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今日から使える異世界ライフハック  作者: 白生荼汰


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食肉と魔力

 おむすびを食べ終えたお客さんたちが三々五々帰っていき、わたしはマグの肉屋に向かう。

 毎日あるわけじゃないらしいけど、何かフレッシュミートがあるといいな。

 星の日に多めにお肉を買い付けて加工しようかな。

 最初に大量買いが行き過ぎたせいで、なんとなく買い控えちゃってるけど、塩漬け肉じゃない方が使い勝手がいいし、買ってきたハムやベーコンをそのままおむすびに添えるのはなんとなく気が引ける。それなら料理すればいいんだろうけど。塊のハムやベーコンの料理ってあんまりレパートリーないな。

 でも、こっち特有の魔獣肉についても知りたいんだよね。

 アルミラージは鶏肉っぽくて使い勝手が良かったけど、他のお肉はどうなんだろう。鶏肉なんかは若いのを潰さないと硬いらしいし、若い鶏は飼ってる家で消費しちゃうことが多くて、急な現金収入が必要な時ぐらいしか売られないから買えたらラッキーなんだとか。豚より手軽に増やせそうなのに、こっちの世界じゃ違うのかしら。もちろん注文すれば売ってもらえるそう。

 あとはボアとかブルとか豚や牛系の魔獣、鶏系の魔獣の他に、熊系の魔獣、鹿系の魔獣、爬虫類や両生類系の魔獣なんかも食肉としてメジャーらしい。

 鹿とカエルは食べたことがあるけど、料理したことはもちろんないし、熊も経験ないな。

 よく肉食動物は臭いって聞くけど、それってこちらの魔獣も一緒だろうか。そんなときのためのカレー粉だよね。

 手元にカレー粉があるうちに、スパイスから作るカレー粉のレシピを作っておいたら、もし向こうに帰れないなんてことになった時に少しは安心だろうか。

 野菜もだけど、こっちの世界はお肉も安いように感じる。

 ただ、砂糖はお高い。

 はちみつはそんなに高くないけど、普通に買おうとすると、蜂やはちのこの入った巣ごと買うことになるので、わたしにはちょっぴりハードルが高い。よく知られたハニカム構造も天然ものだとちょっとしたグロ画像だ。そして例によって蜂も大きいような気がする。

 塩はそんなに高くないものの岩塩だ。

 細かく割り砕いて使うものらしいが、きめ細かくすりつぶしたものはその手間の分、価格が跳ね上がるし、純度も値段を左右する。

 なので、調味料を必要とする外食は基本的に結構お高いか調味料をケチっていて美味しくない。

 ブッケの店のようにお手頃価格で美味しい、というのは割と稀有なのだ。

 レシピの問題というよりも、手間の問題だし、庶民の食事といえば、焼いただけ煮ただけの食材に岩塩を削って味をつけるのが普通だ。屋台で売られている軽食もそんな感じ。きめ細かな塩を使うだとか、丁寧な下処理をして煮込むだとか、香味野菜で風味をつけるだとか、そういったひと手間をかけるものは、外出先のちゃんとした店で食べるものらしい。

 なるほど、それらに比べるとうちのおむすびはめちゃめちゃ手間のかかったお料理である。

「こんにちは」

「おぉ、今日はもう店じまいだったか」

「おかげさまで」

 マグが機嫌よく出迎えてくれる。

 その向こうに吊るされているのは、大きな枝肉だ。

「でっか……!」

「おう、ちょうどブルを仕入れたところでな。少し持っていくか?」

「あ、じゃあいつもみたいに銅貨5枚分で」

「はいよ。部位はどこがいい?」

「……肩ロース……首の下の背中のあたり……?」

 いや、肉の部位とかバラ肉とすね肉ぐらいしかわからないんだけど。豚の時も雰囲気で買ってる。サーロインは腰だっけ? あ、あとお尻がランプだった気がする。もも肉もわかるけど、なんか内とか外とかあった気がする。どんな違いがあるかまではわからない。

 ステーキ屋さんで注文するときはともかく、自炊で使うのなんて牛こまばっかだったもんね。あとはたまに焼肉とかステーキとか、ローストビーフ用の塊肉もごく稀に。大体買う時は『○○用』っていうのと値段と量しか正直見てなかった。

 その内テールスープとか、牛すじ煮込みとかは趣味的にやりたい気もする。何度か牛すじも使ったことがあるけど、下処理に手間が掛かるんだよね。トロトロより歯応えがある方が好き。アレは自炊じゃないと滅多に食べられないのよ。

「銅貨5枚ならこんなものかな」

「ありがとう」

 お、豚肩ロースの4分の1ぐらい?

 ブルって高いんだな。

 そういえば、レッドホーンブルが高級肉とか、領都の屋台で聞いたことがあったな。

「ねえ、これってレッドホーンブル?」

 わたしが聞くと、マグはぶはっと噴出した。

「そんな高級肉、うちみたいな店には回ってこないさ。こいつはごく普通の黒角だったな。この辺でよく出回ってるグラサードブルだ」

「そっか。変なこと聞いてごめん」

「いやいや、わからないことがあったら聞きな。俺には肉のことしかわからないがね」

「わからないがねっ」

 店の奥から出てきたリーフちゃんが嬉しそうにピョンピョン跳ねている。

 グラサードブル、か。

 魔獣には生息地によって特徴があるそうだけど、この辺でよく出回っているってことはこの近くで生息してるんだろうか。

 レッドホーンブルが高級肉っていうのは、色違いキャラでステータス値が違う、みたいな話? ステータス値で味も違うのかな。

 和牛にだって神戸牛とか松坂牛とか短角牛とかブランドがあったけどそれとは違うんだろうか。

「ま、食ってみて旨かったらまた買いに来な。来週には売り切れちまうだろうが」

「え、そんなに持つの? 塩漬け肉とかにするんじゃなく?」

「グラサードブルくらいの魔力があれば、そのままでも一週間は持つぜ。あんまり細切れにすると魔力が抜けていっちまうからそうはいかないけどな」

「へぇー。じゃあ、このぐらいのお肉なら?」

 買ったばかりのお肉を掲げると、マグはふむ、と考え込んだ。

「この季節なら持ち歩いても二日は平気だろう。それっぽっちの肉があってもすぐに食っちまうからそれ以上はわからん」

「二日……」

 夏ではないにせよ、涼しいぐらいの気温で持ち歩いて二日持つのは本当ならすごいな。

いつも読んでいただきありがとうございます。

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