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君のための復讐

作者: 空耳

「なぁ……真子…君から見て、この僕はどうだろうか?

君がいないこの世界に、僕が生きてる意味はあるのかな?……

だから君のために復讐することにしたよ…僕は…」

ビルの屋上。一人彼女の写真を持ちながら。僕は言った。

僕は1週間前、恋人だった、真子を殺された。

真子は僕に、誰かにつけられてると言っていた。

僕は真子と一緒に、警察にも行った。

しかし警察は、事件性が無いと動いてはくれなかった。

だから真子は死んだ。あの時、警察が動いてくれれば、真子は死なずに済んだ。

僕は殺した犯人を恨んだ。そして真子を見殺しにした、警察を恨み。

それは次第に、この世界すべてに変わった。

始め真子のもとに逝こうとした。

(でも、僕が死んだら真子の恨みは誰が晴らすのだろうか?)

そう思った瞬間。僕は真子のために、この世界と共に死のうと思った。

しかし僕には、この世界を壊す力なんて無い。

だからせめて、真子を殺した犯人に、復讐したいと思った。

そして復讐の時はすぐに訪れた。

あるネット掲示板に、以前からつけてた女の子を殺したと、書き込んでるやつがいた。

僕は彼に会うことにした。自分も殺しに興味があると、嘘を吐き誘い出した。

次の日、俺はビルの屋上にいた。そこで真子の写真に復讐すると誓った。

しばらくして、男が来た。男の年齢はだいたい40ぐらいだろうか、上下黒のジャージ姿で

いかにも怪しそうな顔をしていた。

「初めまして、橋下真也さんですね。僕は佐藤大樹と言います」

橋下は何も言わず、軽く頭を下げた。

そして橋下はいきなり笑い出した。

「どっどうしたんですか…」

「いやなんでもないんだけど…まさか殺しに興味があるって、君なかなか頭おかしいね」

僕は今にも切れそうになったがとどまった。

「いやーそうですかね…あっはっはっ」

笑ってごまかすと、橋下はいきなり女の子を殺した話を始めた。

その話はとても聞ける話ではなかった。恐怖に怯え逃げる、女の子を追いかけ襲い。

最後に助けを求める女の子を殺す。

橋下が言うには、その最後の瞬間が最高だと言っていた。

僕は拳を握りしめて堪えた。まだこの橋下が真子を殺したわけではないから。

もし真子を殺してなくても、この橋下は生かしては帰さないと思ったが。

しかし次に、橋下は最高の瞬間について語りだした。

「そう言えば…殺す前に女が、誰かの名前を言っていたな?

多分彼氏の名前だろうな、最後まで助けを求めてたよ」

僕は恐る恐る、なんと言っていたか聞いた。橋下は機嫌がよかったのか、すぐに教えてくれた。

「確かな……『助けて……だいちゃん…だいちゃん』って言ってたかな」

僕はそれを聞いて顔色を変えた。

(こいつだ!こいつに間違えない!真子はいつも僕のことを、だいちゃんと呼んでいた)

「おい!…お前が殺した…女の子の名前は…水野真子じゃないか」

「おーそうだよ!……でもなんで君が名前知ってるんだ?」

「真子はなぁ!…僕の恋人だよ!お前かぁ!…真子を殺したのは!」

橋下は驚いた表情をしていた。

「真子…君のためにこの男を殺そう…君のために」

そう言って僕は隠し持っていた。ナイフを橋下に向けた。

橋下は慌ててその場に尻もちをついた。

「やっやめてくれ!…俺が悪かった!ちゃんと自首するから!殺さないでくれ!」

橋下は命乞いを始めた。その姿はあまりにも醜かった。

「お前は!真子が命乞いをした時殺すのをやめたか?…なのに自分になったら命乞いするのか?

おかしいと思わないか?真子はきっと苦しんだんだ!その苦しみを、苦痛を、今度は僕がお前に与える番だ!」

僕は男の足を刺した。橋下は悲鳴を上げながら、足を押さえもがいている。

「痛い!痛い!」

「痛いだ!真子が味わった苦しみは、こんもんじゃない!」

僕は橋下のことを刺して刺して刺しまくった。

僕が着ていた服は返り血で真っ赤になっていた。

橋下は死んでいた。

僕はナイフを捨てた。手が震えていた。

でも心の中は満足だった。

「真子…これで君の復讐は果たせたよ…僕は君のためになれたかい?」

僕は空を見上げる。そしてつぶやく。

「もう…僕が生きてる意味は無いな…真子…君の復讐はできたけど…

僕は結局…君を殺した男と、同じことをしてしまった。今度は僕が僕に復讐する番だ!」

僕はビルの屋上のフェンスを越えぎりぎりのとこに立った。

「さぁ!逝こう僕が僕に復讐する番だ!」

空に向かってほほ笑み、僕は一歩前に進んだ。落ちる中僕は空に目をやった。

真子が僕に向かって『ありがとう…大好き』と言ってる気がして僕はほほ笑んだ。

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