1/6
#0 Bad End
ぽつり
聞こえてくるのは水の音。
ぽつり
辺りは静まりかえっている。息遣いが聞こえるとすれば、それは自分のものに他ならない。
ぽつり
やがて連続した音に変わったそれは、雨が降ってきたのだぞと、自分の体を容赦なく叩き始めた。
今やぽつりという言葉が似合うのは自分だけとなった。
何故ならば
「聞こえない」
誰の声も聞こえない。辺りに飛び散った赤い染みが、絵の具なんじゃないかと思えてしまう位耐え難い現実が目の前に広がっていた。瓦礫の間を覗けば会えるかもしれない。
最早「人の形を留めていないかも知れない」友達に。
廃墟と化した街並みを眺めることも出来ず、ただ俯く。わかることは1つ。
「また、失敗したんだ・・・」
そう、結果が出た今、これからの行動に迷いは無かった。
自分のこめかみに銃口を押し当てて、そして
「ごめんね・・・」
雨音に混じって、銃声が鳴り響いた。