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ここあ  作者:
1章
2/8

1

Rは念のためです。

18になりそうな部分だけお月様行きです。

日本語の苦手な作者です。それでもいいという方だけお入りください。

 あなたにとっては何て事ない一言。

「ねぇ、梁取(やなどり)さんはどう思う?」

 それだけなのに、私にとってはあなたが特別な人になった。


 クラスで、席が近い者同士グループを作っての意見交換。

 いつも私は居るか居ないか分からない扱いで、意見を言おうと頑張っても言葉を挟めないのがいつものこと。

 もちろんこの日も同じで、誰も自分の存在はないかのように話は進んでいた。4人グループで順々に聞いているのに何故か私の番になる前に話が盛り上がって、そのまま聞かれずに話が進む。

 自分から意見を言えるほどの勇気もない…本当に自分でも自分が嫌になる。

 悲しくなって少し俯いていたとき、声をかけられた。

「ねぇ、梁取さんはどう思う?」

 空耳かと思って声の方を向いたら彼は私を見ていた。嬉しくて、初めは夢でも見てるかと思ったけど、現実で。すごくすごく胸がいっぱいになった。

 なんとか意見を、たどたどしくでも言い終えた後、あなたはにっこりと笑って、「うん。俺もその考え、良いと思うよ」と言ってくれた。

 その笑顔も、とてもきれいで何故かすごく泣きたくなった。それからずっと彼は私にとって特別な人。秘かに想い続けてた。


 だから、


「ずっと気になってて…俺と付き合ってほしい…」

 そう言われたとき、すごく嬉しかった。私なんか、って思ったけど、そう言ってくれるあなたに少しでも何かを返したくて、こんな私で良いなら側にいて彼に喜んでもらえることしたいと思ったの。


****


 さわさわと風が爽やかに撫で、心地よい日の光に照らされながら私たちはお弁当を食べていた。

「おいブス。その汚い手を離せよ」

 ズズズーと居たたまれない気持ちを押し殺し、私はジュースを飲む。

「はぁ!?目腐ってんじゃない?こんな美少女に向かって…つーかあんたが放しな!チビッ!!」

 あ゛ぁ!?チビだとぉ!?と罵詈雑言が続く。ここでも私は空気と化している。

「いや…、二人とも放してくれないかな?ご飯食べれないし…」

 と少し困ったように言ったのは恐れ多くも私の彼氏…神木瞬君。その両腕にがっちりとしがみ付いているのは彼の幼なじみの二人だ。神木君は学年でも有名な人で、(すごくかっこいいからモテモテです。優しい性格がそのまま顔に出ているんだもの当然だと思うんだけどね)かっこいいという理由だけではなく、その両腕にいる幼なじみで、って言った方がいい気もするぐらいだった。

 幼なじみの矢吹万里さんと龍太君は兄妹で、二人は大の瞬君好き。瞬君への好きっぷりはすごいもので、この学校でその事を知らない人は居ないんじゃないかと言われるくらいだった。

 二人(三人)ともとても整った顔立ちで、万里さんが自身を美少女と言ったのは間違いではなかった。

兄の龍太君は少し目つきが鋭くて少し怖いけど、童顔(って言ったら怒られそうだけど)だからか、瞬君を奪い合ってる二人を見るとちょっと可愛く思えてしまう。もちろんまだ喧嘩は続いていたりします。


「梁取さん…ごめんね」

 ふと謝られ、瞬君の方を向くと彼は申し訳なさそうにしていた。

「本当は二人きりで食べたかったんだけど、二人がどうしても会ってみたいって言ってて…」

 私なんかと二人きりで食べたいと思ってくれるなんて。

 残念そうに謝る彼に胸をときめかせながら慌てて返事をする。

「ううん!神木君の大切な人に会わせてもらえて、私嬉しいよ」

 吃驚してる神木君。でも心からの言葉だから。

 彼が二人を大事にしてるのは知ってる。その二人に会わせてもらえるなんて…こんなに幸せでいいのかな?

