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5ダイス目 下着系スキルの習得

 返して回ることが決定した女性服を空間収納のスキルで収納し終えた後、その他の服も同じように全て収納しておいた。収納容量に上限が無くて収納しておいた物の時間が止まるなら収納していつでも取り出せるようにした方が絶対に良いからな。不必要なタンスも置くだけ無意味な本棚も収納し、書斎は空になったクローゼットと机と椅子だけがある簡素な部屋になった。


 さて、最優先でやらなくちゃいけないことは終えたし、なにするか。よくある異世界モノの話ならこの森を出るための準備をするんだろうけど、生憎と俺は安全と思われるこの家を拠点にしてできるだけ日帰りで動くつもりだしな。


『スキルの確認でもするといいんじゃないかな』


(だから勝手に心を読むなって)


『心は読んでないから安心してくれていいよ。読んでるのは心じゃなくて思考だよ。読まれて困るものでも無いだろう?』


(……なら仕方ないか。読まれて気持ちの良いもんじゃないけど)


 それにしてもスキルか。まだ二つのスキルを確認してないから、確認しておいた方がいいよな。



――異世界言語理解――

異世界に存在する全ての言語を理解する。但し、元居た世界にある言語は対象外とする。



 これは名前の通りだな。元居た世界ってことは、英語とかドイツ語とかがわかるようになることは無いみたいだ。


『あと人間以外の種族が使う言語もだよ』


(捕捉サンキュー)


 要するにこの世界の人間の言語ならわかるってことか。……言語チート成立するかな?魔法言語が自由に扱えたりして魔法をバンバン撃てたりするかな?するといいな。


『できないことはないと思うけどほとんど不可能なんじゃないかな』


(え、なんで?)


『魔法言語は理解できても人体のそもそものスペックが違うんだ。この世界の人間は地球の人間とは違って生まれつきのPOWの最大値が36なんだ。3d12だよ。それに加えて地球には存在しない魔力がこの世界には満ちている。そんな世界に産まれたときから慣れ親しんでいるおかげで、POWに関わらずにMPが増大しているんだ。10歳の子どもでも180はMPがあるんじゃないかな』


(なんだ、チートか。神並かそれ以上のMPなのか)


『チートじゃないさ。地球生まれと異世界生まれにはそれだけ差がある。本当なら日本生まれの異世界モノの小説にあるような転移したら魔法がすぐ最強なんてものはあり得ないんだよ。どんなに才能があっても、その世界の平均レベルに辿り着くまで死ぬほど努力したとして10年はかかる。転生なら10年生活するだけで平均レベルになれるし、10年死ぬほど努力したならトップレベルの魔法を使えるようになるけどね。ちなみに、ボクら外神や支配者達も魔力のおかげで強くなってるよ。具体的にはどんなに弱くてもMP1,000は当たり前』


(……神が強いのは置いておこう。POWの最大値が高いのはなんでなんだ?)


『先祖代々、どれだけ脅威や狂気と関わっているかが影響するんだよ。先祖に刻まれた恐怖は、魂の遺伝子に刻まれる。魂の遺伝子は古い物ほど消えていくけど、強烈な物ほど長く残る。魂の記憶とも呼ばれるね。先祖代々、大きな脅威と関わっているほどこの記憶は大きくなり、それだけPOWも大きくなる。魂が持つ恐怖に対する耐性が強くなるんだろうね。この世界では魔物や神話生物が蔓延っている。それだけ、恐怖を感じる機会も多いってことだよ』


(なるほど、俺は解るけどCoCをやったことが無い人は解りにくい説明をありがとう。それで、俺はどうなるんだ?SAN値直葬される未来しか見えないんだけど)


『……ま、まあ、キミには勝ってほしいし、できる限りボクもサポートするよ。ところで、次のスキルは確認しないのかい?』


(あからさまに話を逸らしたな。別にいいけど)


 じゃあ、ニャルにも急かされたことだし、本題のスキルを確認するか。



――《Nyarlathotep》――

召喚主の判断で、召喚主の力の一部を具現化したスキル一つとその他のスキル二つが習得できる。さらに、自身で一つスキルを選んで習得できる。

進化条件:召喚主の化身としての名前を特定する



(……ニャル、空間収納はその他のスキル二つに含まれるよな?)


