「Children of the lucid dream⑤」 IDECCHI51 【ヒューマンドラマ】 挿絵:だがしや様
やがて花火大会は終わった。賢一の計らいで彼と悟は一足早くホテルに帰ったようだ。英介はぎこちない笑顔をみせて早苗と言葉を交わした。
「ご、ごめんね。突然あんなことしちゃって」
「ううん、彼氏と喧嘩別れをしちゃって……」
「そっか、じゃあ彼氏さんと仲直りできるよう、僕は願っているよ」
「あの」
「ん?」
「もしかしたら何となく思いだせるかも。アドレス聞いてもいいですか?」
「え!? でも、彼氏さんには内緒にしなよ!」
「私たちもう別れるから別にいいよ?」
「そ、そうだったよな……」
「ふ、ふふっ、おっかし!」
「はは……あはははは!!」
「もう、貴方なんなのよ~」
それから2人は大笑いを交わした――
翌朝、英介は賢一たちと一緒にフェリーに乗って愛媛を発った。
早苗が自分の彼女になるかはわからない。ただの友達でも良いとすら思った。
デッキにでると賢一が海を眺めてくつろいでいた。
早苗をお家まで送ってホテルに帰ったので、英介はあまり寝ていなかった。
だけど彼とはどうしても話がしたくて船内で寝る気にはなれなかった。
「伊達君、君の言う通りだったよ?」
「ん? 何か言ったかな?」
「人生って面白いことだらけだよな」
「ふふ、何か面白いことあったの?」
「ああ、聞いてくれ。とても信じて貰えるような話じゃないけどさ」
人生には無限の可能性が秘めてある。それをどう使うかはあなた次第だ――