「ありがとう」

 と言いながら、嬉しくてついついふにゃりと顔をゆるめてしまった。まさかこんな締まりのない笑顔に神木君がときめいてくれていたなんて、知りもせず。

「でも…」

 と神木君が何かを言おうとした時、タイミングよく放送が鳴った。

『2年B組神木瞬君今すぐ視聴覚室まで来てください。繰り返します…』

「おい瞬!呼んでるぞ!早くいけよ」

「そうだよ瞬ちゃん!後は心配しないで」

 えっ?と、戸惑う瞬君をぐいぐい押しながら屋上から校内へ入れるとすぐさま扉を閉めた。呆気にとられて見ているとすごい勢いで龍太君が振り返ると、

「おいお前!!言っとくけど俺はお前なんか認めないからな」

 と睨まれた。

「ふふ、万里は許してあげる」

「はぁ!?お前何言ってんだ!?」

「だってこの子と付き合ってたら万里の良さに気づいてくれるじゃない」

 万里の方が何百倍も可愛いし。と笑顔たっぷり。

 か、可愛い…。

 はぁーとずいぶんと長いため息をついた龍太君はげんなりとしていた。

「むしろお前なんかと比べたら、周りが良すぎでお前以外なら誰だっていいって分かっちまうよ…」

「はぁ!?なんなわけ!?チビだから分かんないだけでしょ!?」

 んだとテメェ!身長は関係ねぇだろぉが!と、再び喧嘩勃発かと思われたが万里さんは付き合ってらんないから行くわと言って出ていってしまった。何とも気まずい空気。

 どうしようかと悩んでいると龍太君は一度私を睨んで、そのまま屋上から出ていってしまった。

 このまま一人で屋上に居ても仕方ないので、私も自分の教室へと戻った。


****


「ひゃあ…あんたよく無事だったね」

 吃驚しているのは私の唯一の友達ヨシちゃん。存在感がない私だけど、ちゃんと友達がいる。

「大げさだよ…」

「なにのんきな事言ってんの!?神木がもてるのに何で今まで彼女がいなかったのか知らないの?」

「…知らない」

 と言ったらため息をつかれた…。

 まぁ沙耶だもんね…と言われたけど、何で!?

「矢吹兄妹のせいって話。神木を好きだって噂が流れたらすぐ潰しに行ってたみたいだよ」

 まぁ現に泣いてる所見たしと爆弾発言。

「潰し…」

 余りに物騒な言葉に背筋が震える。

「沙耶の場合神木からの告白っていう矢吹兄妹の盲点をついた出来事だったからうまく実ったと私はにらんでるんだけど。まぁだからあんた気をつけなよ?」

 何のことだか分からず、きょとんとしてるとヨシちゃんの顔が近づいてきた。

 ち、近すぎないかな…?

「矢吹兄妹もだけど、今まで矢吹兄妹に邪魔されてた人たちからしたら沙耶の存在はかなりおもしろくないんだから一人にはならないようにしなきゃってことよ」

 そっか、そんな心配もあるんだ。悲しいけど、確かに何の取り柄もない私だし、周りが納得出来ないのは仕方ないと思う。

 でも、

「ヨシちゃんありがとう」

 こうして私を心配してくれる人がいる。それが本当にありがたくて、嬉しい。

 また締まりのない顔になってしまったのはしょうがないよね。

「くぅっ…神木もこういうところに惹かれたのね」と呟いたが、その声を拾うことが出来なかった。だって、その時いつのまにか来ていた神木君に話しかけられていたんだもん。

「梁取さん英語の教科書ある?貸してほしいんだけど」

 忘れて来ちゃってと申し訳なさそうに言う。

「うん、あるよ。待ってね」

 机の中をごそごそとあさる。

 そういえば。

「さっきの呼び出しは大丈夫だったの?」

「あ…それが俺にもよく分からないんだけど、行ったら鍵かかってて…教務室に行って聞いても分からないって…」

 そう、不思議だねって二人で笑っていたから、まさか周りがその会話に聞き耳を立て『それ絶対矢吹兄妹の仕業だろ!!』って思っていたなんて知らなかった。

「おっ、瞬じゃん。なに?忘れ物を口実に彼女に会いに来たの?」

 神木忘れ物とかしたの見た事ないよなと神木君の友達である小林君と佐藤君がにやにやしながら話かけてくる。

 その瞬間神木君は顔を赤くしてしまった。

 え?

