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【♯37】トレンドは意外な所からやって来る。

 ―――響波姉妹のエールに乗せて、トリガーズの魂に火を点けた!!


 100人一斉デスマッチに敢然と輝くは、ハリアーの風の精霊・シルフのPAS。

 連結された三角錐形の二つの建物の中央へと忍び足で突入したハリアー、気まぐれ精霊による日頃の憂さ晴らしにと強烈なPASスキルを解き放つ!


「画面の外で白けた面して小説を読んでる読者のアンタ! 台風近付いてるけど中なら安全ってか? てやんでぇ、こっちじゃ警報鳴らす前に大嵐だ!!」


 台風直撃に萎えてる貴方にお届けするとびっきりの切り札技! ――招来せよ我が魂!!


 ◇――――――――――――――――――――◇

 ・ハリアーのPASアルティマスキル

【シルフ・ハリケーン】発動!!

 ◇――――――――――――――――――――◇


「逆巻け、タ・ツ・マ・キィィィィィィ!!!!」


 作物庫に直撃、ハリアーの精霊パワーで巻き起こすはビッグハリケーン! これには中も外も関係無しに、地を貼って踏ん張る敵の足が浮かび上がり、上昇気流に流されて上へ上へと飛ばされていく!!


 これには武器持ちの敵も飛ばされてはエイムなど気にする余裕など無し。その隙に地に立つハリアーは手持ちのアサルトライフル、名銃と謳われた『HK416』を片手に持ち、もう片方には例のカプセル。ツッチー印の『トリガー・ツールシステム』だ。


 ―――PON!!


「本日のトリガー・ツール、『サウザンド・エクステンドマガジン』!!」


 説明しよう! 【トリガー・ツール No.005】サウザンド・エクステンドマガジン。それは全長10mのホース型マシンガン・アサルトライフル用の弾薬拡張マガジンで、最大1000発のアモを溜めて永続した連射攻撃を可能に出来るアタッチメントだ。


 湾曲したアサルトライフルの拡張マガジンを捨て、HK416にサウザンドマガジンを装着させるハリアー。マガジンは弾薬を積んだ分だけずっしりと重く、その重さは約7キロ。それをハリアー身体に担いで全身アモに巻かれたランボー状態。気流に浮かぶ敵目掛けて掃射!


「でぇやあああああああああッッッ!!!!!」


 キッドやアリスに隠れているが、ハリアーも十分な神エイムだった。中距離かつ強風に煽られてブレる標準も正確に被弾させる正確さ。当たらなければトリガーズに貢献出来ないという彼自身の意地が、着々とキルポイントを稼いでいく。


 ♪強風 追風 旋風

 風妖精 きまぐれ 風便り

 走れ 風来坊

 行くぞ サイクロン・ハリアー♪


『ぶっ飛ばせーー! ハ・リ・アー!!』

『旋風吹け吹け ハ・リ・アー!!』


 メンバーの誰かが活躍した途端に鳴り響く響波姉妹のエール。ハリアーに送る応援歌を、耳に直接届いたハリアーは、心做しかエイムの精度が上がっていった。


「あっ、いーなーハリアーの奴! それじゃ俺も応援させて貰おうっと!」


 調子付いたキッド、ハリアーの活躍に嫉妬したか彼も揃えてPAS発動!


 ◇――――――――――――――――――――◇

 ・キッドのPAS『サラマンダー』確認。

 ・PASノーマルスキル

【火龍火炎波】発動

 ◇――――――――――――――――――――◇


「本日の天気、大嵐のち()()! 十分に御注意下さーい! ――――FIRE(ファイア)!!」


 キッドは両腕にサラマンダーの炎のエナジーを集中させ、それを掌で放出口を作り、高熱の炎を発射。その炎はハリアーの竜巻に乗って渦となり、次第に炎は勢いを増して上昇気流の頂点に登る。


 これぞシルフとサラマンダーによる精霊の威力。竜巻は一気として()()となり、飛ばされたプレイヤー全員を焼却させていく。えげつないぞ大自然の裁き! 空中火葬状態だ!!


 ♪来たぞキッド 不屈の男

 トリガーズのキャプテン

 呼ぶぜ炎 神のエイムだ

 狙えチャンピオン♪


『燃え上がれーー! キ・ッ・ド!!』

『キャップも似合うぜ キ・ッ・ド!!』


「ヒュー! サンキューッ!!」


 圧巻のパフォーマンスに紅白エールにキッドもニヤニヤ。応援は時に、ゲーム戦士達の魂を揺るがす魔力を持つ。響波姉妹にはしっかりとその魔術は備わっていた。


 どのゲームにも言える事だが、主役となったゲーム戦士の勢いに乗った時こそ、それを止める事は決して容易な事ではない。

 故にこの短期決戦型ルールにて、キッドはPASスキルによる撃破だけでも49人。ハリアーはエンドレス掃射による空中ノックダウンで46人も撃破していった。


 残るはあと三人。これを撃破すればトリガーズの二人による完封チャンピオンが達成する、のだが……?


「ふざけるなッッ!!」

「散々フィールド荒しといて勝たれてたまるか!」

「ぶっ飛ばしてやる!!!」


 怒り心頭の名もなき三人のモブプレイヤー達。トリガーズの為すがままにされて、ようやく二人のPASから生き残った運の良い者達。

 それなりに頭をクールにすれば、彼らから一本取れる可能性もあっただろう。だが戦場では精神を踊らされた者から、容赦なく強者への洗礼を受ける運命。


 故に現在、ギラッギラに尖ったトリガーズに――――


「うるせぇやい……!!」

「ゲームは静かに戦いましょーねー☆」


 立ち向かう者を俗に、“無謀者”と呼ぶ!!!


