第2話 妖精族の女王のお願い。
「え、えぇとブバルディアさん…？ま、まだですか…？」
「うむ、そうさなぁ、後少しはかかるぞ。
引き続き頑張ってくれるかえ？」
「は、はい…」
ブバルディアさんの“ここから出して”ってお願いって、引き受けなきゃ良かったかも…
――――――数時間前――――――
「…分かりました、その願い、叶えられるのならば叶えましょう。
……で、先に僕の名前を付けてくれますかね…？」
「あぁ、構わぬぞ？
そうさなぁ…そうじゃ！“リュンヌ”なんてどうじゃ？」
「リュンヌかぁ…良いと思います!!」
「そうか！それならば良いのじゃ！ならばこれからはリュンヌと名乗ると良い」
「はい！ありがとうございます！
えーと、ブバルディアさんのお願いの、此処から出してって…えっと、此処から出られないんですか？」
「そうなのじゃ！300年程昔の事じゃ。妾の部下の妖精が、罪を犯してなぁ、その罪を妾のせいじゃと言い、妾を封印させたのじゃ。」
それって免罪じゃねぇか…可哀想だなぁ
「…つまり、その呪いを解けば良いんですか？」
「そうじゃ、そなたのその魔力量ならば余裕じゃろうて。」
「は、はぁ…そうですか。ならやってみますね！えーと、こうかな…？」
((バチバチッ!!
「うわっ?!びっくりした…」
「おぉ、やっぱり妾が見込んだ通りじゃ。その調子で頑張っとくれ〜」
――――――現在――――――
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「そう、そうじゃ！もう少しじゃ！」
「ハァ…ハァ…流石に…疲れた…ハァ…う、うぉおおおおおおおおおお!!!!」
((パリィン
「や、やった…のか…？やりましたよブバルディアさん！」
((カツ…カツ…カツ…
「ようやってくれたなぁリュンヌよ。」
「ありがと…ございます…え？で、デカくなってる?!嘘!?」
「封印は、妾の力も封印しとったのじゃ。本来の妾の力ならば、あんな封印も意図も簡単に解けるのじゃがなぁ」
うおぉぉ…その苦笑い、結構美しいな((
「え、えーと、力の封印も解いたから、その…大きくなった…と言うことですか？」
「そうさなぁ、妾は女王。身体の大小も思うがままじゃ。」
す、すげーー！
「えぇと…ブバルディアさんは、これからどうするんですか？」
「勿論、そなたについて行くつもりじゃ。」
「へー…ってえぇ?!」
「ここで過ごすより、異世界からの転生者と居れば、冒険出来ると思ってなぁフフフ」
じ、自由なんだなぁ…ブバルディアさんって。
「で、でも、正直に言ってここが何処か分かりませんし…」
「ここはフォレスタ高原にある小さな洞窟じゃ。洞窟とは言っても、魔物も鉱石も、何も無いゆえ、誰も此処に立ち入らぬ。」
あぁ、だから300年もの間、ずっと封印が解かれなかったのか…
「えぇと…この辺に、村とかありますかね？」
とりあえず衣食住を確保したいし…
「うーん、確か近くに小さなハーピー達の集落があった筈じゃが…300年前と違うかもしれぬしのぅ…」
ハーピーって言うと、顔と体は人間で、腕の方が翼のアレか…確か某海賊王を目指す漫画にも居たなぁ…
「分かりました、とりあえず行ってみましょう！」