『ボクはできるよって言っただけだよ?それに、キミが頼むって言ったんじゃないか。空間収納はキミの判断で手に入れたスキルだよ』


 クッソ、騙された。流れるように自分でスキルを手に入れられる権利を使わさせられてしまった。


『自業自得だよ。スキルが覚醒した時に見なかったのが悪い』


(ぐっ、反論できん。……それで、他のスキルは?)


『うーん、どーしよっかなー。全裸で女の子たちの服の山にダイブしてくれるなら考えないでもないかなー』


 うわぁ、うぜぇ。そしてそれだけは死んでも絶対に嫌だ。どうにかしてニャルからスキルを貰えないものか……。クソッ、ニャルに言葉で勝てる気がしない。ここは戦略的撤退だ。


(この話は一旦置いておくべきだ。この進化条件っていうのは?)


『えー、この話置いておいちゃう?まあいっか。進化条件っていうのはボクの力をキミがより多く使うために必要なものだよ。今回の場合はボクがどの化身であるか特定することだね。そうだ!今すぐ答えられたらスキルを全部あげるよ!』


(本当か!言質は取ったぞ)


『もちろん、邪神に二言は……あるけど今は無いよ』


 まずニャルから得られた情報を整理しよう。ニャルが顕現するときは男の姿だと言っていた。つまり異形でも女性でも無いわけだ。そして、人間、男性の考え方とかを勉強したらしい。ここから人間と関わりが多い、もしくは深い化身であるはず。そしてこの口調。簡単に変えられるだろうけど、それでも学者とかそんな人じゃない感が伝わってくる。ニャルから得られた情報はこのぐらいか。

 後は、俺が日本にいたときのCoCの知識を総動員する……っ!



――芸術《CoC》――

51>1d100→23

成功



 わかった!


(暗黒の男だ!)


『……正解だよ。まさか、999の化身の中でも有名とはいえ、本当に当てられるとはね。ダイスが成功して良かったじゃないか。ま、わかってもらわなくちゃ困るんだけどね。それじゃ約束通り、スキル三つとスキルの進化だ。確認してみて』


 当たった。奇跡だ、当たって良かった。ダイスに成功してなかったら間違ってたよなこれ。とりあえずスキルを確認してみるか。

 どれどれ、《Nyarlathotep》は《暗黒の男》に変わってるな。増えたスキルは……下着探査、下着好感、《暗黒の手》の三つだ。


 …………。


(おいニャル。下着探査と下着好感ってどういうことだ。名前だけで嫌な予感しかしないぞ)


『ボクはキミに絶対必要なスキルをプレゼントしたつもりだよ。なに、確認すればわかるさ』


 確認すればわかるって……、確認するしかないからしてみるけど。



――下着探査――

誰かが着用していた下着に触れた場合、その下着を着用していた人物の現在地を無条件で知ることができる。この機能はONとOFFの切り替えが可能である。

現在はOFF



――下着好感――

誰かが着用していた下着に触れ、尚且つその下着を着用していた人物に出会う前であれば、その人物と初めて会った時に無条件で好感を持たれる。このスキルは消せない。



(おい)


『なんだい?』


(確かにあった方がいいけど、この下着に触れたらって条件はなんなんだ)


『ほら、要らない情報は必要ないから、全部を探査するよりも下着に触れて個人を特定した方が効率がいいんだよ。ちなみにスキル手に入れてからまだ下着に触れてないから、もう一度取り出して触れなきゃいけないからね』


 仕方ない。確かに目的を達成するには必須とも言えるようなスキルではある。そもそもその目的の原因を作ったのはニャルだけど。なぜ下着にしたのかっていうのも、邪神なんだから諦めよう。もう、どうしようもない。

 俺は下着を取り出し触れて即座に収納する作業を開始した。一瞬取り出して一瞬触れるだけなのですぐに戻せばいいので、10秒もあれば全部終わる。


(ちなみに、この好感ってどのぐらいのレベルなんだ?俺は最低限嫌われない程度だと思ってるけど、念のために)


『一目惚れだね。それどころかキミに何をされても喜ぶようになるよ』


 どうしよう、念のために聞いといてよかったと思うべきか、絶対に面倒な今後に絶望すべきか。

 ちなみに下着に一瞬触れる作業は終わった。本当に10秒で終わるとは思わなかった。


(何をされてもって、具体的にはどのぐらいだ?)


