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今日から俺が住む若槻先生の家

 学校から出た俺は一度自分の家に戻り荷物を用意した。若槻先生の家は母が知っているらしいので大体の場所を教えもらい後はスマホ頼りで行くことにした。俺は母に若槻先生と一緒に暮らすことを伝えるとニヤニヤして「予想通りね 」と言っていた。


 荷物を用意して家を出た俺はスマホを片手に住所を調べて案内通りに歩き出す。普段通らない所を通り若槻先生の家を目指す。ある程度進んだ所で険しい上り坂が先に見える。帰宅部兼ボランティア部のエースである俺は運動不足ということもありこの上り坂で既に体力の半分を使っていた。


「キツイなー。これからは運動も少ししないとな 」


 普段運動をしない所がこういう所で仇となるのだ。部活を変えるつもりはないが走るぐらいはした方がいいと思った。上り坂を登り切り突き当たりを右に曲がると若槻先生の家があった。ピンクの屋根に白い外壁、シンプルイズベストを体現したような家だ。家の門の前では若槻先生が立っている。普段ポニーテールの若槻先生がこの時は髪を下ろしていた。雰囲気が変わりとても新鮮で良い。


「わ、若槻先生っ!! 」


 俺は若槻先生を呼ぶと俺の声に気づいた若槻先生はニコッと笑って近づいてくる。無邪気な笑顔を見せる若槻先生はとても可愛い。心がくすぐられるようだ。


「氷室くんっ道迷わなかった? 」


「はい。分かりやすかったです。それよりも上り坂がキツかったです 」


「あれね。氷室くんはもっと運動した方が良いかもね 」


「はい。そう思いました 」


「とりあえず中入ろっか 」


 俺は荷物を抱え込み家の中へと入った。玄関と廊下は綺麗でピカピカだった。もはや新築の家と言っても過言ではない。一体築何年の家なんだろうか。


「氷室くん。リビングはこっちだよ 」


 俺は若槻先生に案内されてリビングへと入った。玄関と廊下と同じようにピカピカでフローリングが輝いている。白いマットもシミ一つない。机も椅子もキラキラで超綺麗だ。ソファも見るだけでふわふわなのが分かる。


「凄いですね 」


「私の両親が一年前に建てたんだけど二人揃って仕事で海外に行っちゃって私一人なの 」


「そうだったんですか 」


 やはり建って間も無いようだ。一年前に建てられた家ならば納得がいく。それでも綺麗なのは若槻先生の日頃の頑張りが現れているのかもしれない。これからこの綺麗な家に住めるのは最高だ。少しワクワクしてきた。


「氷室くん。ジュース入れるけどオレンジジュースで良い? 」


「ジュースぐらい俺が入れますよ 」


 キッチンに居る若槻先生の元へ俺は駆け寄り若槻先生の手からオレンジジュースの入った紙パックを奪い取ろうとしたが若槻先生はそれに対して強く反抗する。


「私が入れてあげるから座ってて 」


「いや、それぐらい自分でしますから 」


 俺も若槻先生のどちらも譲る気配はない。紙パックを強引に奪い取ろうとした時、偶然にも紙パックの中に入っているオレンジジュースが若槻先生の白いワンピースに溢れてしまった。胸元は透けて花柄のブラが見えていた。


「す、すいません 」


 俺はその場で一礼してすぐに謝った。若槻先生に怒られるかもしれない。俺は最初に若槻先生が入れると言った時に黙って座っておくべきだったと自分の行動を反省した。


「私こそごめんね。素直に氷室くんに任せたら良かったよね 」


「若槻先生 」


 俺は反省しつつも若槻先生の胸に目が移っていた。オレンジジュースが溢れたことによってブラが透け、胸がワンピースとぴったり引っ付いて強調していた。若槻先生がたわわな果実のような大きい胸をしているとは思わなかったし、ウエストからヒップのラインも程よく肉付きが良くてムチムチしている。普段の服装からでは全く分からなかったので良い意味で意外だった。


「氷室くんのえっち 」


「ぇっ 」


「着替えてくるね 」


 若槻先生はリビングから出て行き服を着替えてから戻ってきた。服装は白Tシャツに短パンだった。太ももとスラリと伸びる素足が魅力的で見惚れてしまった。


「氷室くん。おまたせ。お菓子でも食べよっか 」


 リビングのテーブルにお菓子の入った器を真ん中に置いて俺と若槻先生は向かい合ってお菓子を食べる。若槻先生が入れてくれたオレンジジュースとお菓子はベストマッチだ。普段家で食べるよりも美味しく感じる。

