ユメ。実は優しい説。
「............おい。駄女神」
俺はいつもの空間にいた。
そしていつものようにそいつはいた。
「.....................」
ズバアン
「はうた?!!いたあああああい!!!いきなり何するのよおおお??.........ってあれ?ユメじゃない。どうしたの?」
「.........何寝てんだよ!!!てかどうしたのじゃねーだろおおお」
「うるさいなぁ......」
「うるさいか......よーし。よく分かった。契約解除するわ!!お前と契約したのが間違いだわ。」
「何言ってるのかわからないけど...一度契約したら二度と離れられないわよ?」
「はあああああ?なんで最初に言わねーの??」
「言わなかったっけ?てへ☆」
「もういいわ。二度とお前の顔なんて見たくないわ!!さいなら。」
「はぁ......眠た...」
俺は起きた。
起き上がりたかったのだが...レイが俺の上に寝ていたため起き上がれなかった。
「幸せそうな顔で寝やがって......くそう...ちょっと言い過ぎたかな......はぁ...」
ゼリコはレイの身体から出てくると俺の顔の横にきてぷにゅぷにゅした身体をなすりつけてくる。
「ありがとなあ...心配してくれて。」
ゼリコは気にしないでと言わんばかりにピカピカ金色に点滅していた。
俺は両手を真上に伸ばすと、ふと気になるものがあった。
「サイコロの数...増えてね?」
最初は黒色のサイコロが白くなったサイコロの他に赤色のサイコロと緑色のサイコロが増えていたのだ。
「使い方もわからんし、意味もわからんなあ...まぁいっか。」
俺は手を下げようとした時にまたふと気になった。
レイの肩に小さな羽が生えた何が乗っていたのだ。
「なんだこれ?」
俺は羽をつまみ上げて顔に近付けた。
「小さな.......女の子?!」
「んー......あ。おはようございますぅ...」
「あ。おはようございます。.........ってだれ??」
「マオウですよお。昨日お仲間にしてくれたじゃないですかぁ」
「はあああああ??お前が魔王?!いやいや、絶対違うでしょ?!」
「んーーー...ふぁぁぁぁ......まいますたぁおはぉーございましゅうぅ......ふぁぁぁぁ...」
「レイ......こいつレイの知り合いか??」
「魔王マオウですよぉ...寝ぼけてるんですかあ?おはよぉのぎゅーしてあげますか?ふふふ」
「ですです。これからよろしくお願いしますですです。」
「...............俺......疲れてるのかな......」
俺はダンジョンの外に一度出た。
「眩しいなぁ......はぁ......俺何してるんだろ...」
俺はその場に座りサイコロを眺める。
自然と不思議な記憶を思い出していた。
「はぁ......やっぱり言い過ぎたよなぁ...俺嫌なやつだな......はぁ.........はぁ............うん。決めた......謝ろう...」
俺は心に謝ると誓い白いサイコロを握りしめた時だった。
辺りが一瞬真っ白に輝き俺は眩しくて目をつむった。
すると聞き慣れた声が聞こえてきたのだ。
「うわああああああああん...ああああああああん。ひっぐ!...うえええええぇぇん...」
「.........」
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん.......。」
俺は駄女神に近づき後ろから優しく抱きしめた。
「なんで泣いてるんだよ...」
「うえええええぇぇん...だってえ...ひっぐ...ユメがあ...ぐすぐすっ...うわああああああああん...」
「......ごめんな......ちょっと言い過ぎたわ......」
俺は抱きしめながら優しく頭を撫でた。無意識に。
「ぐすぐすっ...ユメに嫌われた......ひっぐ......顔も見たくない言われた......うえええええぇぇん......」
「だからごめんなって......俺はナナリーの事嫌いでもないし。...その......ずっと一緒にいたいさ...」
「ぐすぐすっ...ぐすぐすっ...ほんどお?...ぐすっ」
「ああ。本当だ......さっき言い過ぎたんだ......ごめんな......だからナナリーもう泣かんといて......」
「ぐすぐすっ...よがっだああ......嫌われたかと思って......悲しかった......ぐすっ......でも......」
「でも?」
ナナリーは俺の顔を見た。
「初めて私の名前呼んでくれた......へへっ」
泣き顔のくせにその笑顔がたまらなく可愛かった。
ナナリーは弱い力で俺に抱きしめ返してきた。
俺は無言で抱きしめながら頭を撫で続けた。
あぁ......うん。悪くない......悪くないんだけど......みんなにどうやって話そうか......
そう思いながらもこの時間はしばらく続いたのだった。
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