【♯43】戦わなければ生き残れない!……現実でもホントにそう思います。
――TIPS――
【A.I.M.S ルームマッチ基本ルール】
ルームマッチでは、以下の基礎ルールに従いつつ、ルーム作成者のカスタムルールの設定の上でゲームを行う。
今回のルシファーが作成したルールはこれ。
①ゲーム前に予めアバターカスタマイズの装備と、武器を二種類選択する。
②フィールドはルールマッチ専用廃墟ステージ『クライシス』。
③回復アイテム『シーセル』『回復注射』などはフィールド内にドロップされており、自ら拾う必要がある。
④ゲーム形式は一回のノックダウンの時点で敗北のシングルマッチ。
※だが、これらのルールを大いに覆したエネミーアンドロイド総勢50体がキッドとルシファーを襲う!!
「―――おいルシファー!! どうなってんだよ、お前正々堂々の勝負するってのは嘘だったのか!?」
「違う!! 俺は断じてそんな卑劣な行為はしない! このアンドロイド兵は………染谷がハッキングして送り込んだものらしい!」
「…………嵌められたのは、お前も一緒って事かい」
突然の襲撃、爆破や銃撃をギリギリで回避して九死に一生を得たキッドとルシファー。誰の干渉も出来ないルームマッチ、一対一の神聖な決闘を土足で踏み込んで汚した汚い奴!
ルシファーの願望であった『地上の太陽を見たい』という願いを餌に、地底空間のゲーム戦士を潰そうと企むは姿なきハッカー【ハッタリの染谷】。
彼が仕掛けたアンドロイド兵『グール・474』を数十体ルーム内に送り出し、一網打尽からの二人纏めて始末しようという魂胆か。
しかし始末といっても、命まで賭けないゲームでどうやってキッドとルシファーを殺そうというのか?
簡単な事、このアンドロイドには特殊かつ凶悪な仕掛けがあった。
「……ルシファー、俺アンドロイド兵の身体見てたらヤベーもんが挟まってたんだけど。見てみるか?」
「何をこんな大事な時に…………何!?」
アンドロイド兵の一体、その胸の装甲にセットされたビットチップらしき回路部分を目視するならば、禍々しい管に覆われた悍ましいもの。そう、この回路は即ち―――
「【プレデター】の集積回路だ。俺等下手すりゃマジで殺される……!!」
「おのれぇ……初めから同士討ちが目的だったのか染谷ァァァ!!!」
ルームマッチの漆黒の空に目掛けて絶叫するルシファー。だが当の真犯人は何処ぞの現実世界で彼らを蔑む目で高みの見物と言った所か。嵌められた二人の悔しさは届く筈もなく、四方八方に向けられるは無数のアンドロイド兵の銃口のみ……!
「……なぁ、ここで終わるとかマジで思ってねぇだろうな、ルシファー? 互いに強い奴で通ってるしがないゲーム戦士なら……これからやる事くらい分かってるよな」
「見くびるな。こんなガラクタの雑兵に殺られる黒い稲妻か」
キッドとルシファー、既に二人の両腕には得意武器が。利害の一致に呉越同舟。いがみ合う好敵手同士は生き残りを掛けて、一時の共同戦線を組む事となった!
「いっ、せーの―――――FIREッッ!!!」
シュンッ、ドォォォン!!
〔DEFEATED!!〕
キッドとルシファーを取り囲んだアンドロイド兵の一斉射撃。弾道が高低前後左右と交差し、網目の如く放たれた弾丸を刹那に潜り抜けたキッドは号砲一発。
得意のマグナムリボルバー『ファイアーバード』の狙い澄ましたスナイプショット。それがアンドロイド兵の【プレデター】回路ド真ん中に貫通し、致命傷ダメージとして爆破された。
「分かりやすい弱点だ。プレデター回路を狙ってけ、ルシファー!!」
「無論だ。群がる壁は一気に叩き潰すに限る……!!」
◇――――――――――――――――――――◇
・パッシブスキル【堕天使の翼】発動
◇――――――――――――――――――――◇
ルシファー、潜在能力であるパッシブスキルを使い、背中に生やすは漆黒の翼!!