 ニコニコしながらお菓子を頬張る若槻先生だったが突如問を投げかけて来た。


「氷室くんは彼女とか居たことある? 」


「ありません 」


 気持ち良いぐらい即答だった。この五文字を発することに時間など必要ないのだ。高校一年の時は彼女経験皆無の事実が恥ずかしくて答えることに躊躇したが今ではそれも慣れて即答できるまで成長したのだ。まぁある意味退化かもしれないが。


「そうなんだ 」


 ここで俺はふと放課後の女子たちの話を思い出した。それは若槻先生が体育の教師である大南先生のことを好きなのでないかという話だ。若槻先生は初めて好きになったのが俺と言っていたが女子たちからその話題が出るというは何かあるのではないかと予感した。


「あの、若槻先生にクラスの女子が言っていた大南先生の話を聞きたいんですけど 」


「あ、あれ....あれはね、前に廊下で大南先生に口説かれる所を女子たちに見られちゃって 」


「く、口説かれた!? 」


「し、心配しないでっ。私が好きなのは氷室くんだから 」


「し、心配はしてません 」


 心配はしていないが一瞬だけ心がモヤモヤした。この時の気持ちが何なのか俺には分からなかった。


「私、夕食作るね。氷室くんは宿題して待っててね 」


 若槻先生はまた俺の頭を優しく撫でキッチンへと向かった。若槻先生は上機嫌で鼻唄を歌いながら料理を始める。俺は料理をする若槻先生を眺めながら宿題を始めた。

 若槻先生の鼻唄をBGMにして宿題をすると中々捗るみたいだ。いつもよりも早く宿題が進む。


 若槻先生の料理と俺が宿題を終わらせるタイミングは偶然にも同時だった。


「おまたせ氷室くん。今日の朝仕込んだから早く作れちゃった。宿題はどう? 」


「たった今終わりました 」


「凄いね。同時だったね 」


 若槻先生が作った夕食はカレーだった。器に盛ったカレーをテーブルの上に置いていく。テーブルの真ん中にはサラダが置かれる。


「さ、サラダですか....」


「野菜もきちんと摂らないとダメだからね 」


「わ、分かってますけど....」


 俺は手を合わせた後、若槻先生特製のカレーとサラダを口に頬張る。サラダはレタスとキャベツがシャキシャキしていて思っていたよりもずっと美味しい。カレーは狙ったかのような程よい辛さが食欲を増進させていつもより沢山食べられそうだった。どれも母より美味しいかもしれない。


「母のカレーより美味しいですよ 」


「それは気のせいだよ。きっと。このカレーは加奈さんから教えて貰ったからね 」


「そうなんですね 」


 カレーを食べ終えると俺は食器洗いを買って出たが若槻先生に却下された。一緒に暮らす上で全部してもらうのは流石に気が引ける。できることは手伝いたいのだ。


「食器洗いは俺がしますから 」


「駄目。私に任せて良いから 」


「流石に俺が何もしないのは気が引けます。何かさせてください 」


「じゃあお願いしていい? 」


「はい。綺麗に食器洗いしますよ 」


「そ、そうじゃなくて..一緒に寝てくれる? 」


 俺はまたもや思考停止した。しかし、一度はいと言ってしまった以上拒否する訳にもいかないし俺は若槻先生と一緒に寝ることにした。

 意識すると緊張が止まらない。この瞬間から風呂に入り布団に入るまでの間の記憶がほぼ飛んでしまったのだ。

 一つのベッドの布団に入った俺と若槻先生は窮屈で身体が何度も触れる。


「俺やっぱり床で寝ます 」


「駄目。一緒に寝る約束でしょ。おやすみなさい氷室くん 」


 若槻先生は俺に抱きつくようにして眠った。髪の毛が鼻付近を通りアロマの匂いがする。そして若槻先生の胸は俺の胸に押し潰すように当たり鼓動が聞こえる。口もキスできるぐらいの距離まで来ていた。

 こんな状況で寝れる訳がない。その日の夜俺は中々寝付くことが出来なかった。

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