ユメ。ゴミが目に入る。
「ず...ずみまぜんでぢたあああたん」
「本当に悪いと思ってる?」
俺は思いっきり殴りたかった。
だけど殴った事なんて一度もなく、ましてや駄女神だからって一応女の子だからデコピンで許すつもりだったのだが...
俺のデコピンは意外と強いらしい。
「ちょーしにぐすっ。のりましたあ...すいませんでしたああ」
「わかればよろしい。」
「んじゃあ見てこっか!!」
先程まで大泣きしてたのが嘘みたいに表情が明るくなった。
「身替わり早いなおい!!」
「まあまあ。落ち着いて?」
「誰のせいで...まあいいや。」
そして先程の映像を見る。
映像には女の子を抱き抱えた場面が映っていた。
女の子を抱き抱えた後後ろの家が爆発したのだった。
爆風から女の子を守った形だが、飛んできた鉄の塊に頭をぶつけて意識が無くなったらしい。
「まだ死んではいないみたいね」
「ああ。でもなんで爆発したんだ?!」
「ユメがわざと飛び降りたせいじゃない?」
「あんなことも何かしらの力が働くのか...でもまあ女の子が無事なだけよかった。気をつけないとな...」
映像を眺めてたら、女の子がそのまま俺の腕をよけて何事もなく立ち去っていった。
「優しいなあ。誰か助けを呼びにいってくれたんかな?」
「次はどうやって死ぬつもり?」
「んー。そうだなぁ...村から出てダンジョンでも行ってみようかな?ダンジョンとか少し憧れだったんだよなあ」
「いい考えね。ダンジョンには魔物がたくさんだし!ってあら?あの女の子戻ってきたわよ」
「お。本当だ。でもなんで一人なんだ?それに右手に...大根?!」
女の子は立ち止まると大根を持った右手を上に振り上げた。
「おいおい、まさかだけど。まさかまさか、そんなことないよな?!?!」
女の子はその大根を何度も何度も何度もユメの頭に叩きつけた。
大根が大根じゃなくなるまで...
「へっ」
凶悪な笑みを浮かべると(元)大根をユメに投げ捨て走りさっていった。
「あんのくそがきゃああああ」
「あーっはっは。ひーっひひ。あっはっは。」
女神はお腹を抱え転げ回っていた。
「おい...なんでこうなった?!」
「ひーっひっひっ。だって...あーっはっは..当たり前じゃない?だって女の子にいきなり抱きついたらそうなるに決まってるじゃない?あっはっはっ。」
「女の子ったってまだガキンチョだぞ?」
「女の子に歳なんて関係ないよ。」
「あそこまでしなくたって...お。ジョニーがきたぞ。みてみろ?真の親友はやはり俺を見捨てなかった!」
どや顔で駄女神に言った言葉は3分後に後悔することになる。
ジョニーは俺の腕を肩に回し立ち上がった。
「さすがだジョニー。俺こんな事で泣きそうに...ん?」
ジョニーは俺の上半身を探るようにし、胸ポケットに手を突っ込んだ。
そして胸ポケットから俺の財布を取り出し中身を確認すると
「ちっ。」
その声と同時にジョニーはその財布を自分のポケットに突っ込み俺を投げ捨て村から立ち去っていった。
「ひーーーっ。ひっひっ。ハァハァ...アーッハッハッ。真の親友はなんだっけ?!あーっはっはっ。お腹痛くて死んじゃいそう。ひーっひひ。もうユメ。お願いだから...ハァハァ...これ以上笑わせないで...あーっはっはっ」
「........」
俺は駄女神に黙って近づくとデコピンを二発くらわせた。
「なんなんだ!!!どいつもこいつも!!!どいつもこいつも!!!人間じゃねえ!!くそやろう!!!」
勝手に涙がでてきた。
これはそうだ。ゴミが目に入っただけだ。