堕天使の異名を持つルシファーは一定時間低空飛行を可能とする【堕天使の翼】を使い、群がるアンドロイド兵の包囲網を上空で突破。そして放つは例のエネルギー光弾を用いるLMG……!!
ギュイイイイイイイイイイイッッッ
〔DEFEATED!!〕
上空から胸のプレデター回路を狙い撃ち、破壊する離れ業はルシファーのLMG『ポーラースター』だから出来た事。
特徴的なのは、普通の弾丸よりも3倍以上も膨張されたエネルギー光弾を発射するこの武器。更にマガジンによる装填内の弾丸数を気にする事なく撃てる。
しかし唯一弱点があるとすれば、連続発射の際にエネルギーアモによって武器がオーバーヒートをしてしまい、半永久的射撃は不可能な事。一旦間を置いて冷却した所でまた撃たねばならないリスクを生じる。
その隙を見せない為に、ルシファーはわざわざ敵が狙いにくい上空に飛び立って、ネックの部分を補っているとすれば合点がいく所も多いだろう。
(それともう一つ弱点があるとすれば……マシンガンの性能からか、光弾一発のダメージ数値は10〜15くらい。俺のマグナムの半分にも劣る威力だが……そのリスクを相手に悟らせない振る舞い方、そして負けず劣らずのエイム。其処は流石と認めるしかねぇなルシファー)
地底に追放されても、今も昔も名の知れたプロゲーマーの肩書を持つキッド。玄人なゲーム理論を持ってして、ルシファーのファイティングスタイル・センスを認めざるを得なかった。
ルシファーの広範囲射撃に対して、キッドは敵の後方や視界を利用しての奇襲マグナム。戦い方を知る者は撃破からアシストまで無駄のない戦法に、追随を許さない意地が垣間見えていた。――――だが!
「………! キッド、見えてるか?」
「あぁ、嫌でも見えてるよ。馬鹿が戦車でやって来てる」
60年代の映画じゃありませんよ。日本の主力戦車として名高い『10式戦車』数台が、キッド達に接近中! 何でもアリかハッキング野郎!!
(おのれ染谷め、カスタムルールでグレネードや地雷を設定しなかったのを知って、こんな重兵器を……!!)
抗うキッド達に対策は検討済みか。爆弾や地雷のアイテムを用いなかったカスタムルールの死角を突き、本来ミッションなどで扱われる筈の兵器を放り込んだ染谷。
最も危惧されるべきは、キッドやルシファーの武器だけでは撃破は難しいこと。
そうでなくても未だ生存するアンドロイド兵の援護を前にしては、五体満足で生きて帰れるかも不安だ。
「……しゃーねぇ、本当ならルシファーの勝負に取っときたかったけど、一個の命には変えられない。――――とっておきの切り札、ご披露してやるぜ!!」
「な、何………!?」
「PAS、発動!!!」
◇――――――――――――――――――――◇
・キッドのPAS『サラマンダー』確認。
◇――――――――――――――――――――◇
――招来せよ、我が魂! 炎滾る赤のパーソナルカラーに身を覆ったキッドから、波動によって呼び覚ました炎龍サラマンダーを呼び起こした!!
「精霊武装――――サラマンダー!!!」
PASの波動が生み出した炎龍が、詠唱と共にキッドに矛先を向けて突っ込んでいく……!
「サラマンダーが……キッドを飲み込んだ……!!?」
炎龍に飲み込まれたキッド……というよりは、炎龍転じて炎柱となりて彼を包み込む。
そしてその炎が消えた瞬間、キッドの姿はカウボーイから赤い装甲武装に包まれたアバターカスタマイズへと変わっていた――!!
「――――聞いて驚け、天下の龍銃士・キッド様の降臨だいッッッ!!!」
〘◇To be continued...◇〙
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