【♯28】逆襲フェイズ、トリガー・ツールシステム起動せよ!
――TIPS――
【A.I.M.S 登場武器④】
〘バレットM82A1〙
・弾倉数:10+1発 ・装填可能弾丸:特殊武器の為、アモの消費は無い代わりに専用弾50発を用意。
・専用スコープ:6〜10倍スコープ(他スコープとの着脱は不可)
・1986年に『バレットM82』の改良型として開発。数多くのバレットM82型ライフルの中で最も知られてる銃種。
実戦においては、湾岸戦争における2km先の敵への狙撃など遠距離射撃で威力を発揮した例が多数挙げられた。
――トリガーズのエース、キッドが【プレデター】にノックダウンされた!
〘スナイパー何処!?〙〘何処で撃たれた?〙〘アカン〙〘遠距離エイムやばw〙〘キッドおおおおお〙
突然の展開に視聴者も騒然。ざわつき具合はスクロールの速度で反映されている。
その【プレデター】こそ、キッド達に討伐を頼んだ響波姉妹の仇。そして『b454541084』がキッドのノックダウンを仕掛けた張本人であった。
「もう〜許せない!! ちょっとあたし行ってくる!」
「行くって天音、何処に!?」
「決まってるじゃない! 直でキッドさん達の応援よ!」
と、ここで響波姉妹の天音が取り出したのは、A.I.M.Sに転送するために必要なVRヘッドギア。通称『GWギア』と呼ばれる転送装置を頭に被って……って天音ちゃん!? 貴方も結構無鉄砲ですなぁ!
〘◇Now Lording◇〙
一方の戦場『フォーリング・ラボ』。エースを狙撃されて、混乱状態に陥っているエレメント◇トリガーズは。
「何してるの! 早く蘇生させないと撃破されちゃうわよ!!」
「分かってらアリス! 俺っちだって行きたいのは山々だけどよぉ……」
「何処で撃ったのか分からんと、ワテらまで撃たれてまうがな!」
このようにチームの一人がダウンしてしまうと、仲間の復帰蘇生に至るまで様々なリスクを伴ってしまう。無闇な行動は敵部隊からの発見、更にはキッドを撃ったスナイパーにとっては格好の餌食となる可能性もある。
それが【プレデター】からのノックダウンとなれば尚更。撃破されてしまえば、キッドは再び記憶や積み重ねた形跡を奴に喰われてしまう。それだけは絶対に避けねばならない。
トリガーズ全員に最大の危機が迫る……!!
「『ホークアイ・サーチ』……!」
視野を広めに敵マーキングソナーをスキャンさせるハリアー。約70m内の赤外線には敵の気配は全く見当たらない。
「駄目だ、ホークアイも反応しねぇ」
「狙撃手は何処……?」
ハリアーの監視と同時にアリスも、8倍スコープを覗いて反撃のチャンスを伺うが、肝心の【プレデター】が見つからない。
そしてツッチーも、キッドの撃破を防ぐためにスキルの『アースウォール』で彼の周囲を囲み、岩と鉱石のバリアを作って被弾を防ごうとする。――――だが、
――――バシュッッ
「ッッ!!?」
なんと、一発の遠距離射撃で『アースウォール』が破壊された!!
「アカン! ワテの岩壁が効かへん!!」
「キッド、逃げて!!」
だが肝心のキッド、ノックダウンで立つ事すらままならない状態。なんとか全身で這いつくばるか、のたうち回るくらいしか回避が出来ない。更に周囲の遮蔽物はほぼ無い状態。射撃手にとっては狙ってくれと言わんばかりの平野でキッドは撃破を覚悟した。
(くっそぉ〜! こんな無様にやられちまうのかよぉ! 天音ちゃんと琴音ちゃんに合わす顔がねぇよ……!!)
響波姉妹からの【プレデター】討伐を果たせず、苦悶の表情と唇を噛みしめる悔恨の意が、視聴者からも〘諦めるな!〙〘生きろ、そなたは美しい〙等と声援がコメントで送られていく。
姿なき狙撃者の第三射撃が降り掛かろうとした、その時!!