 ――――ダゥゥゥンンンッッ


 ハリアーのショットガンによる全被弾ノックアウト!


 ――――ドォンッ、ドンッッ!!


 キッドのマグナムリボルバー、ヘッドショット二連発の刹那のノックアウト!!


 そして止めもキッド。近距離に迫った敵の頭に、長身バレルのスナイパーライフルをコツンと当てて、即座に引き金を引く……!


 ―――ダァァァァァンッッッ!!!


「……あーらら、頭どっか行っちゃったよコイツ。センシティブ案件!」


 スナイパーの零距離ヘッドショット、余りの衝撃の強さに頭を吹っ飛ばしてのオーバーキル! アバターなので命に別条はありません、悪しからず。



【A.I.M.Sランクマッチ・チャンピオン キッド・ハリアー・アリス・ツッチー】


 これにて勝者確定! カジュアルマッチを制したのはキッドとハリアーの大圧勝!!


 〘おおおおおおおおお〙

 〘GG!〙

 〘最後に撃破された方、御愁傷様w〙

 〘キッドに武器何使わせても最強説〙

 〘ないすー〙


 ここ久方のスッキリとした勝利に、視聴者の皆様もご満悦。それに合わせて響波姉妹も赤と白の傘を広げて、振り付け合わせて勝利の音頭を取る。


『ゴーゴー、トリガーズ♪ ゴーゴー、トリガーズ♪』

『はぁ〜〜、踊りおーどるな〜ら〜♫』


 どうやら彼女達もチャット欄の東京音頭のノリを知ってたようで、それを応用させての勝利のエール。

 や~とな、それよいよいよい♬と陽気に踊れば、チャット欄からは〘傘持ってくれば良かったw〙などと若干後悔した部分も垣間見る程。


 たった一戦、かつ10分に及ぶゲリラ配信はこれにて終了したのでした。


 〘◇Now Lording◇〙


 ―――午後九時。ゲリラ配信の編集も終えて、一旦A.I.M.Sからログアウトしたキッド達。


「ふゅ〜、楽しかったぁ!」

「こんな良い汗かいたの初めてですわ!」


 人生初のチアガールを体験した響波姉妹は大満足。その様子を見たキッドとハリアーは。


「天ちゃん琴ちゃん、今までに無いくらいパッションな感じが出てたよな? ハリアー」

「あぁ、凄かった。まさかアイツラにこんな特技があったなんてな。見直したよ」

「珍しいな、ハリアーが素直に褒めるなんて」

「俺っちは思ったことを言っただけだ。あ、そうだ……」


 するとハリアー、何を思ったか天音に近付いて済まない顔で平謝りしてきた。


「な、何ですか……?」

「この間はじゃじゃ馬つって悪かった、天ちゃん。今度また良い写真送ってやるから、また熱いエールを聞かせてくれ。今日はありがとな!」


「ハリアーさん……!」


 応援は時にゲーム戦士の心を動かす。戦わずとも仲間の奮起に貢献し、自分の役割に確信を持てるようになった天音と琴音。彼女達の嬉しそうな笑顔がキッドとハリアーの英気に養われていくのだった。


「なぁキッド、また彼女達の応援やってくれよ。アリスとツッチーにも聞かせてやりたいしさ」


「どうしようかな。まぁ先ずは視聴者の反響次第だし、それまで考えとくよ。トレンドは気まぐれ屋さんだからな」


 〘◇Now Lording◇〙


 ―――ところが、キッドの予想に反してゲリラ配信にも関わらず、後にアーカイブとして選り抜きした動画を出したところ物凄い反響を呼ぶことになった。

 それは他ならぬ、響波姉妹の熱烈なエールによるものが大きな要因だ。


 なにより注目されたのは、本場のチアガール顔負けの振り付け、更には響波姉妹二人のパッションボイスが地底空間の視聴者の元気を後押しする結果となった。


 この事は動画サイトのトレンドに通じ、動画からSNSへのトレンド入りするなど、評判は異常なまでに拡がっていく。


 そのトレンド内容は、『ゲーム実況初の応援チア』『天ちゃん琴ちゃん』『アバターだからパンツ見えても平気』……下心はトレンドになりやすいのでしょうか。


 話題が話題を呼ぶうちに、この噂は地上の人々の耳にも届くようになった。

【ゲーム実況で迫真のエール、ゲーム戦士達の勝利に貢献】と、ネットニュースまで取り上げる事になり、一部のゲームチームにもチアガールを雇うか検討するまでに至るほど。


 ――響波姉妹の一欠片の勇気が、思いがけないニューウェーブを起こすことになる。

 ……それが現実になるのはまだちょっと先の話。


 今はただ声援に疲れて、自室で倒れるように眠る響波姉妹の嬉しそうな寝顔を見守るだけ。



「天ちゃん、琴ちゃん。今日は本当にありがとうな。―――また応援宜しくな!」




 ――午後十一時。キッド、響波姉妹に安息の時が訪れる。そして明日もまた、地底空間の平穏を守るためにA.I.M.Sで戦う日が続く事だろう。


 火・風・水・土、精霊四勇士エレメント◇トリガーズ。彼等の次に待ち受ける激闘は果たして何か!?


 本日のゲームレポート、これにて報告完了!!



 〘◇To be continued...◇〙

小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!


更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!


A.I.M.Sで登場させたい実物の名銃も、感想欄で募集します!

エレメント◇トリガーズ、次回も宜しく!!

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