「ま、まじかよ!お前っ可愛いなぁ…」

「あっ…じゃあ俺もうすぐ授業始まるから行くね」

 梁取さん、また…と言って神木君は教室を急いで出ていく。

 顔を赤くした私はそれを呆然と見ていた。

「梁取さん愛されてるね」

 と佐藤君言われてより一層頬が熟れた果実のようになってしまったのは言うまでもなく…

 蒸発してしまいそうな私を見て、ヨシちゃんもにやにやしながらも大切なことを教えてくれた。

「追いかけなくてもいいの?Bクラスは次移動教室だったはずだけど、それまだ渡してないんでしょ?」

 指を指された先にあるのは先ほど貸すつもりで机から引っ張りだした英語の教科書。

 たぶん…多分だけど、あの様子だと神木君は教科書を忘れてきてないんじゃないかなって思う。

 それでも、私は彼を追いかけたい。

 追いかけて、たくさん話をしたい。

「う、うん!行ってくるね」

 そして私も神木君と同じ様に急いで教室を出た。


****


「神木君!」

 結構時間が経ってしまったのか、私の足が遅いのか、渡り通路に彼は居た。

 突然の私の声に驚いたようで、吃驚した顔でこちらを振り向いた。

「梁取さん…どうして…」

 まだ初春な今、太陽の光を浴びてもまだ寒く、さわさわと葉の音が耳に心地よい。この渡り廊下は外にあり、周りの緑が更に彼を素敵に見せているのは私の欲目なのか…。

「あの…これ」

 立ち止まってる彼に、鼓動を落ち着かせながら近づき、ソレを差し出した。

「あ…うん、ありがとう」

 少しはにかんで、受け取ってくれた。

 少しの沈黙。

 頑張れ自分。と活を入れ、神木君を仰ぎ見る。

「あのっ…さっき、神木君が…用があってでも来てくれて、すごく嬉しかったよ…あの…ありがとう」

 恥ずかしくて。それでも本当に嬉しかったから意識せずに笑顔になってしまった。

「俺も。…そう思ってくれて嬉しい。」

 真っ赤にさせた神木君がふにゃりと笑った。その顔がすごくすごく可愛くて、胸がきゅーんとなる。

 絶対さっきより顔が赤いはずだ。

 教科書を受け取りながら彼は、「本当は教科書あるんだ…けど、昼はあんまり話せなかったから」と言って照れて笑った。

 その後他愛もない会話をしていたけど、予鈴が鳴り、寂しい気持ちを抑えながら別れた。


****


 校舎へ入る扉の前に来て、ふと声が聞こえる事に気が付いた。

 正直あまりいい雰囲気がしない声色に、ビクビクしながらも近づいていったのは、何故か行かなくてはいけないと、心が訴えていたのかもしれない。


****


 生徒たちが自然とふれあい、豊かな心を育てて欲しいと願って作られた校庭は至る所に緑があり、上手く人影を隠してくれる。そんなこともあり、本来の目的とは(ある意味では正しいのかもしれないけれど)違った用途で使われていた。

 現にこの時間に、ここに人が居てはいけないだろうにいるが、誰にも気づかれない。


「お前マジ生意気なんだよ!!なんだよその目!喧嘩売ってんのか!?」

「はぁ?てめぇらから売ってきてんだろ。お前等に何かしていいこともねぇしな」

 ふざけんなと怒気の孕んだ声と共に龍太君の胸ぐらを掴まれる。


 そう、声がした先にいたのは龍太君たちで、私は何も出来ずそれを遠くの校舎の角から様子を伺っていた。

 助けるにしても私が出ていったのでは明らかに龍太君の邪魔になる。どうしようかと考えていると、周りにいるガラの悪そうな人が何かに気づいたように意地の悪い顔をした。

「てかこいつゲイだって噂の奴じゃん」

は!?なんだそれとゲラゲラと周りが笑いだした。

 それに龍太君はぴくりと動く。

「なんか幼なじみの男が好きだってすっげぇ噂なんだよな。その相手の男も悪い気してねぇのか、こいつとすげぇ仲いいらしいぞ」

 まじかよ!そいつもお仲間か!?てか俺たち大丈夫かよ!と一層酷くなる笑いに、龍太君の声が静かに響いた。

「何がおかしい。好きだって気持ちを笑うお前等に理解できるかどうかは分からないが、あいつは笑われて良い奴じゃない。」

 まぁお前等みたいに腐った頭じゃ分からねぇだろうがなと嘲った。

 それにカチンときたらしく、一気に彼らの取り巻く雰囲気が剣呑なものに変わった。

 もちろん龍太君はすでにキレていたらしく、今にも殴りかかりそうになっていたが、私はそれに気づかない。

 なんとかしなくてはとそればかりが頭を巡る。

 意を決して、私は肺に空気をいっぱい吸い込ませた。


漫画で描こうとしていたお話。なのでページ数的にヒーロー(神木君)との絡み少ないです。(それってどうなの!?)

続けれればめちゃめちゃ絡む予定です。

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