『うーん、どのぐらい、かー。例えば、生命力の加護(呪い)を与えて死ねなくしてから、指先から徐々にミンチにして首だけにして、ミンチにした体を目の前で食べた後に残った頭を性処理の道具に使ったとしても喜ぶよ』


(うわぁい、SAN0確定コースだぁ)


 グロい!聞いただけでグロい!そしてそれで喜ぶ!これをSAN0の狂気と呼ばずしてなんと呼ぶ!


『出会い頭に腹をナイフで切り裂いたとしても至福の喜びを感じるし。出会う前に弓で射抜いて、その後瀕死の状態の時に自分が犯人だと叫びながら駆けつけたとしても苦しみが喜びに変わるからね。一度会ってしまえばその女の子は性処理の時キミのことしか考えられなくなるし、できることならキミと常に密着していたいと思うようになるし、実行する。キミが今触れた下着の女の子は狂気的にキミを愛するようになる。どう足掻いても無くせないスキル(呪い)さ』


(なにしてくれてんの?)


 わざわざスキルの説明欄にこのスキルは消せないって書いてあるし、狂気的に愛するって、恐ろしいよ。もう全員分の女の子の下着に触れちゃったよ。長く触れないよう10秒で一気に触れたのが裏目に出たよ。どうすんだよ。


『受け入れなよ』


 クッソ、ニャル、絶対に許さねぇ。

――ステータス――

名:相津聡

職:探索者


STR:10

CON:13

POW:14

DEX:9

APP:10

SIZ:13

INT:14

EDU:13


初期SAN値:70

現在SAN値:76

最大SAN値:89


幸運:70

アイデア:70

知識:65

ダメージボーナス:+0


HP:13

MP:14


技能

オカルト:45

回避:18

化学:36

聞き耳:50

クトゥルフ神話:10

芸術《CoC》:51

コンピュータ:41

生物学:51

図書館:50

博物学:40

物理学:21

異世界言語:51

日本語:65

目星:50


スキル

《暗黒の男》(New)

《暗黒の手》(New)

異世界言語理解

空間収納

下着探査(New)

下着好感(New)





用語説明

・POW

精神力を数値化したもの。この値からSAN値の初期値、MP、幸運の値が決定する。これが最も重要なステータスと言っても過言ではない。

余談だが、STRとSIZが重要だと言う人は脳筋。POWが重要だと言う人は魔術師。INTとEDUが重要なだと言う人は現実的。

・芸術《CoC》

ダイスの運命のオリジナル技能。CoCに関する知識を思い出す時やCoCをプレイする際に使用する。

・MP

魔力的なもの。ここでは魔力とする。最大値は基本POWと同値であり、呪文を使用したり魔法を行使したり敵に吸い取られると減少する。時間経過で回復する。POWが増減すると最大値が同じだけ増減する。使いすぎて0になると気絶する。

・外神

外なる神のこと。どこの世界にも属さない異時空に生息する神の総称。有名所だとアザトースやニャルラトホテプなど。

・支配者

グレートワン。地球においてはグレートオールドワン(旧支配者)だが、この世界においてはグレートワン(支配者)。複数存在するいわゆる邪神。太平洋とか地下深くとか宇宙とか案外どこにでもいる。有名所だとクトゥルフやハスターなど。

・神話生物

魔物とは違い、クトゥルフ神話由来の生命体。その総称。大きく区分すると、外なる神、神(旧神)、支配者(旧支配者)、奉仕種族、独立種族に分かれる。

・暗黒の男

ニャルラトホテプの999あるとされる化身の一つ。魔女と深く関わってきた存在。マレウスモンストロルムに書かれてたから仮に999種であるとしたが、個人的には無限にあるものと思っている。

・狂気

絶対的な感情、衝動。一度陥ってしまえば、狂気が解けるまで抗うことはできない。狂気には一時的狂気、不定の狂気、永続的狂気の三種類がある。

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