『キッドさん、右側に避けて!!!』
「ッ!?」
突如無線から飛び交った指示に、咄嗟の反射で右側へと緊急回避をするキッド。その刹那に飛び交うスナイパー弾が地面に埋まって被弾は防がれた。
『まだ止まってはいけません! 今度は左、高台の岸壁の左端まで転がって下さい!!』
「お……おう!」
今度はさっきの元気な声から一転して落ち着いた別人の声を頼りに、残りの体力を振り絞って身体全体でローリングするように狙撃者の攻撃を避けていく。そして岸壁の裏側へ、これならどんな強力なスナイパーでも被弾する事は無くなった。
「――――あ、分かった! 彼処に【プレデター】!!」
ようやく何発かのスナイパーの弾軌道を読み取って、アリスが【プレデター】の位置をピンでマークさせた。
その距離はなんと1.5km、『フォーリング・ラボ』と同じく高台のドームに籠城して、キッドを狙撃したのだった!
「おっしゃ、この位置なら狙撃はされへんで!」
「待ってろキッド、直ぐに向かう!!」
ツッチーが狙撃への対角線を計算して、岸壁の裏は安全と判断し、直様ハリアーが上から降りてキッドの蘇生処置に向かった。
「運が良すぎたなキッド。もう大丈夫だ!」
ハリアーが懐から復活エネルギーを負傷部分に注入させて、5秒でキッドの戦線復帰、復活を果たした!
〘あぶねー〙〘マジ死んだかと思った〙〘ナイス、女神からの声フォロー〙
視聴者も安堵のコメントが飛ぶ中、キッドも儲けもんと復活を噛み締めながら、シールドエネルギー回復と応急処置を施す。
「ファントムから取れた『エターナルキット』があって良かったよ」
『エターナルキット』とは、ボディシールドのエネルギーと体力を一気に最大値まで完全回復させる超万能医療カプセルである。
開封から回復までの処理に10秒とかなり時間を掛けるが、先程の復活から瀕死状態での完全回復は必須のアイテムなのだ。
しかし、キッドを指示した二人の声の主は誰だったのでしょうか?
「―――天音ちゃん、琴音ちゃん! 二人が俺を指示してくれたんだろ?」
やっぱり! さっきGWギアを引っ張り出して応援しようとしていた響波姉妹だったんですか!
『ごめんなさい、キッドさん。天音ったらどうしてもA.I.M.Sの待機ロビーで応援するって聞かなくて』
『だってだって! あたし達が倒したがってた【プレデター】だし、それにまたキッドさんが【プレデター】に遣られる所なんて観たくなかったんだもん!!』
天音からは次第に涙声になるほどに、本気でキッド達の事を心配していた様だ。
彼女らが突発的にキッド達が待機していたロビーへID検索で合流した事で、戦闘中のトリガーズの無線に入る事が出来たのです。
しかしこの思い切りが、結果的にはキッドを救うきっかけを作った。響波姉妹・ナイスフォロー!
「よっしゃ、キッドさん完全復活ー!!」
『わーい!!』
エターナルキットの回復を終え、他の三人もキッドと合流。【プレデター】の位置も把握出来た今、トリガーズが成すべき事は唯一つ。
「あのプレデター、死刑確定で良いな?」
「異論なし。キッドを痛め付けた罪は重いぜ」
キッドの執行宣言にハリアーも、アリスもツッチーも縦に首を降って、必ずや討伐を果たすことを誓い合う。
最早今回の目的はチャンピオンではなく、響波姉妹の恩師を喰らった【プレデター】の処刑だ。
「……ツッチー、お前が言ってた『トリガー・ツールシステム』。ここで使わせてくれ!」
「あら~その言葉を待ってたホイや! ワテの自信作、存分に使ってぇや!!」
キッドはプレイヤースキルから、【トリガー・ツールシステム/001】を起動させる。
すると、突如彼の眼前から真っ赤なカプセルが出現し、それから自然に亀裂が走ると同時に破裂した。
―――PON!!
カプセルから出てきたのは、クリムゾンカラーの双翼、大型のバックパックが背に装着された中型ジェットパックだ!!
「本日のトリガー・ツール、『VTGジェット』!!」
A.I.M.Sのエイムエナジーとクラフト技術を駆使した合法型特殊アイテム【トリガー・ツールシステム】。記念すべき第一号『VTGジェット』、それは装着したプレイヤーに数十秒間、自由自在に空を飛ぶ事が出来る飛行アイテムである。
これをスキル登録したキッドが装備。バックパック感覚で装着したジェットは、赤のジャケットとクリムゾンの翼がベストマッチに格好良さを表しております!
「ハリアーはんらもあるで。皆の個性に合わせたツールを一斉に使うんや」
「やろうぜ皆、響波姉妹の仇討ちだ―――!!」
エレメント◇トリガーズ、逆襲へのフェイズ突入!
残り隠された三つのトリガーツールを駆使して、【プレデター】を成敗せよ!!
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エレメント◇トリガーズ、次回も宜しく!!




