの金で飯奢ったしな!!」


 そこは強調するんですね、ツッチーさん。


 何はともあれ、暗がりの地底で耐え忍んだ底辺の生活を払拭するかのように、キッドも他の仲間も自由気ままに遊んでリフレッシュ。また今度も地上で遊べたらと誓いを立てる所……なのですが。


「まぁ……俺は暫くの間は地上はいいかな」

「え、どうして?」

 意外にも地上に対して抵抗感を覚えたのは、キッドの方だった。


「まさか、地底の生活に慣れちまったのか? 3年くらい閉じこもってたし」

 ハリアーが適応環境の変化を茶化しつつ、キッドの心配をしてはいるが、当の本人は別の理由があった。


「お前らも街中歩いて気づかなかったか? 俺等を()()()で見ている連中を」


「…………そんなん、地底出身からすりゃ日常茶飯事だろ」


 そう、この地上の人々は口にこそ出さないが、地底空間に進出してきた人達の事を、悪い印象のレッテルを貼られている故に蔑むような視線がキッドに刺さっていた。

 いや彼だけではない。ハリアー・アリス・ツッチーも、社会進出で地上に出た三人全員が、地上の者達に虐め蔑まれた思いを何度もしてきた。


「地上は極端な程の実力社会だから、ゲームで敗北した人を落す地底の人をゴミのように見てるのが気になってさ。地底で配信動画出してる方が百倍平和だわ」

「キッド……」


 キッドはそんな実力社会の格差から出る差別に、胸が張り裂けそうな気分になっていた。

 とはいえ、A.I.M.Sの配信動画を上げてもチャットは平和を装いながらも、コメント欄で頭のネジが取れたような批判コメントやSNSでの陰口は人気に比例するかのように増加している。


「それと、すれ違っててもヤベェPAS持ってる奴とかも居たしな。下手すりゃ俺の顔バレも有り得るから」

「あっ、そっか……肩身が狭いなぁキッドはんは」


 ゲーム配信者の顔バレは、一瞬にしてプライバシーを侵害させる恐ろしい魔力を持つ。

 幸いにもキッドはPASの波動によって、相手のPASを見分ける能力を持つ為、危険な相手には避けるように行動していた。


 ゲーム好きな人は見かけに寄らないもの。平素なサラリーマンが意外にも【ジャックナイフ】と殺意満々のPASを持ってたり、社会のストレスからとんでもない能力を持つ者も大勢居るのです。


「まぁそのストレスも含めて、次のA.I.M.Sで旋毛曲がり共を全員ぶっ潰すだけだ。弱いとすぐ暴言吐く奴に負けるか!」


(キッド、結構フラストレーション溜まってるな)

(大丈夫かしら……)


 キッドの3年ぶりの地上進出が、心の芯からリフレッシュとまで行かなかった事に不安になる仲間達。

 しかしこの苛立ちは、キッドのPAS【サラマンダー】の炎エネルギーのボルテージを上げ、A.I.M.S新シーズンへの士気を高める結果となった。

 結果オーライに心は爽籟(そうらい)、秋風靡いて炎は燃ゆる。


 そんなトリガーズ四人は、地上・地底の行き来を許可された黒いパスポートを地面の入り口に翳し、丸口のドアを開けて再び地底へと帰っていくのだった。



(―――地上も変わっちまったな。そんなに強さが欲しいか? 千万の富が欲しいか? 人を平気で踏み付ける奴が正義を語るか……!?)



 〘◇Now Lording◇〙


 ―――さて、辛気臭い話はこれくらいにして本題に入りましょう。


 A.I.M.Sの新シーズン【ヘビーメタル】、従来のFPSサバイバルバトルとは常軌を逸したルール、オープンワールドなフィールドを自由奔放に動き回り、そこから展開されるイベント・ミッションに挑むシステムに変更された。


 プレイヤー同士の戦いには変わりはないが、時にそのプレイヤー達の行く手を阻む()()()()が投入されるのです。それが、【鋼鉄(ヘビーメタル)の襲撃者(・レイダーズ)】と呼ばれる軍団。


 一体その軍団とは何者なのか。シーズン開始前ですが、最近この小説も読者が増えてきたという事で……皆様だけに特別に御紹介しましょう!


 場所は、A.I.M.Sの転送先である電脳空間にポツンと聳え立った名もなき孤島。

 島の空には暗雲が立ち込め、グレーな曇天を冠に天より高く聳え立つ鋼鉄の城があった。


 通称『ヘビーメタルパレス』。高貴たるサクラダファミリアの如し双塔が立ち並ぶ要塞に歯車や鉄骨、更には電子回路が城全体に脈打つように電流に帯びている。


 このヘビーメタルパレス、入り口あれども出口は無し。最先端兵器を格納する装備庫や、城には無数の砲台。敵をも寄せ付けぬ物騒な武器も備わっており、城というよりは巨大要塞に近い造りとなっていた。


 その要塞の内部に入れば、中には戦いに備えて訓練を行う無数の()()()

 軍術に長けたこのアンドロイド軍団に、良心という回路は備わっていない。標的に定められた敵を容赦なく射撃し、任務に失敗すれば情け容赦なく排除する。血も涙も通わない機械だからこそ為せる非情な心得。


 そんな機械兵団を指揮し、電脳世界を制覇しようと企む者がこの御方。


 ヘビーメタルパレスの頂点、総司令室にて計画を執行しようとする襲撃者の将軍。

 黒鉄色の軍人服に見を装い、アナログタイプの軍キャップを被って逞しいほどの黒髭。そして右手は……戦争で失ったであろう義手代わりのメカニックアーム。

 ヘビーメタル・レイダーズのラスボス、人呼んで――――【スチール大将軍】である!



「チッキショー!! 憎きゲーム戦士共め、我が領地になろうとしている電脳世界で好き勝手ドンパチやりおって! もぉぉぉぉ勘弁ならん、ワシが直々に粛清させてやるわ!!!」



 どうやらこの御方、FPSでキレやすい若者よりもヒステリックなようで。A.I.M.Sの舞台になっている電脳世界の各エリアを荒らされている事にご立腹。

 やがては己がこの世界の支配者となろうと野望に燃えるスチール大将軍、その理想郷を汚しまいと練りに練った作戦を企画し、とうとうそれが実行に移す時がきた。それが新シーズン『ヘビーメタル』のリリース日だ。



「今に見ておれ、生身の身体で着飾った鈍兵共に鋼鉄の恐怖を味わわせてやる! ゲーム戦士は―――――皆殺しだ!!!!」



 果たして、ヘビーメタル・レイダーズが繰り出すゲーム戦士抹殺計画とは何か?

 A.I.M.S新シーズン『ヘビーメタル』まで、あと2日!!


 〘◇To be continued...◇〙


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A.I.M.Sで登場させたい実物の名銃も、感想欄で募集します! 次回も宜しく!!

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