木場と凛
二日目、場所を変えて俺たちはボランティアに勤しむ。二日目はライブ会場から少し離れた所に綺麗な街並みがある。遠目で見れば綺麗でも近くで見ればゴミが落ちていたり汚い部分があったりする。俺たちの今日のボランティアはその街を掃除することだった。
落ちた空き缶やペットボトル、コンビニ弁当のゴミを分別して捨てる。
「これぞボランティア。俺が活躍して凛さんが惚れる確率九十九パーセント」
木場はドヤ顔で言った。大した自信だ。
「凄い自信だな 」
俺は木場に言うと木場はドヤ顔で俺の方を見て決め顔を見せる。凛の木場への印象を知っていると結果は既に見えている。本人に言ってあげたい所だがそれはそれで傷つくし、結果何をしても木場は傷つくことになるのだ。
「エース。こっちも沢山ゴミ落ちてるから来てよ〜 」
湊さんが俺を呼ぶ。俺は木場を放置して湊さんの元へ行った。湊さんは若槻先生と一緒にゴミを拾っていた。
「氷室くんおはよう 」
若槻先生は俺の顔を見ると挨拶した。俺も若槻先生に挨拶を返す。
「でも、驚きましたよ。若槻先生が俺と同じボランティア部に所属していたなんて 」
「私ね、ボランティア部に入った理由は顧問の先生が私の仲の良い先生でその人の頼みで入ったの 」
「へぇー そうだったんですね 」
「私が入った時は今よりも悲惨な部活だったよ。でも、私が入った後から何か活発的な部活になっちゃったよ 」
「どんな感じの部活だったのー? 」
湊さんも若槻先生の話に興味を示していた。
「えっとね、確か慈善と平和の為のボランティア部って名前に変わるぐらいだったね。あの時のボランティア部は変な意味で変わってたかもね 」
「ふーん。ボランティアガチ勢みたいな? 」
「そんな感じかな 」
一体何があったらそこまで路線変更するのか分からない。
「これはこれは若槻先生。熱心な先生が来てくれて助かりましたよ 」
部長の神崎先輩が俺たちは元へやって来る。この人は湊さんのことになると人が変わるから少し苦手だ。
「若槻先生。今日も綺麗ですね。純白のドレスが似合いそうですよ。はははは 」
神崎先輩の喋り方から木場臭がした。神崎先輩の言葉を受け取った若槻先生は表情を崩さず良い笑顔で反応した。
「そう? 今度着てみようかなー。ね。氷室くん 」
若槻先生は俺に話題を振る。神崎先輩は俺の方を見て何でお前なんだとい言いたそうな表情をする。結構怖い。
「そ、そうですね。お、俺も似合うと思います 」
神崎先輩はやっぱり苦手だ。まだ木場の方が面白いと思った俺は木場居た所へ戻った。木場は一人で黙々とゴミ拾いをしていた。中々真面目な所があると思った。
「木場どれぐらい集まった? 」
「俺は九十リットルのゴミ袋二袋目まで来たぞ。どうだ 」
木場はゴミ袋を見せてドヤ顔する。するとそこに凛が通りかかった。
「あ、凛さんっ!! 」
木場は走って凛を追いかける。凛は名前を呼ばれたことで不思議そうに振り返った。
「どしたの木場 」
「凛さん。見てください。俺の成果を 」
木場は凛にゴミ袋を見せつける。しかも最高のドヤ顔で。
「へぇー。すごいね 」
凛は感情のこもっていない返事を返す。人によってはその薄いリアクションにショックを受ける人もいると思う。しかし、木場は違う。木場の目はメラメラと燃え上がっている。その目からは覚悟のような物を感じ取った。
「ど、どしたの木場 」
木場の目から勢いを感じたのか凛も驚いている。
「凛さんっ!! 」
木場は覇気のある声で凛の名前を呼ぶ。
「は、はいっ!! 」
その覇気に圧倒されたのか凛も大きい声で返事した。
「凛さん。俺は..俺は凛さんのことが好きです。その可愛い声にカラッとした性格、俺はこのボランティア部の活動で凛さんと初めてまともに話して感じました。俺と、俺と 」
最後の一言手前一瞬の間が空く。
「俺と付き合ってくださいっ!! 」
木場は大きな声で凛に告白した。二人だけの時に告白するのは分かるがまさか皆んなの前で告白するとは思わなかった。
木場の告白が聞こえた一部の部員たちは木場の方を見る。木場とその隣に居る俺、そして木場の目の前にいる凛の三人だけがその場から切り離されたような感じになっている。
木場の告白を聞いて表情を変えた凛。恐らくこれまでの雰囲気的に振られると思うがまさかの大逆転もあるかもしれない。しかし、凛は俺のことを好きと言っていたことを考えるとそれは薄いかもしれない。
俺と木場は凛がどう言葉を返すのかドキドキしていた。
「木場が..ウチのこと..好き....」
長い沈黙が続きいよいよ凛からの返答がくるのだ。イエスかノーかどちらの返答が木場に来るのか周囲もゴミ拾いを止めてその様子に釘付けになっていた。




