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【♯18】“黒い稲妻”がA.I.M.Sで暴れてるそうです。

 ――エレメント◇トリガーズの四人が揃って、シルバーランクへと上がった事により、視聴者への知名度が益々上がった頃。


 新世代FPSゲーム・A.I.M.Sでは、再び異様な環境下に包まれていた。

 とはいえ、最凶のチーター【プレデター】の話とは全く違うようで。


 ランクやレベルの制限なく、誰もが気軽にプレイ出来る『カジュアルマッチ』にて、とんでもなく強いプレイヤーが猛威を振るっているという噂を耳にするようになった。


 その者は三人編成の『トリオ』、四人編成の『カルテット』などのチーム戦にもたった一人で挑み、それに屈せずチャンピオンの座を我が物にしていった。


 それだけなら何処ぞの強者プレイヤーと変わり無いのだが、その者が騒がれている原因は彼のプレイスタイルにあった。


 その一つとして、従来A.I.M.Sで使用されている弾丸。これを俗に『アモ―AMMO―』と呼ぶ。


 これには軽量型の『ライトアモ』、重量型の『ヘビーアモ』、スナイパー専用の『スナイパーアモ』の他、徹甲弾として『アーマーブレイクアモ』等と多彩な要素が積まれているが、彼が扱う弾丸はそれらに該当していなかった。


 通常の弾丸よりも一回り大きく、いや弾丸というよりも()()()()()()()を撃ち出す様子が多数のゲーム配信動画で目撃されていた。


 これはA.I.M.Sのプレイヤー達が見たことの無い攻撃スタイルであった。


 そしてもう一つは、プレイヤースキル。

 三つのノーマルスキルと、最後の切り札と称されるアルティマスキル。何方とも強烈な能力を持っていた。


 何方も共通するテーマに、【雷】の要素が含まれているという。


 何処となくチーターの香りが漂うが、公式運営によれば、彼のプレイに違法な行為は見当たらないという見解で片付いたらしい。


 その者を目撃した情報によれば、アバターの姿は華奢な身体に黒のジャケットと、黒のスーツズボンと真っ黒なコーデ。

 それに右眼を隠す程の長い黒髪とそこから覗く左眼の眼圧が、対峙したプレイヤーを戦慄させるという。




 ――そんな独特な風貌を漂わせるプレイヤーを、皆は【黒い稲妻】と呼んでいたのだった。



 〘◇Now Lording◇〙


「……随分長い前置きだったな。やっと喋れるぜ」

 いやごめんなさいね、キッドさん。大事な話でしたもので。


 この『エレメント◇トリガーズ』の語りを務める私、解説ナビゲーター兼語りのMr.E(ミスター・イー)の枕話を終えた所で閑話休題。


 火野暁人(ひのあきと)こと『キッド』は、A.I.M.Sの実況動画の投稿の為に、現実世界の地底空間にある自宅にて編集作業中。


 更に信頼なる仲間の『ハリアー』『アリス』『ツッチー』の三人も揃って、今日も戦場へ赴く準備は万端。

 全ては、地底空間に生きる人々の自由を守る為に。


「なぁキッド、今日もランクマッチ行くのは良いけどさ、妙に思わないか?」

「何が?」


 ハリアーはここ連日でランクマッチに挑んでいきながらも、日頃感じていた違和感を覚えていた。


「【シャインピース】の事! 俺っち達が四人揃って、そのままチャンピオンになってから一向に出てこないじゃねぇか」


「そーいえば確かに! ミッションも積極的にやってるのに報酬は決まってエイムズマネーとかじゃないの」

「そら確率低いのは知っとるけどやな、宝くじやっとる気分になるねん」


 アリスもツッチーも、この仕様には不満があったようで。


 何しろキッド達がランクマッチ初陣で全員集結し、プレデターを討伐した事によって獲得したVRMMOの太陽データ【シャインピース】。

 四人分で四つの欠片を手に入れてから、ずっとハズレくじを引いてそれっきりであった。


「文句言ったってしょうがないだろ。俺らだけじゃなくて、全員が喉から手が出る程欲しがってるんだから。根気良く探すだけだ」

「そりゃ、まぁ……そうだな」


 全部で108つ、全て集めればどんな願いも叶うと言われる太陽のデータを探す事は、決して容易な事ではない。

 ハリアー達にも分かっていた事だが、何処かで焦っている自分も居たのも確かだ。


 宛もない戦いの日々に不安を抱きつつも、四人の話題は別方向へと向かう。


「ねぇ、皆も知ってるかもしれないけど、あの“黒い稲妻”の話。あたしちょっと気掛かりな事があるの」


 私も枕で伝えた“黒い稲妻”のプレイヤー。話題を掻っ攫う存在にアリスは引っ掛かりを覚えていた。


「実はあたしがキッド達と出会う前に、リプレイで【プレデター】のデータをプレイヤーに埋め込んでいた映像を見たの。ぼんやりとだけどそいつの姿が全身真っ黒で、ひょっとしたら……」


「その“黒い稲妻”が、【プレデター】を繁殖させた真犯人って言いたいのか?」

「た、多分……」


 勿論それが真実であるという保証はどこにもない。姿の類似だけで断言は尚早な判断だ。

 だがハリアーもアリスも、敵である【プレデター】の討伐に焦りが見えている事は、キッドとツッチーには御見通しであった。


「何を焦ってるんだ二人共? まだチームも始めたばかりなのに、急かしたってエイムがブレるだけだぞ」


「せや、キッドはんの言う通り! 商売もゲームもコツコツやるんが成功の元や。ワテらに出来ることを丁寧にやっていくんが一番やがな」


「やれやれ、やっぱそうするしか無いのかね」

「う~ん……」


 辿り着けない目的にやきもきするハリアーとアリス、それに対して大きく身構えるキッドとツッチー。

 この考え方の相違が、チームの団結に響くことになるのか。それはさておき―――――



 ギュイイイイイイイイイイイッッッ



 エレメント◇トリガーズとは別の次元にて、ターボ機能を付けたエンジンの如く、フルスロットルな械の音を荒野で響かせる。


 A.I.M.S内の『射撃訓練場』にてただ一人、あのエネルギー光弾を的やダミーロボット目掛けてぶっ放す黒いスーツの男……!!



「―――――【シャインピース】は、俺が頂く」



【黒い稲妻】、エレメント◇トリガーズに接近なるか―――!?

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エレメント◇トリガーズ、次回も宜しく!!

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