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【♯14】地底空間出身の俺らは、嫌われ者ですか?

 ――地底から這い上がった神エイムを持つプロゲーマー・火野暁人(ひのあきと)こと『キッド』の単独配信実況から一転、

 ハリアー・アリス・ツッチーの幼馴染三人と再会した事によってゲーム実況チーム【エレメント◇トリガーズ】を結成した。


 彼らの目的は、人生を一瞬にして崩壊させる最凶のチートプログラム【プレデター】の根絶。

 そしてFPSゲーム『A.I.M.S』で獲得できる太陽プログラム【シャインピース】を108つ集めて、願いを叶える事。


 この二つの目的を果たすために、彼らは四人で力を合わせて、不条理な世の中を変えるために戦うのだった。


 〘◇Now Lording◇〙


 ―――キッドが打ち明けた生立ち、そして【プレデター】に人生を潰されかけた過去を配信でカミングアウトし、幼馴染三人と共にチームでゲーム実況をするようになってから、様々な変化が起こっていた。


 その主な変化というのは、実況チャンネルの登録数アップとファンの拡張。

 生配信のライブ実況に加え、プレイ動画から抜粋した単体動画も毎日投稿しているキッドは、その再生回数から収益を得てどうにか飯を食えている。


 そこで三人が加わって、チームでA.I.M.Sのゲーム実況をするようになってから、その収益は何倍にも増えていた。


 キッドのみならず、他の三人も抜群のゲームセンスを持っていた事から、それぞれの個性が彼にない部分を補い、幅広いジャンルで視聴者を魅了するマルチプレイが展開された。


 ハリアーはスピードと偵察力、アリスは遠距離射撃に敵を欺くトリックプレイ、ツッチーは味方をカヴァーする鉄壁の防御。

 そこにキッドの神エイムと抜群のパワーが加わる事によって、バランスの取れた部隊編成が確立する。


 視聴者の中にもA.I.M.Sに挑み、エイム向上のモチベーション上げや勉強の為に視聴する人も少なくない。50種類以上ある武器の使い方など、四人がいればほぼ網羅したようなものなので、参考にして実際に上手くなった人も居るんだとか。


 ランクもトントン拍子に上がっていき、利益も知名度も上がって、【エレメント◇トリガーズ】も一躍ゲーム実況の人気グループの仲間入りを果たすのだった。




 ―――――と こ ろ が。


「……うーわ、また()()()()()()()が涌いてきてるよ」


 〚ゲームの負け組が集う地底空間出身が調子乗ってんじゃねーよ〛

 〚チーターがチーター倒してて草〛

 〚こんな奴に地上へ上がって欲しくない〛


 キッドが曇った顔でパソコン画面を見つめる先に書いてあったのは、動画内のチャット欄とはまた別のコメント欄であった。

 そこには、良識を遥かに逸脱した罵詈雑言・誹謗中傷の対象となるアンチコメントがあちこち書かれていた。


 というのも、キッドが皆の前で地底空間出身であることを喋った事が要因の一つであり、本来でも地底空間は社会不適合者や弱者が集まる場所というレッテルが貼られてる為、どうしても嫌な印象が引っ付いて取れない。


 それに実況者が人気になれば、その勢いに嫉妬して嫌がらせしてくる者も出てくる。

 キッドもその件には注意喚起はしてるものの、それでも執拗にやるのが悪意ある者の特徴。コメント荒らしとして通報を待つしか無かった。



「まぁ今の所、アンチは一割くらいで済んでるけど……風評被害も良い所だ。これ以上続いたら益々俺たちの居場所のイメージが悪くなる」


 そもそも彼が何故、地底空間の事をカミングアウトしたか。長いこと蔑まれていたこの地底に対する考え方を変えたかったという意志も含まれていたからなのだ。


 そこで彼は他の三人を緊急収集して、地上での現状を確かめる事にした。


 〘◇Now Lording◇〙


「単刀直入に言ってさ、俺が3年間ここで籠もってる内にさ、地上じゃお前らに対してどんな印象を持たれるようになったんだ?」


 この質問に対し、誰一人として明るく応える者は居なかった。ハリアーもアリスもツッチーも、顔を俯いて複雑な心境を抱いている様子だ。


「……優しくされる事自体が、極稀って印象だ」

「顔では愛想笑いで誤魔化しても、知らない所じゃ陰口のオンパレードよ」

「まぁワテはとっくに割り切っとるけどな、泥よりも汚い性根持ちは沢山居るさかいに」


 それはまさに散々な印象しかなかった。我々の事情も深く知らない者が、劣等感のイメージを持たれるだけで軽蔑の眼差しで視られる。

 こんな理不尽があってたまるものか。


「酷いなぁ……、俺が地上に居た時よりも悪化してるじゃんか。実力主義の成れの果てか」

 キッドも彼らの心情を察し、皮肉ついでに苦虫を噛む。


「嫌な思いしてるのは一緒だよキッド。俺っちもこうして人と絡みたく無いから、好きな風景を撮ってカメラマンしてるけどさ。これでも評価はしてくれるだけマシだぜ」


「そーよ! あたしだってやっと雑誌表紙のオファー来たんだから」

「ワテもレトロゲーム通な常連さんがいたから円満な商売が出来とんねん」


 ハリアーはカメラマン、アリスはモデル、ツッチーはレトロゲーム等を売る古物商を職業に地上に出ている。

 先程の嫌な想いは何度かあるものの、継続していく事でそれなりの評価に繋がったのだそうだ。


「まぁそれでも運命として、嫌われながらも精一杯生きるだけだ。たかが一割のアンチくらい何を気にすることがあるんだよ」


 等とハリアーが余計な心配に気を掛けてはいるが、キッドの考えている事は、それよりも深刻であった。


「皆さ、あれから5年以上も地底には帰ってないんだろ?」

「あ? あぁ、仕事がそれなりに忙しくてさ」


 ハリアーだけでなく、アリスもツッチーも同じ意見であった。


「そっか……、三人ともまだ地底空間が昔のままだって思ってるのか。それはマズイわ。そんな軽い気持ちでA.I.M.Sやらせる訳にはいかない」


「……………何を言ってんだ、キッド―――?」


 ハリアーや他の二人も、彼の発言に違和を感じたままに、彼はゲーミングチェアから立ち上がって皆に行動を促せる。



「ちょっと俺に付き合え。俺たちが5年間離れてた地底空間(ふるさと)がどうなってるか。その眼で確かめに行くぞ」



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エレメント◇トリガーズ、次回も宜しく!!

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